国会質問

第162回通常国会 経済産業委員会(2005年5月10日)

原子力発電関連法案について質問(経済産業委員会)


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 参議院に付託された「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立ておよび管理に関する法律案」に関して、経済産業委員会で質問を行いました。
  この法律案は、原子力発電において、使用済み核燃料の再処理・貯蔵費、廃炉の経費、放射性廃棄部の処理など、いわゆる「バックエンド事業」にかかる経費(総額18兆8000億円)について、その原資を電気料金から徴収して外部機関に積立てようとするものです。

【質問要旨】
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  1. 原子力政策推進の前提条件について
  2. エネルギーのポートフォリオ議論の重要性について
  3. バックエンド負担の公平性と自家発電の問題についていて(消防庁への質問)
  4. 特定規模電気事業者(PPS)の既発電分負担に関する議論経過について
  5. 国際競争条件と電力料金の問題について
  6. 環境対策に関する国際的協力体制について
  7. 原子力政策における国民の合意形成について
  8. 原子力電源の今後の扱いについて

○経済産業委員会 佐藤昭郎委員長 ただいまから経済産業委員会を再開いたします。休憩前に引き続き、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。

1、原子力政策推進の前提条件について

○加藤敏幸 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。藤原委員に引き続きまして質問をさせていただきます。午前中はプロフェッショナルなお二方の御質問を聞かせていただきましたが、私はアマチュアの目線でいろいろと御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この法案は、原子力発電の一層の推進ということと核燃料サイクルの必要性ということを前提として提案をされていると思います。そして、その理由として、一つはエネルギーセキュリティーの確保、並びに地球環境保全の二点が挙げられています。石油、石炭を始めとする化石燃料の今後長期にわたる安定的確保が定かでないこと、また、我が国が京都議定書に織り込まれたCO2排出の大幅削減の義務を負っていることを考えますと、原子力発電の推進は正に我が国の公益的課題に沿うものであると、このように考えます。
 しかしながら、これらの主張は幾つかの前提条件の下で成り立っているということも事実であります。例えば、その前提条件として主に三つ挙げさせていただきますと、第一は、ウラン資源が今後も長期的、安定的に確保されるということであります。ただ、この点につきましては、中国を始めアジア地域における今後の原子力発電の拡大がウラン資源の需給バランスを崩していくのではないかという懸念があるということです。第二は、使用済核燃料が再利用できるという核燃料サイクルが確立されるということでございます。第三に、化石燃料を使った発電技術が飛躍的な効率向上と、正にそういう大きなブレークスルーが余り期待できない。あるいは、自然エネルギーや水素エネルギーなどを利用した新エネルギーにつきましても、午前中、加納委員の御指摘もございましたように、大変発達はしていますけれども、全体に占めるウエートというのは一けたも二けたも低いのではないかという意味で、日本のエネルギーの屋台骨にはなかなかならないという、そういう見通しがあると思います。
  これらの前提条件につきましては政府としても関係審議会などで様々な御検討をされてきたわけではございますが、どのような科学的な見地あるいは経済的見通しに立ってこれらの諸点について検証されてきたのか、御説明をいただきたいと思います。

○小平 資源エネルギー庁長官 お答えを申し上げます。
  今、何点かにつきましてお尋ねがございましたので、少し長くなるかと思いますけれども、それぞれにつきまして御説明をさせていただきたいと思います。
  まず、ウラン資源でございますけれども、ウラン資源につきましては政情が安定した国々に分散して賦存しているという特徴がございます。現在のところ、我が国の電気事業者が海外のウラン資源開発会社との長期購入契約を締結することなどによりまして適切に確保がされているものというふうに認識をいたしております。
  他方、世界のウラン需給でございますけれども、現在の世界のウラン生産、一次供給でございますけれども、これは世界のウラン需要の約5割から6割でございまして、この不足分につきましてはアメリカ、ロシアの核兵器の解体に伴いまして発生するウラン等のいわゆる二次供給により賄われているという状況にございます。
  今後は、こうした解体核からの二次供給が減少することに加えまして、先ほど御指摘ございましたように、中国を始めとするアジアにおける原子力発電所の新設等に伴いますウランの大幅な需要増が見込まれておりまして、早ければ10年後にも供給不足となるという予想もあるところでございます。このため、限りがありますウラン資源を有効利用するという観点から核燃料サイクルの必要性が高まっているものというふうに考えているところでございます。
  次に、核燃サイクル、核燃料サイクルでございますけれども、これにつきましては、原子力委員会長期計画策定会議におきまして、すべて公開の下に小委員会も含めまして18回、延べ45時間にわたります徹底的な議論が行われまして、全量再処理、全量直接処分等の四つの基本シナリオにつきまして、エネルギーセキュリティー、経済性、技術的成立性等、十項目の視点から総合的に評価が行われました。
  その結果、主に、再処理路線は、直接処分路線に比較いたしまして、経済性の面では劣るけれども、エネルギーセキュリティー、環境適合性、将来の不確実性への対応能力等の面で優れていること、第二に、長年掛けて蓄積してきた技術、立地地域との信頼関係、我が国における再処理に関して獲得してきた様々な国際合意等は維持すべき大きな価値を有していること、第三に、再処理路線から直接処分路線に政策変更を行った場合において、原子力発電所からの使用済燃料の搬出が困難になって発電所が順次停止するおそれがあることや、中間貯蔵施設と最終処分場の立地が進展しない状態が続くことが予想されることといったような理由から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを基本方針とするという中間取りまとめを行ったところでございます。
  次に、化石燃料の発電効率でございます。化石燃料の発電につきましては、負荷追従性に優れているという特性はございますので引き続き一定の役割を果たしていくものと考えております。
  発電効率でございますけれども、石炭火力発電につきましては、石炭をガス化いたしまして発電する技術開発等を通じまして、従来型のもの、40%から約10%向上することが見込まれております。LNG発電につきましては、コンバインドサイクル発電、現在約50%の効率でございますけれども、これが更に高まることが期待されるわけでございます。こうした効率の向上によります二酸化炭素の排出量の削減率はこの向上の範囲内にとどまるということでございます。これに対しまして、原子力発電は発電過程で二酸化炭素を排出しないという環境面での優位性を有しており、今後の温室効果ガスの削減に当たってはより大きな役割を果たすものというふうに考えております。
  新エネルギーでございますけれども、これは、エネルギー自給率の向上、地球温暖化対策の観点から積極的に推進しておりますけれども、本格的な普及を実現いたしますためにはコストが高いといったような課題を克服する必要がございます。新エネルギーの一次エネルギー供給に占めますシェアにつきましては、総合資源エネルギー調査会需給部会の2030年のエネルギー展望におきまして、2002年度実績1.6%に比べまして2010年度で3%、2030年で約7%というふうに伸びていくというふうに見通しておりますけれども、当省といたしましては、今後ともこの導入拡大に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

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2、エネルギーのポートフォリオ議論の重要性について

○加藤敏幸 ありがとうございました。
  そういう分析なり見通しに立って正に日本のエネルギー、基本的な政策を考えていくということでございますけれども、総合資源エネルギー調査会需給部会がこの3月にまとめられた「20303年のエネルギー需給展望」では、エネルギー需給構造の分析やシナリオ分析を具体的かつ厳密に行われ、その分析結果からもエネルギー需給の柔軟性を求める姿勢が大いに出ているのではないかと評価をしたいと思います。
  そこで、私は、地球環境問題の抜本的な解決手段を求めると、やはり近年著しいエネルギー技術の胎動を注視することが必要であると考えます。
  2030年、そういう20年、30年のレンジで考えるならば、技術開発のブレークスルーによってはエネルギー供給におけるポートフォリオがドラスチックに変わる可能性も十分にあると考えられると思います。
  この需給展望の中でエネルギーの供給問題を新エネルギーの役割を含めましてポートフォリオ論から説明していくことは国民的な理解が得やすいのではないかと考えます。2010年あるいは2030年においてはどのようなエネルギーの組合せがベストミックスであるのか、そういう国民的議論を起こすことが必要であると考えます。コストを重視するのか、あるいは安定を重視するのか、あるいは環境を重視するのか、その視点の置き方によってポートフォリオは大きく変わってくるはずであります。
  特に、エネルギー政策全体の中で原子力発電の位置付けについても、硬直的にと申しましょうか、賛成か反対かと、そういう見方、あるいは硬直的な目標値を出すとか、そういうことではなくて、政府が科学的知見に基づく様々な情報を広く提供し、最終的には国民がいかなるポートフォリオを選択するのが本当にいいのかと、そういう生きた議論が今日本におけるエネルギー全般の議論の中でも大切ではないかと、このように思っている次第でございます。「2030年のエネルギー需給展望」には、現在における私ども日本国の英知がある意味でここに結集しているとするならば、その内容もさることながら、このことの中身、特にポートフォリオ課題の在り方ということについて国民への広報活動を展開していくことが今一番必要ではないかと、このように考えますが、展望の中身、あるいは先ほど私が申し上げました点についての御見解を伺いたいと思います。

○小平 資源エネルギー庁長官 お答え申し上げます。今、先生から御指摘がございましたように、今回の2030年の長期の需給見通しでございますけれども、これは従来行っていなかったものでございまして、従来行っていなかった長期の見通しを作成をいたしましたが、その際には、今御指摘がございましたように、省エネルギーの進展、これは従来技術だけで対応するとどうなるか、あるいは更に新しい技術を適用していくとどうなるかというようなこと、あるいは原子力発電所の新規立地がどの程度進むかというようなこと、それから経済成長率、原油価格等の不確実性の高い要素につきましては幅を持って想定をするということで幾つかの道筋を示しまして、全体として柔軟性を持たせた見通しを作成したところでございます。
  これは、特にこういう2030年までの長期ということになりますと、今先生の御指摘ございましたように、幾つかのシナリオを提示いたしまして、それに基づいて様々なところで議論をしていただきながらエネルギー政策を遂行していく必要があるという観点から作成をしたものでございまして、この見通しの中での特徴を幾つか申し上げますと、エネルギーの需給構造でございますけれども、エネルギー需要の伸びは人口、経済、社会構造の変化により鈍化をいたしまして、2014年ごろには自然体でまいりましても頭打ちになると。さらに、技術を実用化、普及すれば更に減少する可能性があるというようなこと。それから、エネルギーの供給構造につきましては、天然ガスのシェアが高まる一方で、石油はシェアが低下するものの依然として4割程度を占める重要なエネルギー源であると。また、原子力はベースロードに対応した電源として引き続き発電電力量の4割から5割の安定的なシェアを占めるというような需給見通しになっているところでございます。
  こうした見通しに基づきまして、具体的な政策を進めていきます上では、省エネルギーの推進でございますとか原子力発電の推進など国民の皆様の御理解と御協力を得ていくことが不可欠であるというふうに思っております。そのために、エネルギー基本計画とかエネルギー需給展望の策定に当たりましては、広く国民の皆様からのパブリックコメントをいただいておりますほか、各地で地方公聴会を開催するといったように、様々な形で国民的な議論を踏まえるように努めてきているところでございます。
  また、先ほど申し上げましたような需給展望に示されました基本的な考え方につきましては、新聞、マスメディアを通じた広報、各種シンポジウムの開催、パンフレットの作成、エネルギー白書の作成などを通しまして国民の皆様に広くお知らせするとともに、学校におきますエネルギー教育の充実などにも取り組んでいるところでございます。

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3、バックエンド負担の公平性と自家発電の問題について

○加藤敏幸 是非とも、特に学校教育の場において、次の世代の子供たちに2030年になったらあなたたちも選挙権をもっているのだから、この展望の内容についてきちんと説明する、そういうようなことも含めて広報活動を展開していただきたいと思います。
  次に、バックエンドの受益者負担の公平性と自家発電の問題について少しお伺いをしたいと思います。基本的に原子力発電はいわゆるフロントエンドと呼ばれる初期投資が大きく、また立地もいろいろ問題が多く、解決に長期化を要する、さらに地域の合意が得られにくいという立地そのものの持つ困難性、そういうようなものを含んでおります。
  国策としての原子力発電推進は、言わば電気事業者にとっては経営的に実力を超えたリスクを背負っているわけであり、それだけに、今後とも公的な支援政策がないと電気事業者として経営責任は果たせない、あるいは供給責任を果たせないということではないかと思います。今回のバックエンドに対する施策はその一環のものであると考えますが、結論的には積立金の原資を電気料金に含めるという受益者負担の形で御提案をされているということでございます。
  私は、エネルギーの利用に関しては当然、受益者負担という原則が貫かれるべきだと考えますが、この受益者負担はやはり公平性の観点が不可欠だと、このように考えます。この視点から幾つかの問題点が出てくるわけでございますが、それは、バックエンドへのコストを特定規模電気事業者、いわゆるPPSから既発電分を含めて徴収されるのに対し、現在増え続けている自家発電からは徴収しないということでございます。自家発電が現在十数%のシェアを占め、今後その割合が増えていくことが予想される中で、私は、やはり公平性の観点から近い将来問題が生じることにならないかと懸念いたします。
  当然のこととして、自家発電の有利性が強まれば需要家の自家発電へのインセンティブが強く働きますし、小口の需要家も分散型の自家発電に積極的に投資していくのではないかと思われます。そうなると、一般電気事業者の経営環境はますます厳しくなることが予想されますが、私は一般電気事業者の肩を持つ気はございませんけれども、この自家発電に対してどのように見ておられるのか、また、今後、原子力発電との関係や環境コストへの負担という視点からどのように対応されようとしているのか、お考えをお伺いしたいと思います。

○保坂 経済産業副大臣 お答え申し上げます。
  御質問の原子力のバックエンド費用の負担でございますが、これは御案内のとおり、原子力発電による利益を享受したいわゆるユーザー、これが負担をすることになっておりまして、基本は受益者負担でございます。
  一方、お話がございました自家発電でございますが、これに関しましては現実的に自家発電をすべてで賄うわけではございませんで、原子力を活用した電力事業者からの供給も受けるわけでございます。したがって、その受けた部分に関しましては、当然バックエンド費用は負担をしなくてはならないわけでございますが、自分で発電した部分に関しましては、この発電者はいわゆる電気を供給する事業者ではございませんので、したがってこの負担がないという、そういう御指摘のとおりの矛盾があるわけでございます。
  これはほかの法律でも、特定放射性廃棄物拠出金制度や電気事業者が新エネルギー等の利用に関する特措法がございましたけど、これらも実は長期的な観点から免罪になっているわけでございます。罪じゃなくて、免除になっているわけでございます。しかしながら、今お話がありましたとおり、現実的に自家発電は既に15年レベルで15・8%まで伸びておりまして、しかも素材産業、鉄鋼や紙パルプなどでは既に30%を超えているわけでございます。
  したがって、長期的な供給体制を見ながら、この自家発電者の電力の供給といいましょうか、あるいは活用といいましょうか、これが電力市場にどういう影響を受けていくか、あるいは及ぼしていくか、こういうことをよく考えながら検討していく課題であろうと存じておりまして、今検討をしているところでございます。

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4、特定規模電気事業者(PPS)の既発電分負担に関する議論経過について

○加藤敏幸 ありがとうございました。検討中ということでございますし、私も直ちに結論が簡単に出せるというふうには考えていないわけであります。しかしながら、やはり負担の公平性ということを、私はある意味で、神経質なようですけれども、やっぱり目一杯議論として追求していく姿勢がなければならないと思います。この手の問題では、まあ楽をしたいとかうまくやったらいいんだとか、そういうふうなことが社会に蔓延するようでは、基本的なエネルギーを国全体として責任を持って確保することはできないわけです。先ほどお話がありましたように、300年にわたってどうするかというようなことも含めた議論を前提として、それぞれがそれぞれの立場に応じて等しく負担をしていく、そして、その姿勢を貫徹して国の責任としてしっかりとやっていっていただきたいと思います。
  先ほどPPSについて触れましたので、これに関連して更に御質問さしていただきたいと思います。
  現在、高レベル放射性廃棄物の処理、処分費用として拠出されております特定放射性廃棄物処理拠出金制度におきましては、PPSの顧客については既発電分の発電費として料金原価に算入させてきませんでしたと。そして、今回の使用済燃料再処理等積立金制度においては、PPSからも託送料金に上乗せして既発電分も徴収されることに方針が切り替えられました。
  この措置の変更について、どのような議論、経過があったのか、過去の積立分を含めた負担に対してはPPS関係者の強い不満もあると、このように聞いておりますけれども、改めましてこの場において、ここにかかわる議論についての御説明をいただきたいと思います。

○安達 電力ガス事業部長 ご説明申し上げます。
  今御指摘の特定放射性廃棄物拠出金制度でございますけれども、これは平成12年度に特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づきまして拠出金制度が創設されたわけでございますが、その際には電力の小売自由化が開始されたばかりでございまして、また自由化範囲が電力需要量の26%に限られてございました。このため、需要家間の公平性とか競争中立性に対し大きな影響はないと考えられたことから、過去の原子力発電によって生じた使用済燃料についての最終処分費用をPPSの需要家から回収する仕組みは導入しないということにされたところでございます。
  平成17年度4月から小売自由化の範囲が電力需要の過半を超えることになりましたが、既に拠出金創設後5年が経過してございまして、この間に、過去の原子力発電によって生じた使用済燃料に係ります特定放射性廃棄物の最終処分費用のうち、既に約40%に当たる約0.2兆円の回収を終えまして、今後平成17年度以降回収すべき費用は0.3兆円となってございます。それで、制度として根付いている本制度を変更することは市場参加者に対し無用の混乱をもたらすおそれがあるということなどから、現時点で拠出金制度を変更することは適当ではなくて、引き続き今後の状況をきちっと見守ってまいりたいと考えているところでございます。
  他方、今回の法律で積立ての対象になっております過去の原子力発電によって生じた使用済燃料に係ります再処理費用につきましては、平成17年度以降に要する費用は約6兆円でございまして、うち内部留保されている約2.8兆円を除いても3.2兆円と、平成17年度以降に回収すべき拠出金費用に比べて約10倍という額になってございます。このため、平成17年度4月から自由化範囲が電力需要量の過半を超えることになることを勘案いたしますと、過去の原子力発電によって生じた使用済燃料についての費用について、PPSの需要家からも費用を回収することは適当であるというふうに判断したところでございます。
  なお、これらの整理につきましては、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会において御審議をいただき、昨年8月に取りまとめられた中間報告を踏まえたものとなっているところでございます。

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5、国際競争条件と電力料金の問題について

○加藤敏幸 少し視点を変えさしていただきまして、国際競争条件という視点から、電力料金の問題について少し指摘をさしていただきます。私のライフワークといいましょうか、ものづくり日本、日本列島でものをつくるのだ、この条件をどうやってつくっていくのか。このことについては、昨年11月、中川大臣にもいろいろと質問させていただきました。
  そこで今回、原子力発電のバックエンドコストを最終需要者が使用料金へ上乗せする形で負担するということになりましたが、まあ単純に、ある気持ちからいって国際的に割高である我が国の電力料金の引下げに若干ブレーキを掛けるのではないかと、そういうふうな懸念というふうなものもあると思います。
  私は、先ほども言いましたように、ものづくり日本と、製造業の再生を言い続けておりますけれども、我が国の製造業を立ち直させて地域を活性化していくためには、まず海外展開を抑制して国内における工場立地を促進していく、これがまず第一の道だと。しかし、その際に障害となっているものは、我が国の法人税体系であったり、流通・輸送部門における非効率性や高コスト、あるいはまた電力、ガスなどのエネルギーコストが国際的に比較相対的に高い、こういう問題がある。もちろん、人件費の問題、福利厚生費の問題、これは労使間でいろいろ議論している問題で、最近はいろいろと労使が工夫して、これらの総額人件費の引下げということに努力をしているということでございますから、本日はテーマにいたしません。
  これらの問題は前川レポートの時代から言われ続けてきたことでございますが、やはり電力料金は国際水準にまで引き下げる努力は今後とも怠ってはならないと、このように思います。この点、もちろん公共料金である電力料金の決定方式の変更や電力自由化政策はそれなりの成果を上げてきたわけでありまして、電力事業者の労使の御努力については、私は本当に評価をしたいと思っております。
  そこで、今回のバックエンドコストの料金上乗せについてですが、国内の製造業その他、各産業の復権という政策目標からすれば、今回の措置というのはどっちの方向を向いているのか、との指摘があるわけで、この上乗せ分を上回る値下げの努力が必要になってくると思いますが、この辺のところは口で言うのは簡単ですけれども、やるのは難しい。そういう点で、政府として電力料金の国際水準までの引下げについて、今の時点でどのような道筋なり政策を考えておられるのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

○中川 経済産業大臣 電力エネルギーというのは、産業活動においても、また民生その他あらゆる活動、人間の活動において必要不可欠のものであるわけであります。そういう中で、電力料金が諸外国に比べて高いという加藤委員の御指摘は、現実、そのとおりでございます。
  ただ、自由化前に比較いたしまして、現時点におきましては、産業用あるいは家庭用を含めまして、世界の主要各国との価格差というのは縮まり、イタリア等では一部逆転をしているというデータもございます。引き続き関係者の皆様方には安全性等々を十分、あるいは環境面等を十分配慮をしていただきながら御努力をいただきたいと思います。
  そしてまた、電力に限らずエネルギーの安定確保ということは中長期的な観点にわたって必要なことでございますので、そういう意味で、いわゆるこの核燃サイクル、バックエンド費用というものも当然重要な位置付け、基幹電源としての中長期的な観点から必要になってくるわけでございますし、このコスト、費用は欧米諸外国におきましても電気料金として需要家からいただいているというのが通例でございます。
  そういった観点と、それから今加藤委員御指摘のように、物づくり、世界的な競争の中で勝ち抜いていくためには日本がこれからも大いに頑張っていかなければいけない、そういう観点でのエネルギー政策というものが足を引っ張るということがあってはもちろんいけないわけでございます。そういう方向に向けて関係者の御努力をいただいて、エネルギー政策、あるいはまた電気料金政策、政策といいましょうか、電気料金の体系も含めて皆で御努力をいただいて、そういう方向に進んでいけるように関係者の皆様にも御努力をいただきながら、御指摘の物づくり日本として今後も生き抜いていくための大きな役割を果たしていただきたいというふうに思っております。

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6、環境対策に関する国際的協力体制について

○加藤敏幸 大臣の答弁を踏まえまして、私はこの問題を考えているときに、国内料金が高い高い、引き下げろと、こういうことだけでは済まない課題を抱えており、それは私が立場として是非申し上げなければならないことが一つあるのです。
  それは、国際的な競争を考える場合に、公正労働基準の問題、私はそういう仕事をしてきましたけれども、労働者の労働条件について非常に賃金が安い、あるいは劣悪な労働条件を前提として国際競争で勝っていくのはやっぱり許されないわけであります。それは正にILOの活動が何十年にわたって、国際的な公正基準をいかに確立していくかという、そういう努力をしてきたわけであります。同時に、公正な競争条件ということからすれば、エネルギーコストについても、我が国のように安全性とか、それから環境対策だとかいろんなことを先進的に一生懸命やる、それらを含めて全部支えている国のコストと、一方で、ほとんど環境対策についてはお金を使わずに、石炭の生だきに近いような形で他国の酸性雨のもとをつくっているような、そういう安い電力を前提として物づくりをやって世界の工場だと言っている国がある。しかし、そういうふうなことで本当にいいのかと。私は、この課題というのは、国内だけで頑張ることも当然ですけれども、随分劣悪な電力で、地球に対しては極めて厳しい環境負荷をかけているような、そういう電力を前提として国際競争を戦っている国にもものを言っていかなければならないと思います。
  私は、そういう視点からも、この議論を国全体として、また国際的な環境に対する対応策というものをしっかりと議論していくべきだと考えます。余り具体的な名前は言いませんけれども、中国なんかはしっかりとこの課題を背負ってほしいと思います。そういう広い視点からも私の意見ですが、大臣も一言おっしゃっていただければ。

○中川 経済産業大臣 私になりましてからも去年5月にオランダでエネルギー関係のフォーラム、これは先進国も途上国も、あるいはエネルギー生産国も消費国も一堂に会して会議をやりました。そのときに私から、エネルギーについてはそれぞれの立場だけで頑張っても限界がありますので、みんなでそれぞれ違う立場で力を合わせていこうということで提案をし、それが今年1月にインドのニューデリーでアジアのエネルギー対話と、産消対話ということで、日本、中国、韓国という東の端から中東の産油国までの国々が集まって共同してやっていきましょうというフォーラムがスタートいたしました。これはもう年1回やっていきましょうと、2年に1回、三回目はたしか日本でやる予定になっておりますけれども、そして先ほど申し上げましたIEAでも私が冒頭の提言をしたところでございますし、もうそれは共同宣言の中にも取り込まれました。
  共同宣言の中で画期的なのは、やはり省エネ。最近、日本ではもったいないという言葉が随分と使われるわけで、サミットでも何か使われるとか使われないとかいう話がありますが、エネルギーについても省エネということが非常に大事である、あるいは何年ぶりかで原子力エネルギーも選択肢の一つであるということがあの会議の最終報告の中に盛り込まれたところでございまして、そういう成果は十分上がったと思います。
  加藤委員御指摘のように、幾ら日本が世界一だ、クリーンだ、省エネに努めていますといっても、お隣の国で煙もくもく、CO2、あるいは硫化物質その他がどんどん出て、あるいはまたそれが川を伝わり空気を伝わって、自分の国だけでかぶっているのだったら関係ないで済まされますけれども、こっちに降ってくるわけでありますからこれはもうとてもたまったものではない。どうぞ省エネもしっかりやってください、CO2その他の地球にとってプラスでない物質はできるだけ出さないようにしてくださいということで、先ほどから申し上げておりますように、それぞれの国が持っております技術を大いに移転をして、そしてできるだけ地球を汚さない。あるいはまた、IEAのデータでは日本と中国とのエネルギー効率が10対1ということでありますから、向こうで10必要だとしても日本の技術をもってすれば1で済むという単純計算になるわけでございますので、そういう意味でも、ただ爆食という言葉がありますが、やたらと集めて、そしてエネルギーとして燃やせばいいんだというだけでは、その国にとってももちろんプラスになりませんし、国際的にもいろんな意味で悪影響を及ぼすので、中国に限らず、特に省エネ途上国といいましょうか、あるいはまた地球温暖化途上国という国々に対しましては、それぞれ技術を持っている国々が協力をしたり、また共同で作業をやったり、いろんなやり方で国際戦略を推し進めていかなければならないというふうに思っております。

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7、原子力政策における国民の合意形成について

○加藤敏幸 さて、原子力発電の量的拡大並びに核燃料サイクルの実現化に向けて、政府は国策として民間の事業者への支援策を一段と充実させていかなければならないと思います。そして、その中でも一番大事なことは、この政策の推進に関して国民の支持を得ていくことだと、このように思います。
  例えば、2003年10月7日に閣議決定されましたエネルギー基本計画に対し、原発施設を多く抱える福島県の佐藤県知事は、「後に原子力政策が破綻したら今生きている者の責任だ。自治体はこれに拘束されない」と強く批判されました。やはり原子力発電の安全面あるいはコスト面だけからではなく、国のエネルギー政策全般について、国民の理解あるいは関係地域の理解は依然としてまだまだ不十分な状態にあると私は思います。
  そこで、まず政府として考えていただきたいのは、原子力発電はエネルギー政策の中核にあるのでやむを得ないといいましょうか、組織上仕方がない点があると思いますけれども、政府の策定する原子力政策はやや複雑過ぎる、あるいは重複が多過ぎるのではないかということであります。これは常に素人の目で見てそういう思いを持つわけでございまして、例えば内閣府の原子力委員会が策定する「原子力研究開発利用長期計画」があります。それから、経済産業大臣の諮問機関の総合資源エネルギー調査会からは「長期エネルギー需給見通し」が出されます。この需給見通しは、近年ではエネルギー政策の最上位に位置付けられ、これが原子力発電政策の方向性も打ち出しています。さらに、議員立法として2002年6月に制定されたエネルギー政策基本法に基づく「エネルギー基本計画」があります。これは10年を見通してのエネルギー政策の定性的な計画をまとめられたようなものです。
  それぞれ、よって来るゆえん、あるいはその役割、目指すところがあるわけでございますけれども、しかし国民から見た場合には、やっぱり国のエネルギー政策なり、その中における原子力政策というふうなものはやっぱり一体であってほしい。このほか、定量的な見通しを立てられる総合資源エネルギー調査会では、電気事業分科会や原子力部会が原子力政策に関する政策提言をタイムリーに出されていますし、本年3月の2030年のエネルギー需給展望や、昨年11月の核燃料サイクル政策についての中間取りまとめなどがあります。しかし、原子力発電政策に関するこれらの計画なり見通しは、いずれも最終的な帰結は核燃料サイクル政策の推進にあるわけで、これは正に日本の長期のエネルギー政策の一つの目玉といいましょうか、へそだと、ポイントだと、このように思うわけでありますが、国民からすれば、いろんな形で、これでもかこれでもかといういろんな形で報告なり計画書なりが出てくるわけであります。そんなに手を替え品を替えいろいろ言ってくるのかと、こういうふうな思いも国民の中では持たれている方もおられると、このように思います。
  エネルギーに関する計画や提言についても、定性的計画であるとか定量的計画であるとか、それぞれの役割分担も、ロジカルに言えばあるというふうに思いますけれども、一方で国民から見た原子力政策という場合には、くどいようですけれども、やっぱりそれは一つだと、こういうふうなことだと思います。私はそういうような意味では、作る場合の役割分担はいろいろあったとしても、国民に提示するときの形なり見え方というのはやっぱりすっきりと一本化した中身にすることが大切ではないかと思いますけれども、この点どう思われるのか、見解をいただきたいと思います。

○小平 資源エネルギー庁長官 正に結論は先生のおっしゃったとおりであろうかと思いますけれども、その前に、今御指摘のございました様々な計画等につきまして少し御説明をさせていただきたいと思います。
  まず、エネルギー基本計画でございますけれども、これは大変広範にわたりますエネルギー、先ほどもおっしゃいましたとおり、原子力ももちろんございます。石油、新エネルギー、天然ガス、石炭等大変広範にわたっておるわけでございまして、これらのエネルギーの需給に関します施策の長期的、総合的、計画的な推進を図るということで様々なエネルギー源を対象に策定をいたしております。したがいまして、原子力に特化をして、深く原子力を掘り下げて施策を網羅的に位置付けたという計画ではないということでございます。
  他方、原子力長期計画、正式には原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画、これは原子力委員会によって策定をされるわけでございますけれども、これは対象は原子力に限定をされておりますけれども、放射線、これは食品の利用でございますとか医療における利用でございますとか、大変幅の広い放射線利用等ございまして、エネルギーに限らない原子力全般につきまして国の施策を整理するということで、これは昭和30年ごろから原子力という大変重要な施策を政府全体として取りまとめるために作ってきているというものでございます。エネルギー基本計画と原子力長期計画は重なる部分と重ならない部分がございますけれども、それぞれエネルギーに関しましては方向性は常に一致をし、相互にもよく調整、議論をしながら詰めているということでございまして、こうした統一された方向性に基づきまして原子力政策を着実に推進していく必要があるというふうに考えております。
  それから、エネルギー需給展望との関係でございますけれども、これはエネルギー基本計画におきまして、将来のエネルギー需給構成についての情報提供を国民に対して行うとともに、施策の検討と評価の基礎とするため、定量的な見通しを示すこととするというふうに計画においてされておるわけでございまして、これに基づきましてこの3月に2030年のエネルギー需給展望を取りまとめたものでございます。したがいまして、エネルギー基本計画と需給展望は一体のものでございます。
  いずれにいたしましても、確かに国民の皆様から見ますといろいろなものが次々に出てきて分かりづらいという面があろうかと思いますので、統一的に関係のところでよく連携、調整をしながら、分かりやすい説明をし、御理解をいただくように努めてまいりたいというふうに思っております。

○加藤敏幸 私は生まれ付き気が弱くて余り追及タイプじゃないのですが。まあ私が主張したいことは長官は最後に理解をしていただいたと思いますが、くどいようですけれども、この原子力政策なりエネルギー政策の基本というのは、国民にどう理解していただくのか、そして国民の共感がなければ何もできないじゃないですか。どんなこと言ったって、ここに一番大きなポイントがあるのでしょと。私たち業界から言えば、やっぱりお客様は神様なのです。お客様が大事なんですよ。そのお客様から見て、「よう分からんな。何かいろいろ言うてくるけど、それは揚げ饅頭も蒸し饅頭もやっぱり饅頭じゃないのか。どこが違うのか」と。それは学問的に専門家が言えば違いはあるし、私は間違っているとは言いませんし、全部正しいんですよ。それぞれ意味があって、区分けがあって、作ってくれる機関が違う、組織が違う。それはそれで現実ですから。でも、お客様に提示するときには、やっぱり理解してほしいなら理解してもらえるように、食べやすいように、私はきちっとそういう努力をしっかりする必要がある。それがやはりこれからの政府に求められている。私は説明責任などというややこしい硬い言葉じゃなくて、親切な、本当に分かってほしい、その思いを込めた、私たちの業界でいけば情報宣伝・広報、そういうふうなことを是非お願いをしたいし、それがなければこれから先の私はエネルギー政策の成功はないのではないかと思います。コメントを大臣なり副大臣なりにいただければ。

○中川 経済産業大臣 もう加藤委員のおっしゃるとおりでございまして、まあ今、エネ庁長官の方からいろいろ現状を御説明いたしましたが、先ほども申し上げましたが、産業活動する上でも、普通の生活する上でも、エネルギーは必要であります。特に日本の場合には今ほとんどが海外からの依存という中で、長期的に、安定的に、そしてまた環境にも優しい、できるだけそういう方向でエネルギーを求めるということは、国民の皆様の支持していただけるエネルギー政策だろうと思います。
  しかし、そのために我々がいろいろやっていても一体何やっているかよく分からない、今の例でいいますと、揚げ饅頭と蒸し饅頭というものをどちらを食べたいかというときに、まあメニューが、もういろんなメニューがあって、日本語で書いてあったり、英語で書いてあったり、写真付きであったり、あるいはまたカロリーで計算してみたり、あるいはまた重量で計算してみたり、値段だけのメニューがあったりといったら、一体どのメニューを見て、一体国民の皆さんが本当に理解をしていただけるのかと。これ一枚見れば分かりますよというものを。本当は計画というものはそれぞれ目的を持って、しかし整合性をもってやってはおりますけれども、国民の皆様に御理解と御支持をいただく上では、もっともっと分かりやすくするように、パブリックコメントあるいは地方公聴会あるいはまたインターネット、あらゆる手段でやってはおりますけれども、やればやるほど屋上屋を重ねるということがあってもいけないと思います。その辺は国民の皆様の声もよく聞いて、こっちからこういうものを分かりやすいだろうといっても向こうから見ればますます分かりにくいものがもう一個できちゃったというんじゃ意味がないので、今の御指摘、十分我々、政策を進める上での大きなポイントだと思いますので、政府全体で、また改めていろんな各方面の御意見をよく伺いながら、目的達成のために、御理解いただくために努力をしていきたいと思っております。

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8、原子力電源の今後の扱いについて

○加藤敏幸 ありがとうございました。
  次に、電力自由化を含め、私が考えています、少し、やや勇み足かも分かりませんけれども、少し御質問をしてみたいと思います。
  今回、バックエンドコストがほぼ明らかになったことによりまして、電力自由化が一段と進展する中で原子力発電と火力発電の競争の枠組みが明確になってきたと思います。現時点では依然として原子力発電の競争力が確保されているわけでございますけれども、今後、長期にわたってこの競争力が保持されるのかどうか、ここのところは現時点で保証はないわけでございます。
  そこで、国策としての原子力発電の量的拡大と核燃料サイクルを実現していくためには、やはり私は、国としての積極的支援策を取っていくしかないと、このように考えるわけでございますが、将来的には原子力発電は、エネルギーセキュリティーの確保あるいは地球温暖化防止という観点から、政府や国民はこのコストを積極的に負担していくというような、そういう制度的な枠組みをつくり、それについて国民的合意を形成していくことも大事だと、私はそう考えているわけであります。
  このコストを、電気事業者に対する支援、政策支援ということで税金で賄っていくのか、あるいは電気料金として受益者負担で賄っていくのかという議論もありますが、一方で、国レベルにおける、原子力発電に発生した電力、原発電力の買取り方式という発想もあってもいいのではないかと、このようにも思うわけであります。
  この制度的枠組みにつきましては、既に再生可能エネルギー割当て基準というものがあるわけで、例えば「地球温暖化防止エネルギー割当て基準」というような名称で運営できれば、多くの国民の理解も得られるのではないかと考えるわけであります。このコストの一部を税で賄うのであれば、例えば、ここは少し議論としては先走って申し訳ございませんけれども、環境税という枠組みも活用できますし、自由化市場で拡大する火力発電からもバックエンドのみならず全体のコストも負担してもらうこともできると、いろいろなことがあるわけでございます。
  先走った議論ですけれども、そういった政策が取られれば、一般電気事業者も安心して核燃料サイクルシステムの確立に向けた研究開発に専念できて、併せてバックエンドについても十分準備することができると考えますが、少し御見解をお伺いしたいと思います。

○保坂 経済産業副大臣 お答え申し上げます。
  原子力は、ただいまもいろいろ議論ありましたとおり、日本の基幹電源でございます。したがいまして、平成7年の部分自由化以降も環境整備のためにはもう精一杯努めてきたところでございます。
  具体的に申し上げますと、例えば、私などもびっくりしているのでございますが、平成12年に、例えばゴールデンウイークみたく非常に電力の消費が下がったときに、同じように電力事業者が発電して供給してくるというようなシステムでは余ってしまうわけですね。原子力のように一方長期固定電源を守っていくという立場からいたしまして、どうするんだと。原子力を止めるわけには、それは理論上はできますし、まあ実際はできるわけでございましょうが、それを守っていくという立場から、例えば電気事業法の中で優先給電指令というのをやったんですね、優先給電。給電ですから電力の供給をお願いするのだろうと思っていましたら、そうじゃなく、ほかの人たちにはちょっと待ってくれと抑制をして原子力の方を守ったというような、そういう措置を具体的に平成12年に実施したわけであります。そのとき、PPSにまでそれを掛けたわけですね。
  それから、その3年後でございましたけれども、平成15年、電源開発促進税、これを交付金を拡充いたしまして、一層原子力発電所の設置を可能にさせたり、あるいはまた運転を円滑にさせたり、そういう努力もしてまいりました。そして、更に今回、使用済核燃料の再処理の準備金の制度を創設したと。もう数々の一応手は打ってきたわけでございます。
  しかしながら、中長期的に見た場合、加藤先生がおっしゃるとおり、エネルギーの割当て制度というものがこれ可能であるならば、あるいはまたやるべきであるならば、やはりこの部分自由化がこれ一層進みまして、この4月からまた電力の自由化が進んだわけでございまして、こういうものをよく勘案しながら、これらを検討していくという課題として私たちは認識しているところでございますので、よろしく御理解のほどをお願いしたいと存じます。

○加藤敏幸 どうもありがとうございました。
  最後に、今回の法制は、使用済核燃料の再処理に関しまして25年先の世界を見つめて様々な角度から検証され、原子力発電の姿と役割を示されたものだと思います。しかし、25年というのは様々な不確定要素を持っているというのも事実でございます。
  現に私たちは、25年前を振り返りますと、例えば1978年の第5回原子力長期計画では、我が国の原子力開発を軽水炉から高速増殖炉路線とすることを確認しました。1995年から2005年の間を高速増殖炉の臨界達成の目標、こう定めたわけでございます。しかし、現実は周知のとおりでございます。さらに、1978年には原子力の安全性の確保から原子力安全委員会を発足させましたが、翌1979年にはアメリカのスリーマイルアイランドで原発事故が発生したと、こういうふうなことであります。
  原子力発電という、開発立地から廃炉に至るまでの長期間、膨大な資金その他経営資源をつぎ込んで行う正に一大事業、このために大変多くのリスクを負うことは避けられませんけれども、これからも我が国にとって、エネルギー需給の実情と見通し、さらにはエネルギー技術の進展状況、そして国際情勢の変化など、あらゆる要素を想定し、科学的な知見の下で的確なバックエンド対策を官民一体になって取り組んでいかれることを期待し、また私たちも最大限の努力をする必要があるというふうなことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。