国会質問

第174回通常国会 文教科学委員会(2010年3月30日)

サラリーマンと自営業者の所得の捕捉のされ方に不公平感がある

子ども手当・高校授業料無償化のいずれも所得制限はされなかったことを踏まえ、所得制限政策の議論の必要性について、総理に訊ねました。併せて、サラリーマンと自営業者の所得の捕捉率について触れ、サラリーマンにとって不公平感のある税制を改善すべきと主張しました。

   100330_010.JPG 3/30(火)に高校授業料無償化法案について、文教科学委員会で質問に立ちました。

 子ども手当・高校授業料無償化のいずれも所得制限はされなかったことを踏まえ、所得制限政策の議論の必要性について、総理に訊ねました。併せて、サラリーマンと自営業者の所得の捕捉率について触れ、サラリーマンにとって不公平感のある税制になっていると主張しました。

 それに対し総理は社会全体で子どもや教育の場を支えていくことが大切なので、所得制限をしなかったと述べました。現在の税制については、不公平感のある部分は改め、所得の捕捉率を高めていくことが必要だとし、納税者番号制度についても検討していく必要があるとしました。

【質問項目】

1、衆議院における法案修正の問題

2、所得制限と所得再分配制度の問題

○加藤敏幸 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の加藤敏幸でございます。

 本日は、公立高等学校に係る高校授業料の不徴収及び就学支援金の支給に関する法律案について質問をいたします。

 本法案に対しましては、3月19日、本会議で趣旨説明を受け質疑を行いました。また、委員会での質疑等行っております。意見聴取、質疑を含めていろいろな課題あるいはそれに対する対応策等も明らかにされてきたということで、各都道府県それぞれの高等学校の準備作業等もあり、またいろいろな問い合わせ等も私ども受けておりまして、1日も早い法案の成立と法律の施行を望まれるという、そういう状況になってきたのではないかと思います。

 本日は、鳩山総理大臣にも御臨席をいただきまして、以下幾つか再確認も行いたい、そういう論点もございますので、質問に対して簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。

 まず第一番目でございますけれども、この法律案につきましては衆議院におきまして、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の三会派共同提案による修正案が可決され、本院に送付されてきております。その内容は、法律施行後3年に、必要がある場合には法律を見直しという内容でございました。また、衆議院の委員会における附帯決議として、それにかかわる項目についても記載をされており、必要な措置、これをとるべしと、こういうふうな内容になっております。

 そこで、修正案を出されたお立場、本日提案者も来ていただいておりますので、修正案の至った議論の経過なり、どういう予断と申しましょうか懸念を持って3年後の見直しということを修正されたのか、言わば動機となった、あるいは御心配とされている事項について御説明をいただきたい。また、必要な措置と言われておりますけれども、例えばどういう措置を想定されるのか、やってみなければ分からないということが前提ではございますけれども、その辺りについて、まず衆議院の委員の方の御説明をいただきたいと。

 あわせて、文部科学省におきまして、それらの修正案についての対応ということで、見直しということを国会から突き付けられた中で、3年間、法律施行についてもいろいろな心構えといいましょうか、ある思いで対応していかなければならないと、このように思いますので、そういう体制等含めて、文部科学大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。

○笠浩史 衆議院議員 本法案は、高等学校等における教育に係る経済的な負担の軽減を図り教育の機会均等に寄与することを目的としており、こうした方向性自体については積極的に推進をしていくことは言うまでもございません。

 しかしながら、衆議院の文部科学委員会での質疑や、あるいは参考人の皆様方からの意見を伺う中で、低所得者世帯への一層の支援、あるいは特別支援学校の生徒の世帯など、特定扶養控除の見直しに伴い現行よりも負担が増える、そういう世帯の方々への支援をどうしていくのか、あるいは公私間における経済的負担の格差の是正を一層進めていくべきではないか、そうした高等学校等の教育における経済的負担の軽減策について更に検討していくべきであるという意見が多く出されたところでございます。

 こうしたことも踏まえると同時に、この高等学校の無償化というのは新しい制度でございますから、こうした制度を運用していく中で更にこれをより良いものにしていかなければならない、これを不断のこのために努力をするということは、私どももこれは当然のことと考えております。

 そこで、この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行う旨の規定を附則に加えることといたしました。

 なお、衆議院の文科委員会においては、この見直しを行う場合には、高等学校等における教育の充実の状況、義務教育後における多様な教育の機会の確保等に係る施策の実施状況、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減の状況を勘案しつつ、教育の機会均等を図る観点から検討を加え、必要な措置を講ずるものとするということについて、政府及び関係者は特段の配慮をすべき旨の附帯決議を行ったところでございます。

○川端達夫 文部科学大臣 加藤議員にお答えいたします。

 今お話ありましたように、衆議院においてこの法律が議院修正が行われまして、今言われたように、いろんな国会での議論踏まえまして、更に良くするためにしっかりやるようにということと同時に、特に低所得者に対する支援、あるいは公私間格差の問題等々もきめ細かく対応するように、実態を見極めるようにという御趣旨も踏まえて、新しい制度でありますのできめ細かく丁寧にやって、必要があれば3年後に見直そうという御修正をいただきました。

 私たちとしては、まさに御指摘のように、新しい制度でありますし、その趣旨が最大限生かされるように、そして円滑にスタートできるように、きめ細かくいろんな懸念が払拭できるように最大の手当てをいろんな各方面で取り組んでいくということの決意を新たにしたところでございまして、それを受けながらしっかりと検証を重ねて、修正にありますような事態の検証をまずはできるようにあらゆる方面で決意を持って取り組んでまいりたいと思っております。

○加藤敏幸 与党の立場で申し上げれば、この修正案に対する議論も今日確認すべき極めて重要な事項であったと、このように思っております。理由といたしましては、低所得者層の経済的な事情ということが非常に課題として大きいと、このように受け止めました。

 そこで、今回のこの政策については所得制限を設けていない、このことも議論になったわけであります。いろいろと議論はございましたけれども、先ほどの話の流れでいって所得制限を設けなかった理由、今日時点で大臣のお立場から簡潔にお答えをいただきたいと思います。

○鈴木寛 文部科学副大臣 お答えを申し上げます。

 現在、高等学校等への進学率は98%に達しております。まさに国民的な教育機関でございますが、その教育の効果は広く社会に還元されるものでございますので、その教育費については社会全体で負担をしていくという、そういうことで今回の施策を進めていきたいと思っております。

 それから、この高校無償化につきましては、諸外国では多くの国でこの後期中等教育を無償化をしております。

 イギリスにおきましては1918年から、ドイツにおいては1919年、トルコは1926年から、今ではまさにこの高校無償化は世界的な常識となっておりますし、国際人権A規約におきましても中等教育における無償教育の漸進的な導入が規定されていることでございます。ここのところは日本は批准をこれまで留保をしてきたわけでございますが、今回の施策をそうした世界的な動向も踏まえて導入したところでございます。

 なお、就学支援金制度におきましては、授業料が無料にならない私立高校等に在学する低所得者世帯については、この就学支援金を要保護、準要保護に対してそれぞれ二倍あるいは1・5倍に増額をするということで手厚い支援を行っているところでございます。

 それから、世帯の所得変動を捕捉をして、そしてそれに基づき支給の可否を判定して実際に支給するまでの間の時間のずれというものがございます。例えば、高校1年生の1月に世帯の所得が変動をするような場合には、これは把握されますのは高三の6月になってしまいまして、そしてその後にこの所得に応じた給付が行われる、あるいはそれが止まると、こういうことになってしまいますので、まさに高校生活の極めて重要な3年間の中で、このケースでいえば1年半極めて不安定な状況に置かれると、こういうことにもなりますので、今回、先ほど申し上げた趣旨とそしてこういった実態双方にかんがみまして、すべての高校生に対して国公立については授業料の無償、私立学校については就学支援金を給付し、そして低所得者には更に拡充をしていると、こういう制度を導入させていただきたいというふうに考えているところでございます。

○加藤敏幸 いろいろときめ細かい対応にも腐心されていると、こういうふうなことであると思います。

 さて、今日は総理にも御出席をいただいておりますので、今議論となりました所得制限ということにつきまして、実は子ども手当の制度の方についても議論がございましたし、言わば所得の再配分策として所得税、住民税に対する再配分機能、あるいは、個々の政策において行政サービスを受ける場合の、所得によりサービスを受ける受けられないの制限をしていくという形での対応策、それぞれ制度によって趣旨があって決められておるわけであります。

 そこで、今日是非お伺いをしたいのは、今日結論が出るとかそういうことではないと思いますけれども、これから、今後総理としていろいろな政策を進められる場合に、この所得制限に対する基本的なお考えといいましょうか、大きくどうとらえるのかと。

 あらゆる場合に、何かあると所得制限、所得制限と、こうなるわけですけれども、例えば授業料不徴収と、不徴収だという制度でいけば、それは制度そのものの問題であって、こちら側の、受ける側の所得がどう関係するのかといったら、それは切り離されるべきではないかと、このような思いもあるわけでありまして、そのようなことを含めてお考えがあれば、思いなり、今日時点においてお聞かせをいただきたいということ。

 私は、25年前から、いわゆるサラリーマンの不公正税制の是正というところが運動のスタートラインにあったわけであります。例えば、市立の保育所に行く場合でも所得制限、市営住宅に入るにも所得制限、しかしサラリーマンと自営業者とでは所得の捕捉のされ方が違うということを含めてある種の不公平税制というふうな問題をとらえておったわけであります。

 そういうことで、納税者番号制度だとかいろいろな大掛かりな変更が必要だということを理解しておりますけれども、この辺りの考えについて、是非、今発言されたことで方策が決まるということじゃないんですけれども、所得制限策に対する考え等ありましたらお聞かせいただきたいと思います。

○鳩山由紀夫 内閣総理大臣 加藤委員にお答えをいたしたいと存じます。

 今、鈴木寛副大臣の方から所得制限をなぜ設けなかったかという理由に関しては申したと思います。私も、やはり、これは子ども手当も同じでありますが、社会全体で子供の育ち、あるいは高校に行きたい子供たちを社会全体で支えると、そういう観点から基本的には所得制限を設けないということにしたわけでございますが、やはりこういった社会保障制度とかあるいは税というものを考えていくときに、何らかの所得の再配分の機能というものを持つこと、高めることは私は大事だと思っております。

 そういう意味では、今回、子ども手当もそうでありますが、このような高校の実質無償化におきましても、いわゆる控除から手当という発想とか、あるいは今回も特定扶養控除というものを縮減するということにいたしておりまして、何らかのある意味での所得再配分の機能というものを持たせていただいたことは御理解いただけると思います。

 ただ、今一般論の中で所得の捕捉というものがなかなか不公平感があるというお話がございました。そこで、私どもとしても、所得の捕捉というものはこれからはもっと厳格に精緻にいたさなければならないという発想を持っておりまして、そのためにも番号制度の導入というものを行うべきではないかということでございます。

 今検討会で鋭意検討しているところでありますが、社会保障とかあるいは税を考えていく中で、所得再配分機能を高めていくという観点から考えてみても、やはり所得のまずは捕捉をより正確にしていくための番号制度の導入を私としても推進をさせるべきだと、そのような発想を持っているところでございます。

○加藤敏幸 今お示しいただいたように、政策全体を俯瞰する中で、基本的な所得配分政策なりその構造を新しいものを提起していくというのが鳩山内閣の歴史的な使命ではないかと、このように思っておりますので、今後の大きな議論を期待したいと思います。

 この後、私立高校との、公立、私立とのイコールフッティングといいましょうか、いろいろな制度上の扱いの問題でありますとか、あるいは不徴収あるいは支援ということを行いますならば、税金で行いますならば、高等学校の教育の内容についてもやはりしっかりとした内容をつくっていかなければならない、このように思っております。

 2%の進学しない方、途中から抜けられる方、4%の方が高等学校を卒業しないという現実の中で、その人たちの思いも含めて支援を受けるサイドの方にも精いっぱい勉強もしていただく必要もあるのではないかと。

 そういうようなことを含めていろいろと課題もございますけれども、大臣の方から、3年間含めて極めて真摯な姿勢でこの制度の運用に対応したいと、こういう決意も示されましたので、そのことをもって私としては多としたいと、このようなことでございますので、質問は以上で終わりたいと思います。

 ありがとうございました。