国会質問

第164回通常国会 参議院本会議(2006年4月14日)

参議院本会議での代表質問 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案」に関して

弱い立場にある人々、移動の自由を制限されている人々の心に、一筋の光明を放つことが政治の責任だ。


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 駅舎などの旅客施設と、周辺の建築物や道路などの連続したバリアフリー空間の形成をめざす法律案が参議院に提出され、本日の本会議で会派を代表し質問に立ちました。障がい者の真の自立と社会への完全参加を促進することを視点に、現在のバリアフリー化の進捗状況、施策の地域格差の是正、福祉・介護機器の開発支援などを問いました。
  締めくくりに訴えました。小泉政権の山に向かって、「改革」と呼べば、「自己責任」というこだまが返ってくる。これを聞く高齢者や障がい者の方々はどのような気持ちになるのか。弱い立場にある人々、また移動の自由を制限されている人々の心に、一筋の光明を放っていくことが政治の責任だ。

【目次と質問要旨】
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■趣旨説明 北側国土交通大臣
■加藤敏幸 代表質問
  1. 法令違反の特定建築物に対する対策について
  2. 法律の目的について
  3. バリアフリー化の進捗状況の評価について
  4. 駅舎対策の地域格差の解消に向けて
  5. 対象とすべき建築物について
  6. 「ユニバーサルデザイン」の理念について
  7. バリアフリー化のソフト面の対策について
  8. 福祉・介護機器の開発支援について
  9. 最後に
■答弁
  1. 北側国土交通大臣
  2. 二階経済産業大臣

■北側一雄・国土交通大臣趣旨説明

○扇千景・参議院議長 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案」について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕ご異議ないと認めます、北側国土交通大臣。

○北側一雄・国土交通大臣 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案につきまして、その趣旨をご説明申し上げます。
  我が国においては、諸外国に例を見ないほど急速に高齢化が進展していること、障害者が社会の様々な活動に参加する機会を確保することが求められていること等から、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することが大変重要となっております。
  平成6年に高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律、いわゆるハートビル法が制定されました。また、平成12年には高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、いわゆる交通バリアフリー法が制定されました。
  それ以降、建築物、公共交通機関及び公共施設のバリアフリー化につきましては着実に進展しているところでございますが、本年は、交通バリアフリー法施行5年後の見直しの年に当たり、より総合的、一体的な法制度を構築することにより、高齢者、障害者等の日常生活及び社会生活における移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上を図ることが必要となっております。
  このような状況を踏まえまして、高齢者、障害者等の移動等の円滑化を促進するための各般の施策を総合的に講じるため、ハートビル法及び交通バリアフリー法を統合、拡充したこの法律案を提案することとした次第でございます。
  次に、この法律案の概要につきましてご説明申し上げます。
  第一に、主務大臣は、移動等の円滑化を総合的かつ計画的に推進するため、移動等の円滑化の促進に関する基本方針を定めることとしております。
  第二に、公共交通機関の旅客施設及び車両並びに一定の道路、路外駐車場、公園施設及び建築物について、新設又は改良時に移動等の円滑化のために必要な一定の基準に適合しなければならないこととするとともに、既存のこれらの施設についても、当該基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。
  第三に、市町村は、移動等の円滑化を図ることが必要な一定の地区について、基本方針に基づき、移動等の円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本構想を作成することができることとしております。この際、高齢者、障害者等の計画段階からの参加の促進を図るため、基本構想の作成に関する協議等を行うための協議会制度、基本構想の作成を高齢者、障害者等が市町村に対し提案することができる制度等を設けることとしております。
  その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
  以上が高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案の趣旨でございます。

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■加藤敏幸 代表質問

○扇千景・参議院議長 ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。
発言を許します。加藤敏幸君。

○加藤敏幸 民主党の加藤敏幸でございます。
  民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案について質問いたします。
  今から30年前の1975年12月、第30回国連総会は障害者権利宣言を満場一致で採択いたしました。宣言では、障害者はその人間としての尊厳が尊重される、生まれながらの権利を有する、そして、障害者が最大限に多様な活動分野においてその諸能力を発達させることを援助し、できる限り通常の生活への彼らの統合を促進する必要性を高らかにうたっています。その後、国連は1981年を国際障害者年として定め、具体的な国際障害者年行動計画を打ち出しました。
  我が国におきましては、先進的自治体を中心にバリアフリー化を目指す施策が展開され、そして国においては平成6年に建物のバリアフリー化を目指すハートビル法が、また平成12年に交通バリアフリー法が施行され、今日に至っています。
  今回の法案は、この二つの法律を統合し、駅舎など旅客施設とこれに連動する周辺建築物や道路等を含む連続したバリアフリー空間の形成について、その仕組みづくりと主要施策を規定しています。
  この新しい制度の枠組みが機能し、バリアフリー化に向けた施策を充実させていくためには、幾つかの点で改善すべき点があると考えますが、これらの点を含めて、以下、関係大臣に質問いたします。

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1、法令違反の特定建築物に対する対策について

最初に、記憶に新しい東横インの不正改造問題に関して伺います。
  この事件は、障害者の人権を無視するとともに、高齢者や障害者などの社会参加と移動を保障するバリアフリー社会の建設という理念を踏みにじる正に反社会的行為そのものであると言えます。このような不正改造を行っているホテルあるいは福祉のまちづくり条例などに明確に違反している特別特定建築物はほかにもあるのではないかと思います。
  政府としても、自治体と連携して、早急に違反建築物に対する是正措置と再発防止策を取るべきだと考えますが、国土交通大臣の見解をお伺いしたいと思います。

2、法律の目的について

次に、法の目的に関して質問いたします。
  法案では、第一条で法の目的として、「この法律は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性にかんがみ、」と言及し、そしてバリアフリー化のための施策を講じて、最後に、「もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」とし、従前の法律を踏襲したものとなっています。
  しかし、私は、障害者の社会参加は正に権利そのものであると考えます。また、高齢者、障害者の移動を自由にし、円滑化する施策の推進は正に国家的義務であるとも考えます。法案のように、障害者の自立した日常的生活の確保は重要であるというレベルにとどまってはいけません。
  実際、障害者基本法や高齢社会基本法では、障害を理由とした差別の禁止を明文化しています。今日、依然として障害者への乗車拒否や利用拒否が行われているという現状をかんがみますと、今ここで障害者の移動の権利と自由を保障するという認識を法文上も明記、表すことが重要ではないかと考えます。この点について国土交通大臣の見解をお伺いしたいと思います。

3、バリアフリー化の進捗状況の評価について

次に、バリアフリー化の現状について伺います。
 平成十九年を計画達成年次としている社会資本整備重点計画の目標と現時点の進捗状況を比べてみますと、旅客施設、道路、公共交通機関の車両等の改善状況にはばらつきが見られる。まず、政府として、現時点でのバリアフリー化の進捗状況をどのように評価されているのか、あわせて、特にバスと旅客船が他に比べて後れている、そういう面がありますが、計画達成に向けた見通しについて国土交通大臣のお答えを伺いたいと思います。

4、駅舎対策の地域格差の解消に向けて

一方、旅客施設、特に駅舎のバリアフリー化の状況を見ますと、平成16年度の実績では、鉄軌道駅は全部で9,566駅ありますが、基本構想作成の対象となる一日利用客5千人以上の駅数は2,758駅で、そのうちバリアフリー化された駅は1343駅、率で約49%です。他方、利用客が5千人以下の駅は6,808駅で、そのうちバリアフリー化された駅は835駅にとどまっています。やはり利用客5千人以下の地方の駅の後れが目立っています。地方に住む高齢者や障害者は、公共交通機関を使っての移動において大きな不便を強いられているということであります。
  この地域間格差を解消するためにも、特定旅客施設の指定基準を引き下げるか、若しくは利用客5千人以下の駅についても国として大胆な施策を講ずるべきであると考えますが、国土交通大臣の見解をお伺いしたいと思います。

5、対象とすべき建築物について

続いて、建物関係について伺います。
 現行制度は、百貨店やホテルや老人ホームなどを特別特定建築物とし、これらの新築建物と床面積2,000平方メートル以上の新築、増築建物に対してバリアフリー化の基準適合義務を課しています。さらに、多数の者が利用する学校や事務所などの特定建築物について利用円滑化基準に適合させるための努力義務を課しています。しかし、障害者が日常的に出入りして利用する建物、施設は多岐にわたっており、今後は、小規模な建物を含め、より広範な建物がこの規定の対象となるように法令の改正をすべきであると考えます。また、学校など災害時の避難場所として利用される施設も特別特定建築物として指定すべきであると考えます。
一方、障害者の利用度が高い既存の建築物についても、可能な限りバリアフリー化の改良、改造が行われるよう、政府、自治体としても有効な支援措置を講ずるべきと考えますが、これら建物関係の課題について国土交通大臣の見解を伺いたいと思います。

6、「ユニバーサルデザイン」の理念について

さて、社会のバリアフリー化に関して、現在はユニバーサルデザインという考え方が主流になりつつあります。これは、高齢者や障害者に限らず、すべての年齢、すべての能力、あらゆる国籍の人々に対して、どこでも、自由に、使いやすく、これを基本にしたデザインであると定義されています。
 だれにとっても優しいデザインは、当然高齢者や障害者にとっても抵抗がないものとなりますが、一方で、例えば歩道と車道の段差の度合いは、視覚障害者と車いすを利用する障害者との間でニーズが異なっています。ユニバーサルデザインでは、常に代替的なデザインが用意され、利用者に選択権があることが重要であると考えられております。利用者のニーズの把握、利用者間のコミュニケーション、そして不断の改良といった作業が不可欠であると考えますが、今回の法案においてこのユニバーサルデザインの理念と施策はどのような形で生かされているのか、国土交通大臣の見解を伺います。

7、バリアフリー化のソフト面の対策について

また、この課題に関連してお伺いいたしますが、社会のバリアフリー化においてはソフト面でも十分な配慮をしていくことが重要であると考えます。ハード面では万全であっても、例えば、窓口や担当者への教育が徹底していないことや対応マニュアルが整備されていないことなどにより、障害者の乗車や施設の利用が拒否されるケースが見られるということであります。あるいは、車いす用のスロープがあっても、その勾配が急過ぎて実際は利用できないといったケースもよく耳にいたします。
  形は整っているが実質が伴っていないバリアフリーは、実は依然としてバリアなのであります。このような配慮が行き届いていない小さなバリア、あるいは心の中に残っているバリアを取り除いていくことが最も基本的なバリアフリー対策ではないかと考えます。
  この基本的施策の大前提になるものは、当事者である高齢者や障害者がバリアフリー化の事業と運営に直接関与していくことが一番大切であります。検討・企画段階から事業完了後の利用段階に至るまで、当事者の視点からの提言と日常的な点検・監視作業が必要と考えます。このことによって、スパイラルアップと言われている継続的改善が担保されるはずであります。
  法案では、基本構想の作成に住民が提案できる仕組み、あるいは当事者などによって構成される協議会の設置を規定しております。しかし、当事者参加のシステムが本当に機能していくのか、あるいは形だけで終わりはしないのかなど、少なからず懸念が持たれるところであります。そこで、この参加システムが有効に機能するためにいかなる保障措置が講じられるのか、国土交通大臣の見解を伺いたいと思います。

8、福祉・介護機器の開発支援について

さて、私は、社会のバリアフリー化を考える場合、利用される乗り物、施設、建物の改良を行うのみでなく、障害を持つ個々人の移動能力を大きく向上させる施策にも重点を置くべきだと考えます。
  例えば、シニアカーと言われているハンドル式電動車いすの普及に向けた技術改良や公共交通機関での受入れ体制の確立、あるいはドア・ツー・ドアの移動を可能にするSTSと言われるスペシャル・トランスポート・サービスの充実支援策も急がれるべきだと考えます。さらには、筋力の衰えや喪失した身体機能を補完する様々な補助用具や移動機器の開発も重要であると考えます。福祉ロボットや介護ロボット、あるいは視覚障害者に的確な指示が出せる新しいGPSシステムの開発などに十分な資金が注がれるべきだと考えます。
  このことを強調いたしますのは、個々人を支援する施策は、バリアフリー化の地域間格差をある程度解消することができること、そして、バリアフリー化のための社会資本整備における財政的制約をこれまたある程度克服することができる選択的政策であるからです。これらの支援施策に関し、国土交通大臣並びに経済産業大臣の見解をお伺いしたいと考えます。

9、最後に

最後に、本法案の参議院提出に際しまして、一言申し上げたいと思います。
 国連の国際障害者年行動計画の第63項は、ある社会がその構成員の幾らかの人々を締め出すような場合、それは弱く、もろい社会なのであるとうたっています。あらゆる移動空間と生活空間に最大限の改良を加え、また、ソフト面にも配慮したバリアフリー社会を完成させることは、我が国が尊厳ある国家として安定的に存続していくための必須条件の一つであります。
  現在、身体障害者が約350万人、知的障害者が約46万人、さらに精神障害者が約260万人おられると言われています。交通事故や労働災害による障害者も増加傾向にあります。さらに、高齢化の進展の下で移動の自由を制限される人々は今後ますます急増していきます。残された時間は余りありません。今こそ、私たちは、高齢者や障害者の移動の自由を100%保障していく真のバリアフリー社会の建設を急がなければなりません。
  小泉政権の山に向かって「改革」と呼べば、「自己責任」というこだまが跳ね返ってきます。このこだまを聞く高齢者や障害者の方々はどのようなお気持ちになられるのでしょうか。沈うつで暗い気持ちになられるに違いありません。私は、このような時代状況の下で、弱い立場にある人々、また移動の自由を制限されている人々の心に一筋の光明を放っていくことが政治の責任であるのではないか、このように思います。
  本法律案が障害者の真の自立と社会への完全参加を促進するという目標に沿って大きな成果を上げることを願いつつ、関係大臣の真摯なご答弁を期待し、私の質問を終わります。ありがとうございました。

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■答弁

○北側一雄・国土交通大臣 加藤議員にお答えいたします。

特別特定建築物の法令違反についてお尋ねがございました。
  特別特定建築物につきましては、地方公共団体において立入検査を適時実施していただくとともに、利用者の方からの情報提供等も活用して違反実態の把握に努め、違反が確認された場合には厳正な対応を図るよう要請をしてまいります。
  また、東横イン問題では、一部の地方公共団体において違反指導がなされていたにもかかわらず、他の地方公共団体と情報が共有されなかったために違反が拡大しておりました。このため、国と地方公共団体が違反情報の共有を図ることにより、違反の拡大防止に努めてまいりたいと考えております。
  次に、障害者の移動の権利についてお尋ねがございました。
  ご指摘のとおり、本法案は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性にかんがみ、建築物、公共交通機関及び公共施設のバリアフリー化を促進していくことを目的とするものでございます。このため、本法案においては、各種の具体的な施策を拡充した上で、新たに高齢者、障害者等が利用する施設の管理者等に対して広く一般的な責務を課すほか、心のバリアフリーを国民一般の責務として位置付ける等、高齢者、障害者等の自立した移動の確保について、より一層配慮した内容となっております。
  なお、障害者の移動の権利と自由を保障するという認識を法文上表すことにつきましては、そのための交通事業に対する国の関与権限の強化、また財政支出の大幅な増大等の様々な問題点があると考えております。
  次に、バリアフリー化の進捗についての評価と、バス、旅客船の今後の対応についてお尋ねがございました。
  建築物、公共交通機関及び公共施設のバリアフリー化につきましては、ハートビル法、交通バリアフリー法の制定と、これらに基づく様々な施策の実施等によりまして、総じて着実に進展しているものと考えております。
  ご指摘のあったバスにつきましては、平成17年3月末現在、ノンステップバスの導入率は約12%となっております。着実にバリアフリー化が進められていると認識をしておりますが、今後とも、補助制度や低利融資制度等を活用しまして、目標達成に向けた取組を進めてまいります。
  また、旅客船につきましては、近年の景気低迷を背景とした使用船舶の新造、代替建造の低迷により、必ずしもバリアフリー化が進んでいない状況でございます。今後とも、離島航路のバリアフリー化建造費補助等を活用いたしまして、目標達成に向けた取組を進めてまいります。
  一日当たり利用者数が5,000人未満の駅のバリアフリー化の考え方についてお尋ねがございました。
  現行の交通バリアフリー法の基本方針では、一日当たり利用者数が5,000人以上の駅について、平成22年までに原則としてすべての駅の移動円滑化を図ることを目標としております。現在はこの目標の達成に向けた取組を優先して進めているところでございます。
  しかしながら、鉄道利用者の円滑な移動を最大限確保するという観点からは、一日当たり利用者数が5,000人未満の駅についてもできる限りバリアフリー化を推進していくことが必要でございます。現行の交通バリアフリー法の基本方針でも、地域の実情にかんがみ、利用者数のみならず、高齢者、身体障害者等の利用の実態等を踏まえて移動円滑化を可能な限り実施するというふうにしております。
  さらに、総合的、一体的なバリアフリー化の推進を柱とする今回の法改正を受けまして、一日当たり利用者数5,000人未満の駅につきましても、まずは地域の実情に応じて、鉄道事業者や地元自治体等の関係者が一体となってバリアフリー化に向けた検討をより積極的に進めていただけるものと認識をしております。
  国交省といたしましては、そうした関係者の一体となった取組に対して可能な範囲で支援を行ってまいります。
  次に、特定建築物の対象とすべき建築物と既存建築物のバリアフリー化についてお尋ねがございました。
  基準適合を義務付ける特別特定建築物の規模や、基準適合の努力義務を課す特定建築物の対象については、幅広くご意見を伺った上で、バリアフリー化に要するコスト面等の制約も踏まえつつ、政令で定めることとしております。
  なお、学校につきましては一律に義務化することは困難であると考えておりますが、地域の実情に応じて、地方公共団体の判断により条例で義務化することが可能な制度となっております。
  また、既存の特別特定建築物につきましては、新たにバリアフリー化の努力義務を課すこととしております。さらに、既存の特定建築物が市町村が定める基本構想に位置付けられた場合、そのバリアフリー化のための事業に対しては、地方公共団体と連携をいたしまして、補助制度や融資制度により支援をしてまいります。
  ユニバーサルデザインの理念についてお尋ねがございました。
  ご指摘のとおり、ユニバーサルデザインの考え方に基づいてバリアフリー化を進めていくためには、当事者を含めた計画、検証、実行の不断のプロセスを進めることが必要であると考えております。このため、本法案では、新たに国が中心となって関係者とともにこれらのプロセスを進めることにより、持続的、段階的な発展を目指すいわゆるスパイラルアップに取り組むこととし、国の責務として、適時にかつ適切な方法により施策の内容について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう努めることを新たに定めているところでございます。
  バリアフリー化に係る当事者参加についてお尋ねがございました。
  本法案では、当事者である高齢者、障害者等の参加を担保するための具体的な措置として、提案制度や協議会制度を新たに設けているところでございます。これらの制度の実効性を確保するために、例えば、提案の採否について市町村は公表し、提案を採用しない場合にはその理由を明らかにしなければならないこととしております。また、これらの制度が有効に活用されるよう、その趣旨や運用の在り方について、本法に基づく基本方針等において明確に示していくことを考えております。
  最後に、スペシャル・トランスポート・サービス(STS)についてお尋ねがございました。
  このスペシャル・トランスポート・サービス、ドア・ツー・ドアで高齢者等の方々を運ぶという意味でございますが、このSTSの推進は、高齢者や障害者が様々な生き方を主体的に選択し社会活動に参画する上で極めて重要なサービスであると考えております。STSを普及促進することは緊急性の高い政策課題であると認識をしております。
  こうした中、国土交通省としては、平成18年度から、要介護者、身体障害者等移動制約者の個別輸送について、福祉輸送に関する先進的な施策等を実施している地域をモデル地域として認定し、福祉輸送に係る共同配車センターの設立や、共同配車センターにおける福祉車両の導入に対する助成を実施することとしております。さらに、今国会に道路運送法等の一部を改正する法律案を提出をしておりまして、この法案におきまして、NPO等が行うボランティア福祉有償運送に係る登録制度を導入をいたしまして、安全、安心な福祉輸送の普及を図ることとしているところでございます。

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○二階俊博・経済産業大臣 加藤議員にお答えをいたします。

ただいまバリアフリー社会の実現のために大変熱意のあふれるご質問をちょうだいしました。ご指摘の点は一々ごもっともなところであります。特に、ご指摘のありました高齢者、障害者の方々の移動等の円滑化のためには、旅客施設や建物の改良に加え、これらの皆さんご自身の移動能力等を高めていくことが重要であります。
  今回、ご承知のとおり、平成六年の建設省が中心となってお作りになりましたハートビル法、そしてちょうど私もいささか関係をさせていただきましたが、平成12年、交通バリアフリー法の制定、この両法を今統合して、そして更にこれを拡充しようということは極めて時宜を得たことでありまして、私はこのことの積極的な展開を大いに期待をするものであります。
  ただいまご質問にもありましたが、この一日の乗降客5,000人以下の駅をどうするかとか、ノンステップバスにつきましても、ただいま北側大臣のご答弁では12%に達しておるということでありますが、当時、平成12年のころにはノンステップバスもほとんど珍しいような状況でありまして、12%などということはまだまだ想像の範囲ではありませんでした。そして、5,000人以下の駅にバリアフリーを実行していくということは、それぞれ市町村や地方自治体のいわゆる規模にも大いにこれは関係するわけでありまして、そういう点で財政的な面を含めて、今後ご指摘を踏まえて、これ積極的に対応していくべきものだということを私は当時の関係者として強く思うものであります。
  そして、今、経済産業省におきましては、ご指摘のとおり、優れた福祉用具の開発の支援、さらにリハビリや立ち上がり等、この人々が立ち上がって行動する、そのことに対する補助のための福祉・介護ロボット、さらにGPSを活用する、いわゆるITを使った移動システムの開発等を行っているところでありますが、まだまだこれは、先進国等の事例を見ましても、日本としてはしっかりと取り組んでいかなくてはならない面であります。
  高齢者、障害者に優しい社会の実現、これは口で言うだけではなくて、本当にこのことのために経済産業省及びその関係の企業におきましても更に積極的にご協力をいただき、人間支援のためのロボット等の開発に一層力を注いでまいりたいと思います。

○扇千景・参議院議長 これにて質疑は終了いたしました。