活動報告

2009年9月 3日

国民の負託に応える新連立政権の課題

 8月30日に実施された第45回総選挙において、民主党は国民の皆さんの絶大なる支持を得て、308議席という圧倒的な勝利をおさめることができました。

 これより民主党は、民主党を中心とする連立政権の発足に向け、連立パートナーとの基本政策などの調整、政権運営組織の設立や与党としての党運営の改革、大臣・副大臣・政務官・大臣補佐官の各省庁への派遣、マニフェストに謳った政策実現のための準備、さらには秋の臨時国会に向けた補正予算の編成など、政権移行に伴う多くの作業をこなしていかなければなりません。

 そこで、新政権やその準備段階における現時点での諸課題について、5点のテーマに絞り、私なりに考え方を述べてみたいと思います。

 

1、政権運営の基本問題、脱官僚へのプロセス

 民主党はマニフェストにおいて、政権運営の基本方針として「5原則」と「5策」を掲げました。「5原則」の中心的課題は、政治家(国会議員)主導の確立ということです。内閣とりわけ総理大臣(官邸)の主導性を強め、中央省庁の集中的な権力・権限を政治家と地方に分散させようとするものです。この政権構想は、これまで戦後政治に貫かれてきた官僚主導の政策立案・予算資源配分という政治構造を根本的に変えようとするものです。まさに民主党が選挙において大きく掲げた「脱官僚」政治をめざすものです。 

 そして、この構想の具体策として、①大臣・副大臣・政務官など国会議員約100人を中央官庁に送り込む。②官邸機能を強化し、総理直属の「国家戦略局」を設置し、新時代の国家ビジョン創りや予算の骨格を策定する。③行政全般を見直す「行政刷新会議」を設置し予算・行政の無駄や不正を排除する--などを打ち出しました。

 この構想は、議会の多数党が行政を担うという議院内閣制度の枠内で、大統領制の権力集中化システムを適切に織り込もうとするものです。

 民主党は、この政権構想を具体化させる法案の準備をしていますが、財務省をはじめ、中央官庁の大きな抵抗も予測されています。しかし、ここを突破しなければ、新政権による「脱官僚」の新しい政治はスタートしません。当然、この構想は、官僚機構を壊したり、官僚に敵対していくものではありません。大統領制的な政策決定システムのもとで、官僚組織の効率的な活用方法や官僚の国家理念実現への適切な関与を模索しようというものです。

 「脱官僚」を実現するためにはこの点を留意するとともに、行政に直接携わる与党国会議員の過大な負担を軽減するフォローアップ体制の整備なども考慮しながら、政界・官界における多数派形成に努めていくことが重要であると考えます。

 

2、連立における政策調整のあり方

 現在、民主党は社会民主党・国民新党との連立政権を設立することで調整を進めています。これまでの連立政権、例えば1994年からの自民・社民・さきがけによる連立政権やその後の自民党を中心にした連立政権の経験からすると、民主党としては、連立政権を樹立するにあたり、とくに連立内での意思統一をどのようなシステムで行っていくかを明確にしておく必要があると考えます。

 具体的なシステムとしては、過去の事例のように、個別政策課題ごとに各党の担当者が同一テーブルで調整し、上位の調整機関に持ち上げながら最終調整するという方法が考えられます。この方法は一般的ですが、しかし、①政策決定プロセスにおいて調整に時間がかかること。②特定の政策に関して政党間に政策の違いが大きすぎると、問題解決が先送りされたり、妥協的・玉虫色的な結果に陥ること。③連立のパートナーが少数政党の場合は、政策立案などにおいて少数党が埋没しがちになってしまうか、逆にシングル・イッシュウーにこだわられて調整不可能に陥ること--などが懸念されます。

 連立政権は、国民の広い意見を政策に反映させたり、一党の独走をチェックできるという利点がありますが、政策立案・政策実行の効率性の追求という点も重視されるべきです。また、パートナーの政党から大臣を輩出する場合は、閣内調整という方法がどこまで機能するかという点についても検討しなければなりません。いずれにせよ、政党間調整システムについては、様々な視点から慎重に検討していくことが重要だと考えます。

 

3、与党機能をどのように果たすか

 民主党の政権構想からすると、大統領制的な政治システムが導入されるため、政策決定プロセスとしては、内閣もしくは総理大臣官邸が大きな主導権をもつことになります。これは政策立案・政策決定権限を官僚から政治家に取り戻すという意図のもとで考えられたものですが、一方で、与党としての政治的機能、あるいは行政府に参画しない国会議員の役割をどうするかという点についても十分に考慮しなければなりません。

 これまでの自民党政治では、政策立案から法案化、国会対策にまで官僚が主導権を発揮し、与党側には政策調査会などの関係機関や政策責任者に説明し了解を取り付ければ政策は実現しました。一方、民主党は、政治家(行政府に入っていった国会議員)が主導して政策立案をしていこうとするものですが、立法府に残された国会議員は何をすればよいのかという問題が生じてきます。個々の国会議員が政策調査会などの機関を通じて政策立案・決定プロセスに深く関わっていくのか、それともこれまでの自民党政治のように、政治家主導で立案され官僚が事務的処理をしたものを受け入れ、委員会・本会議で賛成票を投じていくだけの存在になるのか、国会議員としての政治的機能は大きく違ってきます。とくに、各議員の出身母体や地域の利害が絡む課題については、どのように行政に携わる議員や官僚にアプローチしていくのかという関与システムを整理・整備しておかないと、それぞれの議員は政治的基盤を徐々に失っていくことになります。

 民主党としては、国会議員の族議員化を許さないという姿勢を貫く方針ですが、与党議員がもつ多様な主義主張も聞き入れる体制も整えていく必要があると考えます。

 

4、継続的な政策課題への対応

 政権交代は、さまざまな政策や予算、あるいは人事の根本的な改正を伴いますが、外交政策や基本的な国内政策は継続せざるを得ないものも多くあります。

 現在、問題となっているのが、インド洋におけるアフガニスタン・テロ対策のための外国艦船給油活動の継続問題があります。これは外交問題の一つですが、北朝鮮問題やアメリカとの安全保障問題などの多くの外交的課題と同様に、新政権としても当面、継続せざるを得ないと考えます。しかし、これらの課題も、民主党としての基本政策を軸に、徐々に軌道修正を図っていかなければなりません。この過程において、相手国や国際機関との様々な調整には骨を折る交渉が行われていくことになりますが、これに耐えうる人材の登用と関係省庁との綿密な調整を行うことが重要になります。

 また、国内政策に関しては、当然、新型インフルエンザ対策や災害対策・復旧施策については継続課題として対応すべきですが、マニフェストで掲げた政策の実現に向けて、秋の臨時国会で必要な法案や補正予算案を準備していかなければなりません。短期間でこれを準備していくためには、多くの労力を必要としますが、関係官庁の協力を得る体制を早急に整えていかなければなりません。とくに、官僚の協力体制を得るためには、大臣が持つ人事権の行使も辞さない、という覚悟で臨んでいかなければならないと考えます。

 

5、参議院選挙への対応

 来年の7月には参議院選挙が予定されています。野党になった自民党と公明党は参議院での過半数獲得を目指して必死の選挙運動を展開してくることが予測されます。

 来年の参議院選挙の時点では、自民党と公明党ならびに改革クラブの改選議員数は59議席ですから、これに15議席を上積みできれば、非改選の議員数47を加えて121の過半数を得ることができます。2年前の参議院選挙で自民・公明は大きく議席を減らしましたので、15議席を上積みすることは大変なことですが、決して不可能な数字ではありません。これを許せば、再び衆参のねじれ現象が生じ、政権は一挙に行き詰まっていきます。

 民主党としても、選挙区選挙における与党間の選挙協力を推し進めたり、比例区の中心になる労働組合出身候補者の組織票の上積みをはかるなど、参議院での過半数維持に向けて全力を挙げていく必要があります。