第162回通常国会 経済産業委員会(2005年6月16日)
「不正競争防止法改正法案」について質問(経済産業委員会)
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今回の改正のポイントは次の4点です。
①企業の営業秘密の不正取得・開示・使用に対する罰則を退職者による開示と海外での開示についても適用する
②営業秘密侵害罪の犯人の属する法人に罰金を導入する
③海賊版や模倣品を販売したもの、他の商品の形態と実質的に同一のコピー商品を販売したものに刑事罰を適用する
④知的所有権に関する裁判外紛争手続きにおいて弁理士の代理権を加える
質問では、まず転職の実態や特徴を厚生労働省に聞きとともに、就業促進をはかる職安行政としてこういった罰則拡大をどのように評価するのかを問いました。経済産業省には、不法行為の実態や民事裁判の事例から、なぜ法改正を急ぐのかを問うとともに、こういった罰則拡大が現場を萎縮させるのではないか、と懸念を表明。さらに転職者側の防衛策の指導の必要性、「営業秘密保持契約」のあり方、競業避止契約のあり方などについて質問しました。これらの質疑のあと、「罰則を強化し契約による営業秘密の保持をはかることも大事であるが、基本的には労使の信頼関係を築くことが最も重要である」と強調しました。
| 【質問要旨】 (クリックすると該当の箇所にジャンプします) |
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○佐藤 経済産業委員長 ただいまから経済産業委員会を再開いたします。休憩前に引き続き、不正競争防止法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
○加藤敏幸 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。
この不正競争防止法につきましては、営業秘密の侵害に対する刑事罰に関する規定、これは2年前に改正されました。今回、この営業秘密に関する罰則の適用に関する基本的な改正が行われることになっておりますが、今後、従業員の転職あるいは個人的な起業、独立とか、また事業連携にとって様々な問題が生ずることも予想されますので、企業秘密の不正使用と職業選択の自由との微妙な関係等について慎重な審議が必要であると考えまして、以下、このことを念頭に質問を進めていきたいと思います。
まず第一に、転職の状況、退職後の再就職状況について、厚生労働省の方にお伺いをいたします。今日、転職が増えているということですが、審議の前提として、厚生労働省に転職に関する統計情報など実態についてお聞きをしたい。
まず、年間で転職をする人はどのぐらいいるのか、年間の転職者総数と転職率を聞かせていただきたい。議論を正確にする意味で、正規雇用労働者が転職して次の職も正規雇用労働者になる場合で結構でございます。就職後すぐ転職をして、いわゆる定着率の問題となっている若年者の転職については除外していただいても結構だと思います。
二つ目に、転職において、同業他社への転職の割合とか、今回の法案の対象となる営業マンあるいはセールスエンジニアあるいは研究開発者などの転職者の割合などをお聞きしたいところですけれども、なかなかこれも統計的なデータはないということも多少分かっておりますので、近年の転職、再就職の特徴点や傾向など、定性的な面があっても結構でございますので、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(高橋満・厚生労働省職業安定局次長)
お答えを申し上げます。転職の実態についてのお尋ねでございます。
私ども、いろんな調査あるわけでございますが、トータルとして見られるものとして、私どもが実施しております雇用動向調査というものがございます。これによりまして、平成15年1年間におきます転職の実態、特に御指摘ございました正規雇用から正規雇用への転職ということについて、また若年者を除いてという実態で見てまいりますと、具体的には、これ正規雇用から正規雇用というのは統計上一般労働者という定義で把握しております。それから、若年者はどこまで除くかいろいろあるかと思いますが、15歳から29歳、この若年者を除いて見てまいりますと、転職者総数といたしましては1年間で121万人、転職率でございますが、これは5.0%というふうな実態になってございます。
この121万人の転職者のうち同業他社への転職がどうなっているだろうかということでございますが、なかなかどういうふうに把握するか難しいわけでございますが、いわゆる同じ産業の中で転職をした方ということでとらえますと、これも統計上は産業の分類が大変大きな分類でなってございまして、いわゆる産業大分類という形で見ておりますが、これで見ますと、転職者のうち約6割の方は同じ産業内で転職をされていると。この同じ産業内で転職をされている割合の高い産業としては、建設業、運輸・通信業、製造業といったような産業で高い割合を示してございます。
それから、営業マンでありますとかセールスエンジニアはどうなっているのだろうかというお尋ねでございます。これも実は、営業マンとかセールスエンジニアという範疇では統計上なかなかとらえ切れておりません。
そこで、同じ職業内での移動ということを職業大分類という、これもかなり大きな範疇でございますが、それで見てまいりますと、例えば営業マンが属しております販売従事者、この販売従事者について、同じ販売従事者内で転職をされている割合というのが約6割でございます。職業全体で平均で見ますと、約7割の方は同じ職業で転職をされているということでございます。それから見ますとやや低いということでございます。一方、セールスエンジニアが含まれております専門的・技術的職業、これで見ますと約8割、8割強ということでございますので、全体平均の7割より高い割合、専門的・技術的職業の方は引き続いて専門的・技術的職業に転職をされていると、こういう実態でございます。
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○加藤敏幸 ありがとうございました。
お話しのように、今後とも転職は増加していくということが予想されると思います。
そこで、本人が取得した職業能力とか技術あるいは仕事のノウハウといったものを転職あるいは新たな起業に生かしていくというのは、自由主義経済下の労働市場においては当然のことであると考えます。
問題なのは、この法律が規定する企業秘密、営業秘密との関係であると。特に定年退職者が再就職する場合について考えてみますと、現在の定年制は大体60歳定年が依然として主流になっておりますし、加えて早期退職勧奨制度とかそういうようなものが随分今普及しつつある。年金受給開始年齢が65歳にもうすぐなりますけれども、この間をどのように生活を支えていくかということ、これは非常に働く者にとって大きな課題であり、そのための再就職活動も狭い高齢者市場をめぐって熾烈な争いになることも予想されております。
これまで、大手企業であれば系列企業や下請企業への再就職というものを会社が面倒を見ると、こういう流れでありましたけれども、昨今は、いいポストを含めまして、なかなかそういう状況になく、自力で再就職活動をせざるを得ないし、早期退職を受けた者は自力更生というふうな状況になっています。そうなると、就職活動で自分の持っている技術や営業ノウハウを売り込むしか本人にとってはないと、こうなるわけです。このときに、本件、この不正競争防止法が退職後の営業秘密の開示を条件付であっても罰則化するということになると、やはり求職者の受ける心理的な抑圧感といいましょうか影響というものは無視できないと、このように思うわけであります。
さらに、この法改正によって、雇う側もこれに違反すると法人処罰がなされるということでございますから、企業にとっても中途採用については従来以上に相当神経質にならざるを得ない。まして、在職中の接触が後日問題になると、そういうふうなことにもなろうかと思います。
このようにこの法改正によって様々な影響が心配されるわけでありますけれども、これらの点に関して、失業者や退職者の就職促進を図る職業安定行政としてどのように考えておられるのか、見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(高橋満・厚生労働省職業安定局次長)
今回の不正競争防止法の改正案におきまして、退職者によります営業秘密の不正使用・開示に対して新たに罰則が適用されるということになっておるわけでございますが、この点につきまして、退職者の職業選択の自由に十分配慮をする必要があると、こういう観点から、今お話にございましたように、一定の条件下、具体的には、在職中に開示の申込み、あるいは使用若しくは開示の請託を受けて退職後に使用、開示する場合といった、特に悪質なケースについて処罰の対象にするということとしたものというふうに承知をいたしておるわけでございます。
これに関しまして、今委員の方から退職者の再就職活動に何らかの影響を及ぼすのではないかという御懸念についてのお尋ねがあったわけでございますが、確かに、例えば今回の改正の趣旨なり内容というものが十分に周知、理解されずに、退職後の営業秘密の使用等を一般的に禁止をするものだと、こういうような誤解を持たれる、あるいは幾つかの企業では企業と退職者との間で秘密保持契約というものを締結をするケースがあるわけでございますが、ところが、これが対象となります営業秘密の範囲が過度に広範になる、あるいは不明確であると、こんなような契約が結ばれるということになりますと、退職者の再就職活動に一定のやはり心理的な影響というものを与えかねない、それによって円滑な労働移動というものを阻害するという懸念も確かに生じ得るものと私どもは考えております。
したがいまして、この改正法によってどのような行為が処罰の対象となるのか等について、企業はもちろんでございますが、そこに働く労働者お一人お一人に十分周知して、誤解を招かないような対応が必要だろうと思いますし、また秘密保持契約というものを締結いたします場合、適正なものとなるようなやはり一定の指針というものも明確にしていく必要があるだろうというふうに考えておるわけでございまして、私どもといたしましても、法の施行に当たりまして、経済産業省に対しても必要な協力を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
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○加藤敏幸
今いろいろな懸念点が指摘されましたけれども、それらについては引き続き議論を後段で進めていきたいというふうに思います。
その前に、この不法行為の実態について少しお伺いをしたいと思います。
不正競争防止法は、平成5年の全面改正以降ほぼ1年から2年の間隔で頻繁に改正されております。営業秘密の保護に関する改正はつい2年前にも行われました。そして、今回の改正は、前回の改正で見送られた営業秘密の開示に関する刑事罰を退職後や海外での開示にまで適用拡大とするという流れでございます。
一般的に、法改正を行えば最低でも3年、4年ぐらいは法の実効性など様子を見て次なる法改正の準備を行うのが普通でございますけれども、こういった短期で法を見直す場合は相当な環境の激変があったと考えざるを得ない、こう思うわけであります。
平成13年に経済産業省が企業を対象に行われましたアンケート調査では、有効回答した289社のうち、約2割の企業が所有する情報に関し従業員等との間でトラブルを経験したと、こういうふうに回答しておりますけれども、この2年間ぐらいで退職者による営業秘密の不正取得や開示、使用に関してどのような環境変化があったのか、あるいは法改正を急がなければならない新しい状況がお生まれになったのか、この辺りについての御説明をお願いしたいと思います。
○政府参考人(北畑隆生・経済産業省産業政策局長)
御指摘のとおり、平成15年の不正競争防止法の改正で、営業秘密に刑事罰を導入するということにいたしました。
その後の状況なんでございますけれども、一つは、東アジア諸国で急速な経済発展に伴いまして、我が国企業が持つ営業秘密が漏えいをしていくという事例が多数、急速に増えてきたという背景がございます。それから、営業秘密での関係とはもう一つ別の部分ですけれども、偽ブランド商品、コピー商品についてもこういう国境を越えて不正な行為が行われるという事例が急増しているわけでございます。
したがいまして、前回改正から2年という短い期間ではございますけれども、知的財産を保護する、あるいはこういうことに伴う不正な行為を抑止するという必要性は急速に高まっているということで、今回改正をお願いしているわけでございます。
それから、退職者につきましては、先生御指摘のとおりでございますけれども、民事の方では、最近やはり国内でも退職者との間でのトラブルが増えてきております。件数そのものは、裁判の判決に至ったものは少ないのでございますけれども、例えば、平成13年の不正競争防止法で判決に至ったものは13件ございますけれども、このうち退職者が問題になっているものは8件でございまして、退職者につきましても、非常に限定された範囲でありますけれども、不正なものは不正として刑事罰を含めて規制をしていくということは重要なことではないかなと考えております。
先生御指摘の、従業員が身に付けた通常のノウハウとか技能とか、そういうものは通常は営業秘密に該当しないケースが多いんだろうと思います。ただ、企業が営業秘密として管理しているものであれば、これを外国企業あるいは競争相手の企業に漏らすという行為は現職の従業員に対する被害ということも考えられるわけでございまして、この辺は是非御理解をいただきたいと存じます。
○加藤敏幸
私の質問の趣旨というのは、やっぱり刑罰をもって処するということについて、これはやはり議会としては慎重に、その必要性について説得性のある、納得性のある立証をしていくこれは必要性があると思います。
そういう思いであるとか、そういう声が大きいということだけでは、なかなかそこに私は踏み切るということには至らないのではないかと思います。今まさに急速に被害が広がっているということをどう立証するのか、国民の皆さんにどう説明するかということで今質問をしているわけで、一つは不法行為の実態についてお伺いをし、二つ目は、じゃそれをメルクマールとして何でもって不法性を認識するのか。私は、今御回答があった民事裁判の事例がやっぱり一つの世の中のこれのメルクマールになっているのではないかということです。
今件数が出されましたけれども、その件数を多いと見るのか少ないと見るのか、ここも大きな判断でございますし、また裁判が和解に至ったケースとか、あるいはお金、時間もなくもう面倒くさいと、あるいは裁判を継続することができなかったとか、そういうふうないわゆる埋もれている部分のことに対する資料も必要であると思います。
また審議会では、退職者による営業秘密侵害事件が増加していること、また技術者が海外に出張してアルバイトで金曜日の夜行って月曜日の朝帰ってくる、他社に技術を教えるという事例が増えている、ということが報告されていますけれども、その点を含めて2年前の法改正のときからの状況について更に御説明をいただきたいというふうに思います。
○政府参考人(北畑隆生・経済産業省産業政策局長)
営業秘密に関する不正競争についての民事裁判の数字をもう少し詳しく御説明を申し上げたいと思います。
平成9年に2件、平成10年が6件、平成11年が7件、平成12年が7件、平成13年が13件。件数そのものは少ないんでございますけれども、件数は増加傾向にございます。
それから、現在刑事罰の対象になっていますのは現職の従業員だけでございますけれども、現職の従業員による不正使用、開示というのは社内における懲戒免職等の社内処分で終わっておって裁判にはならないケースが非常に多い、そういう意味で判決に至っているケースというのは氷山の一角ではないか、相当事例は多いんであろうと思います。
それから、先生御指摘のとおりでございまして、例えば被害者が中小企業の場合に、裁判に訴えるということが大変なコストを伴いますので、こういうものは訴えたくても表面に出てこないという事例がございます。
それから、件数と別で、その企業あるいは日本国として見過ごせない被害というのがございます。例えば、これも定性的でございますけれども、日本の企業しか持ってなかった液晶技術が海外に漏れたのは日本の退職者を通じて流れたというのがこの業界では専ら言われておりまして、これは件数は少なくても大変甚大な被害を日本の企業、現役の従業員の方も含めて企業に与えていると思いますし、日本の国益も損なっているという部分もございます。件数以外にも悪質性、経済が国際化したことに伴うそれ相応の手当ては必要なんだろうと思います。
審議会でどういう議論をしたのかという御質問でございます。
審議会でも、転職の自由、職業選択の自由との兼ね合いで退職者をどこまで刑事罰で対象にするかということには大変な議論がございました。結論から申し上げますと、現職の間にその会社で営業秘密の管理の基準に違反をして、現職のうちに自ら退職後に営業秘密を漏らすことを申し込み、あるいはそういうことについて相手から請託を受けた、つまり実質的には現職在職中の営業秘密の漏えいと同じ行為で、本人にもそういう違法性とかいうことについて認識されているケース、これに限って退職後は処分をしたと。退職者全体に刑罰の対象にしたということではございません。
それから、退職者については民事上の救済措置が定められているのですが、刑事罰については範囲を更に限定しておりまして、不正競争の目的でという主観的要件が立証されることが刑事罰の対象になっております。したがいまして、非常に限定された範囲で刑事罰の対象を広げることが妥当だというのが審議会の結論でございました。
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○加藤敏幸 そういう大変ある意味で抑制的な対応、慎重な対応をしたということですね。
さて、そういうふうな流れの中で、今度は不正開示の事実認定ということを、経済産業省の立場ではなくて法務省の立場から少しお伺いをしたいというふうに思います。
営業秘密の不正取得、不正開示に関する民事裁判でも同様でございますけれども、従業員を引き抜かれて被害に遭った企業側に立証責任があるため、被害企業が告訴してもその事実認定が非常に難しいという側面がこれはありと思います。今回の法改正においては、在職中に不正開示の申出や請託を受けるといっても、これは口約束であったり、密室であったりということになってきますと証拠集めが極めて難しく、当事者が自供しない限りなかなか立件ができないのではないかというふうに思われると。
例えば、被害状況を客観的に精査し、被害が退職者の営業秘密の開示、使用によるもの以外にはもう到底考えられないと、ほかにはないではないかと、こういうふうに立証もしたとしても、本当に立件、起訴にまで持っていくということについてはなかなか大変ではないかと思います。また逆に、そういう被害状況、情況証拠だけで安易に立件、起訴ということになれば冤罪というリスクも社会的に高まってくるという、この二つの二律背反的な状況があると思います。
元々、罰則規定の拡大、導入については犯罪抑止をねらった宣言的な意味合いも強いという要素もあると思いますけれども、法務当局として、どのような捜査方法や証拠集め、そのようなことを立件されるのか、なかなかお答えは難しいかも分かりませんけれども、ひとつ答えていただきたいと思います。
○政府参考人(大林宏・法務省刑事局長)
お答え申し上げます。
今、委員おっしゃる面は確かに否定できないというふうに思います。具体的な捜査手法については事柄の性質上お答えいたしかねるわけでございますが、一般論として申し上げれば、営業秘密侵害の罪につきましても、有効な端緒を得ること、これ非常に大事なことだと思いますが、関係者の取調べや客観的証拠の収集等の所要の捜査を尽くして事案の解明に努めるものと、このように承知しております。
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○加藤敏幸 なかなか、起こっていないことをあらかじめ法務省にお伺いするということも、これ以上は難しいかというふうに思います。
そこで、犯罪者を増やすということだけがこれは目的ではないと、こういうふうに考えますので、そもそも、法が意図している目的を考えた上で、私は議会としては、この法規制がプラスの面だけの影響を生み出すという視点だけでは不十分だと。逆に言えば、この法規制、これが与える負の影響についても十分私は議論をしておく必要があると、こういうふうに考えます。世間ではよくあることですけれども、立法の意図が違った結果をもたらす、皮肉な結果をもたらすということもこれは間々あるわけでございます。
今日、各企業において研究開発担当者はその企業の発展のために日夜努力しているわけであります。一方で、そこで得られた特許、技術、知識、これは本来自分に属する財産という意識もまたプロフェッショナルとして持っているわけであります。しかし、これが将来の転職時には、すべて会社に帰属して自分はそれを一切活用できないと、極端な話、こういうことになりますと、やはり本来の業務に専念すべきモチベーションを失っていくと、こういうようなことも考えられるわけであります。
言ってみれば、企業側が余りにも過剰防衛政策を取り、従業員に対して日常的な情報管理を徹底し過ぎたり、様々な成果をすべて会社に帰属させるといったような、覊束をがんじがらめにしていくと、そういう管理を強化していくと、やはり従業員が萎縮をしたり職場における労使間の信頼関係にひびが入ってくるという、このような可能性も高まると思います。
営業秘密の管理や技術開発の成果の帰属問題というものは、ある程度企業と従業員たる個人との間の信頼関係に立って対応するということが私は重要であり、企業防衛の観点から、法的な罰則を前提にした徹底管理というふうなものが本当に企業にとってプラスになるのかどうか、私自身の経験を含めて、疑問を持っておるわけであります。
今日、特許の帰属をめぐっても様々なトラブルが起き、それぞれ、企業、従業員の双方が納得できる施策を内部で十分考えていこうということの流れができつつありますけれども、こういうふうなことを踏まえまして、この法規制が与える負の影響についてどう考えていくのかという点についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(北畑隆生・経済産業省産業政策局長)
先ほどから御説明申し上げましたとおりでございまして、刑事罰の対象にするのは、不正の競争の目的で、しかも対象、その本人が違法性を認識しているような悪質なケースに限って刑事罰の対象にするということでございます。
それから、営業秘密を企業内で適切に管理をするということについては、刑事、民事を問わず私は必要なことだろうと思います。日本は今まで会社の中で従業員との信頼関係ということで、例えば先生御指摘の共同研究開発に入る際に、そういうことについての秘密保持契約というふうなものは結ばないで信頼関係でやっておったというのが日本の企業のこれまでの、大多数の企業の傾向だと思います。しかしながら、意識も変わってまいっておりますし、そこはあらかじめ当事者間で、この範囲の部分については会社の秘密に相当するのでこれは外に漏らさないということを研究開発の前に契約を結んで入るというのがこれからの一つの道ではないかと思います。
それが、管理のし過ぎによって萎縮をもたらすか、それとも権利義務関係が明確になって自由にできるかというのは個々の企業の判断だろうと思いますけれども、私は産業界の、今の産業界の実態から見ると、そういう契約が普及をして権利義務がしっかりしてくるというのが出発点ではないかなと思います。
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○加藤敏幸 まあ論は論として、現実の企業、これは企業としての風土があり、組織土壌という言葉が使われているし、働く者自身の生身の関係論ということもこれありと、こういうような形で動いておるわけですから、はなから契約という、社会契約論的に契約をもってすべてのスタートラインということにもなかなかなじまないという部分もあると思います。先ほど厚生労働省の方から、十分な周知徹底というふうなこともこれは必要だということであり、かつこれは企業内においても、大手企業、中小零細を問わず、やっぱり一つの職業文化というんですかね、職業行動規範ということの大きな変革を必要にしてくる、そういうふうな大きなテーマであると、こう考えるわけでありまして、何も国会議員は話を大げさにしてわいわい騒ぐということじゃなくて、真実そういう視点がなければ、私は目指すべき目的はなかなか達成できないと思っているわけです。
また本件については、後ほど大臣の方からもお考えを述べていただきたいと、この後に御質問をさせていただきますが、その前に、今いろいろな、その意識であるとか周知徹底というふうなことが議論になりましたので、ひとつ転職者の側に立って質問をしてみたいと思います。
不正競争防止法による民事訴訟、あるいは今回のように刑事罰の拡大に対して、転職しようと思っているエンジニアや営業マンはそれなりの自衛手段をこれから考えていかなきゃならない。企業は契約企業社会にしていくんだという方針で済むけれども、その対応する、反対側に立つ転職者、働く側としては、やっぱりそのことについて自分自身も自衛手段を考えていかなきゃならないということになります。
具体的に言えば、不注意な自分の行動だとか、対応によっては自分の人生の破綻を招くという、そういうおそれもやっぱりあるわけですが、そういうふうな意味で、最近では、職場で知った情報を次の職場で使う可能性がある場合は予防立証をすることが勧められている。これは最近よく本にも書かれております。営業日誌など、自分の行動や交渉経過などを連続的に記述したペーパートレイルと、こういった方法と、開発中に営業秘密にアクセスしないことなどの旨を宣誓供述書として残しておくというクリーンルームという、二つの方法が有効だと世上言われているわけであります。
こういうふうな手法を含めて、このことは手間暇掛かるけれども、働く側にとっても将来の自分を守る自衛手段であると、そういうふうな立場に立つならば、例えば社内教育や労働協約締結時、あるいは特に営業職やセールスエンジニアや研究開発関係者などの転職者あるいはその予備軍に対して予防立証を含めた不正競争防止法に規定される知識や情報を与えていくことも、これは重要だと思うんです。
一般周知、公開することでそういうことがすべて終わるということじゃなくて、やっぱりこれだけの刑罰を構えてやるということならば、そのぐらいの親切をもって予防することが人生を失う人の数を最小限、ゼロにするという意味で、私は、行政、立法ともに努力する必要があると、こう考えるわけであります。
一昨年1月に経済産業省でまとめられました「営業秘密管理指針」は、すべて企業サイドへの情報提供であり、大変御親切だと思いますけれども、従業員サイド、働く側に立ったアドバイスということについてはないじゃないでしょうか。このことを経済産業省じゃなくて働く者の代表官庁である厚生労働省にも問うてみたいんですけれども、これも業務の中でいろいろ細分化しておるようでございますので、まずは経済産業省に、私が今申し上げました従業員サイドに立った施策、この点についてお考えをいただきたいと思います。
○政府参考人(北畑隆生・経済産業省産業政策局長)
委員御指摘のとおりでございまして、営業秘密に関するトラブルが回避される、なくなるということがまず大目的であろうと思います。そのために、そういうトラブルを回避するためにあらかじめ契約を普及させるというようなことが必要じゃないかと、先ほど御答弁させていただいたとおりであります。
とりわけ、転職に伴うトラブルというのがこれから増加をするというのは、私どももそのとおりだと思います。委員から御示唆をいただきましたペーパートレイルとかクリーンルームといった海外の手法も私どもよく勉強いたしまして、営業管理指針は、必ずしも企業サイドということではなくて、従業員との明確な形でのトラブル防止のための指針ということでもございますので、御指摘の点も含めて「営業秘密管理指針」の改定に臨んでまいりたいと考えております。
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○加藤敏幸 ひとつ厚生労働省とも連携をしていただきまして、この法律のお世話になる人がゼロであると、このことを私は目指していき、かつ、企業にとっても大変重要な営業秘密が外に漏れることがない、そういうふうな社会づくりに私どもも努力していく必要があるのではないかと思います。
さて、先ほど来いろいろ話題になっておりました秘密保持契約の在り方について、少し関連して御質問したいと思います。
先ほどの話にもありましたように、今後は企業としても営業秘密を守っていくために社員や退職予定者との間で秘密保持契約や競業避止義務契約を結んでいくことが増えていくと思いますし、先ほど局長はそういうことをするべきだと、こういうふうに言われたと思います。
これらの契約は、退職者の営業秘密の不正取得、不正開示・使用に関して民事上の損害賠償を請求しやすくするという意味で、企業側の予防手段として大いに活用できるものであります。しかし、このような契約というものは、やはり締結時期における労使間の力関係から生ずる問題や、ちょっとした解釈をめぐるトラブルが将来起きる可能性もあると思います。当然、職業選択の自由や起業の自由との関係もあり、とにかく今後慎重にある面で対応する必要もあると考えられます。
特に、途中退職、途中離職というのは、恐らく円満な形で退職するというのはむしろまれな方で、実際は、会社都合の解雇とか、あるいは会社の経営方針の問題や人間関係など、本人がもうこれ以上やっていけないという極限状態に置かれて辞表を出すというふうなことも大いにあり得るというふうに考えます。労使の力関係からいうと、退職金の算定に影響力を持つ会社側が優位に立つことは明らかであり、もちろん、労働者側も退職金を犠牲にしてでもがんじがらめになる営業保持契約など結ばなくてもよいとする、そういうケースもありうるわけですけれども、まあこれは少ないでしょう。
そういうようなことを考えますと様々なケースが想定されると思いますけれども、経済産業省として、これから契約モデルの検討に入られるということを聞いていますが、この視点から留意点などを是非お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(北畑隆生・経済産業省産業政策局長)
退職者も含めまして、従業員と会社側でどのように営業秘密を守るルールを作るかという御質問かと存じます。
私どもは、営業秘密を管理するという側だけではなくて、例えば御指摘ありました退職者にとっても、退職後に負う守秘義務の範囲が明確になっているということが退職者にとっても重要なことであろうと思います。したがいまして、営業秘密管理指針の改定に当たりましては、企業側と従業員あるいは退職者との適正な秘密保持契約の在り方、こういうものを追求するということで検討してまいりたいと考えております。
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○加藤敏幸 次にもう一つ、競業避止義務の問題について伺います。
競業している業界だとか競争相手に就職するとかしないとか、そういうふうな問題が往々にあります。今回の法改正とは少し別のジャンルというふうには考えられますけれども、この際、競業避止義務というものを今後の経済活動の中でどのように位置付けていくのか、これも非常に大事なことであると考えます。働く人たちが今回の法改正を誤解して、大変な制約があると、秘密保持契約も結ばないといけない、あるいは競業避止ということで同業他社に就職したらあかんぞとか、そういうふうな訳の分からない誤解が世の中を漂い始めるということは良くないと思うわけであります。
そういうような意味で、今日、我が国では中小零細企業や自営業者の廃業が相次ぐ中で起業を活性化させる政策は極めて重要になっておりますし、これは今日までの委員会の中でも縷々ご議論をされてきたことでありますし、本日も午前中そういう趣旨の御質問がございました。
独立型の起業においては自分が企業内で培ってきた技術あるいはスキル、ノウハウを生かすことが基本でありますが、しかし、競業避止義務が想定する公序良俗に反する範囲が拡大していくと、これは業を起こす起業活動そのものに影響が出てくるということもあります。これまでの裁判判例の積み重ねもございますが、営業地域の範囲や営業開始時期に制限を加えることが一般的になっておりますけれども、これも自由競争という観念から幾つかの問題点が指摘されている昨今にございます。
政府として、営業秘密の不正開示、不正利用の問題と同様に、この競業避止義務における制限の在り方などについて一定のガイドラインを出すなどの必要性があると私は思いますけれども、御見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(北畑隆生・経済産業省産業政策局長)
競業避止契約につきましては、私、御説明しております営業秘密の契約とは別物でございまして、より営業秘密の保護を外形的に担保するための契約であると、このように考えております。したがいまして、御指摘のとおり、退職者の転職の自由との関係ではより慎重な取扱いが図られるべきものだと考えております。
過去の裁判例におきましても、期間、区域、職種、使用者の利益の程度、労働者の利益の程度、労働者への代償の有無等、諸般の事情を総合して合理的な制限の範囲内でのみ認められる。無効とされるケースも多いと、こういうふうに受け止めております。また、競業避止義務の契約の期間につきましても、2年間で有効と認められるものがあれば、片方、3年以上のものについては無効と、こういった判例でございまして、非常に抑制的に行われているものではないかなと思います。
私どもは、転職そのものを外形的に担保するというよりは、在職中に知り得た秘密であってその企業にとって重要な営業秘密に限って、退職者に交渉の上、契約を結んでいくと、こういうのが正しい、目指すべき方向ではないかなと考えております。
○加藤敏幸 御答弁は競業避止義務契約をそれなりに是とする内容でございますけれども、このことが働く者にとって一般周知されていくが必要だと思います。競業避止というものが、今局長が言われたように非常に制限的な範囲に判例においてもあって、みだりに不利にする競業避止契約は無効なんだと、こういうふうなことも併せて私はやっぱり周知していくことが大事です。そういうことをやらなければ、私は、今回御提案の法律の趣旨を本当に労使共々が力を合わせてやっていくという条件づくりにはならない。そういう意味で競業避止義務契約のあり方についても、ガイドライン等に必要性を訴えているわけであります。
つくるという御回答ではないので、できればこういう私の意見も考えていただきたいと、よろしくお願いをしたいと思います。
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次に、海外における営業秘密開示の捜査という視点で法務省にお伺いをいたします。
今回、営業秘密の国外開示については、個別の国名を出しては問題があると思いますが、やっぱり中国、韓国、台湾、こういうふうな国も想定の中に入っていると、あくまでも想定だということでございますが。
ここでは、本人が日本の会社を退職し、外国の企業に再就職をし、現地で我が国の営業秘密などを開示して、この結果、日本の企業あるいは現地の日系企業の経営に重大な影響を与えるという構図が想定されますが、果たして今回の法改正が今言いましたことについて実効性を持つのかどうか、こういう視点から考えてみました。
恐らく、国内以上に海外での捜査、立件は難しくなるのではないか。また、不正開示した者が、これは人ですけれども、海外に移住している場合、あるいは帰国してこない場合は、捜査の国際的な協力体制を取ることも要請されてきます。さらに、容疑者の引渡しの問題も生じますが、こういった国際的な犯罪に対して立件、検挙が実質的にできるのかどうか、また、いかなる国際協力体制が必要になるのか、法務当局の御見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(大林宏・法務省刑事局長)
国外犯処罰規定を導入することにより、外国で犯罪を行った者を我が国で処罰することが可能となりますけれども、このような場合でも、御指摘のとおり、被疑者が外国に居住していたり捜査に必要な証拠がなお外国にあることが予想され、この種事犯の摘発のためには、外国の捜査機関との連絡を密にしつつ、犯罪人引渡しや捜査共助を積極的に行うことが不可欠であると思います。
今委員の方から国の名前も出されましたけれども、その国とは現在、司法共助あるいは犯罪人引渡しに関して交渉しているといいますか、お話合いをしているところもございまして、今後、こういう問題につきましては諸外国と協力関係を更に充実させていきたいと、このように考えております。
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○加藤敏幸 大臣にハイライトの質問をしようと思っていたのですが、ちょうど席をはずされていますので、模造品対策について少しお伺いしたいと思います。
電子情報技術産業協会が、日本の大手電機メーカーとそっくりな社名が香港で勝手に登記され中国などで不正使用されているとして、知的財産権侵害調査制度に基づいて調査申出を行ったところ、政府は5月13日、調査開始を決定したと発表されましたし、午前中の御答弁の中にも関連したお話がございました。
これは、午前中名前が出ました松下電器産業以外にも日立製作所、東芝、三洋電機、4社の社名に酷似した商標が勝手に使われ、その製品が香港や中国で生産、販売され深刻な被害を受けていることに対し行われたもので、政府は10月初旬まで香港での実態を調査し、問題が判明すれば、香港政府などと協議して制度やシステムの改善などを求める方針と聞いております。
やはり海外での知的財産権侵害については当該国に直接働き掛けることが一番であり、今回、最初のケースでございますので、午前中、概略お伺いをしたんですけれども、頑張ってもらいたいと、こういう気持ちを込めて御質問でありますので、意気込みなどを含めて御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(石毛博行・経済産業省製造産業局長)
お答えいたします。
今、加藤先生から答弁の内容を全部お答えいただいてしまったものですから意気込みだけを言うような感じになるわけですけれども、今お話がありましたように、この4月に創設された制度でございます。何よりも民間企業、団体からの申立てがまずあって、それに基づいて政府が調査をして、その内容を、その調査内容を見て、必要があれば相手国と二国間協議をするというものでございます。
したがいまして、ポイントになりますのは、その調査をもちろん的確に進めるということと、その二国間協議の中で、相手国政府の制度に問題がある、あるいは運用に問題があるということであれば、それを撤回する、是正するように強く申し入れていくということが必要だと思っています。制度の名前自体は調査制度というふうになっておりますけれども、事の本質は、二国間で協議をして、その是正を迫るということだと私ども思っております。
いずれにしましても、御質問のこの具体的な案件につきましては10月4日までの調査期間ということで調査中でございますので、その調査の内容は今ここで、まだ始まったばかりですので触れられないわけでございますけれども、私どもこの案件を着実に調査しまして、必要な協議、もし生ずれば行っていきたいというふうに思っております。
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○加藤敏幸 あわせて、弁理士法のテーマが出ておりますけれども、本件につきましては、午前中、平田委員の方からも抱き合わせ的な提案ではないかと指摘されています。我が会派としては本件についてあまり潔しとはしないわけでございますけれども、しかし、さりとて、このまま何も議論なしにということにもなりませんので、一言、御質問申し上げたいと思います。
一つは、ADRに関しまして弁理士の皆さん方の職務範囲が拡大をするし、社会的にも知財に関するテーマは増えてくる、そのニーズが増えてくるだろうし、仕事が増えるだろうし、中身の高度化ということもありますし、対応も難しくなってきている。
こういうふうなことを考えたときに、今日も来ておられますけれども、弁理士の皆さん方が何も不勉強だとか、研さんしておらぬとか、そういうことを言うわけではないのですが、やっぱり私は、日々進歩している状況に対してしっかりとした対応が必要だと思います。それは、弁理士御自身がお勉強されるということも大切ですけれども、やはり研修制度の在り方ということもいろいろ考えていく必要があるのではないかと思います。そこで研修制度の問題についてどう考えられるのかということが一点。
それからもう一つは、特定不正競争につきまして、これ、弁理士法の方を読みますとずっと規定されていまして、特に第二条で規定され、これは不正競争防止法の方では第2条の十何項目規定をされていますけれども、弁理士法の方は特定不正競争をはめて入れて、不正競争防止法の方は逃している項目、外している部分がありますよね。こういうふうなことで、技術的な内容とかも考えてみますと、これはやっぱり、弁理士か関われる特定不正競争の項目としては全体的に包含をしていくべきではないかと、こういうふうに考えるわけであります。
改正されて弁理士法は平成13年1月6日施行ということで、五年後の見直しということでいくと平成18年ですか、見直しの年次だと理解をしておるわけでありますけれども、私としてはそういう方向での、分野拡大という方向での見直しも必要か、というふうに思いますが、特許庁長官の御見解があればお伺いしたいと思います。
○政府参考人(小川洋・特許庁長官)
まず、研修の関係でお答え申し上げます。
今回、社会的ニーズ、それから弁理士の経験、能力等を総合的に勘案しまして、弁理士の業務に裁判外紛争処理手続の代理につきまして、著作権に関する紛争を追加させていただいたわけでございます。
こうした新しい業務に加えまして、正に先生御指摘がありましたけれども、経済活動がますますグローバル化の一途をたどっておりますし、技術革新は急速に進んでございます。そういう意味で、弁理士にはより一層、国際性でありますとか先端技術についての知識など高度な専門性が求められてきております。こうした社会的なニーズにこたえていくためには、個々の弁理士の方々が関係の研修を受講されたりして日々自己研さんに励まれ、その資質を向上させていくということが求められている、社会から求められているというふうに考えてございます。
そのため、日本弁理士会におかれましても、テーマ別の会員研修等各種の研修を充実させてこられております。私ども特許庁といたしましても、従来は私どもの職員を対象としておりました先端技術研修等ございますが、そういった研修にも弁理士の方々も参加いただきまして活用していただく、そういう形で弁理士の方々の資質向上を御支援していきたいというふうに考えてございます。
それから、二点目の特定不正競争についてのお尋ねでございますが、平成12年の弁理士法の改正におきまして、新たに弁理士の業務範囲に不正競争という分野を付け加えさせていただいたわけでございますが、その際でございますが、これまでの経験、知見を生かせるものとして、弁理士の持っておられます専門的知見でありますとか業務経験に照らしまして、不正競争防止法に規定されます不正競争の中でも特に産業財産権に関係の深いものを特定不正競争として弁理士さんの新しい業務として追加をさせていただいたわけでございます。
この特定不正競争の今後の扱いでございますけれども、ADR、裁判外紛争処理手続の利用者あるいは日本弁理士会、それから法務省、日本弁護士連合会等、幅広く関係方面の意見を聞きまして、また、今回の改正も含めまして、それから、12年の施行後のいろんな取組みがございますので、そういった後の弁理士さんの活動状況も確認しながら、今御指摘のありましたように、弁理士の専門性を適切に生かせるものがあるのかないのか、そういう観点から、弁理士法の附則の13条に規定する施行後5年経過後の見直しの中で検討を進めたいと思っております。
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○加藤敏幸 最後の質問に入りたいと思います。私も電機産業の出身ですから、液晶の事例を出されましたのでお話ししたいと思います。液晶を研究しておる職場に行って質問しますと、やっぱり現場のエンジニアは怒っているんです。海外に出ていって、大体だれが持ち出したか分かると、中身を見れば、別にDNAが入っているわけじゃないんですけれども、やはりそれは裏切りだと。自分たちが汗水流して10年も20年も長い間、いろんな人の努力の結晶が今日ここまで到達した、それを、その苦労もなしに、対価も払わずに、どのぐらい報酬をもらったか分かりませんけれども、あるいは出したかも分かりませんけれども、そのことによって一夜にしてその技術を入手する、これは何なんだと。正に、大罪とは言いませんけれども、私はやっぱり犯罪ではないかと、こういうふうなことで、職場で非常に強い憤りを持っている仲間もおられます。
私は、そういうふうな仲間を、声を背中に受けながらも、しかし一方で、さはさりとて、一生懸命汗水流して働いてきた人たちが、先ほど言ったように年金支給開始年齢は遅れる、それとの間、何年間どうやって食べていけばいいのか、今大学に行っておる子供が卒業するまでの学資をどうすればいいのかという、生活上の苦しいそういう状況に追いやる。そういった人事制度が今どんどん出てきているのではないでしょうか。
そういうような意味で、私は二つの側面から考えなければならないと思います。
一つは、やっぱり営々として築き上げた営業秘密、それから製造ノウハウ、知財、こういうふうなものはやっぱりきっちり世の中の大切な宝物として同じように管理する、こういう必要性があります。もう一つは、そんなことをする人も元々はあなたのところの社員だったんでしょう、同じかまの飯を食って一緒に働いてきた人じゃないですか、その人がそういうふうなことになっていくそれなりの生活上の事情なり状況が出てきたのではないんですか、と考えたときに、やっぱり最近会社が冷た過ぎるんじゃないかと思うわけです。業績主義やリストラや早期退職だと、いろんな制度一杯あって華々しくやっておられるけれども、要は従業員に対する血の通った温かい政策を失っておるんじゃないかと。
その人たちが会社に入ったころ、若いころは安月給で、定年前になったらお前たくさんもらえるから頑張れといってやったけれども、40過ぎ、50過ぎて楽しみにしていたら、はいリストラと、こういう世相についてもしっかり見ていかなければならない。一方的に退職者のことばかり取り上げ、刑罰だとかそういうことだけでは私はやっぱり均衡を欠くと、こういうふうな思いです。本当に日本の産業を、物づくり日本再生ということのためには、私はこういう経営者の経営理念、職場における労務管理、そしてその中で契約社会にはするけれども、ベースには信頼関係がなければ駄目なんですよ。
この信頼醸成のために、私は是非大臣に、経団連の皆様方に言ってほしい。経営者の中でも、もうほとんどの人は分かっているのですから。でも、そのことをしっかり言葉として発していただきたい。このことを最後の質問にさせていただきたいと思います。
○国務大臣(中川昭一・経済産業大臣)
加藤委員から、大変、技術者として、また企業人としての誇りを持った御質問を先ほどから拝聴させていただいております。
やはり、日本がこれから知的財産立国として生きていかなければならない、また生きていけるというふうに思っております。そのためにはいろいろと、政府としてもいろいろバックアップをしていかなければならないと思いますけれども、やっぱり主役は人材であり企業であるというふうに思っておりますので、その能力を十分発揮できるように。
御指摘のように、片方では、やる気をなくすような刑罰的なものが強過ぎても駄目ですし、片方では、どんどん知的財産が不法に流出するということもあってはならないと思います。先ほどADRのお話もございましたけれども、特許庁と弁理士の先生方とが、あるいはまた企業のプライド、倫理観とが両々相まって、みんなでこの知的財産立国をつくり上げていくということが大事だと思いますので、当委員会の先生方の、とりわけ加藤先生の御指導をよろしくお願いします。
○加藤敏幸 質問を終わります。

