国会質問

第166回通常国会 内閣委員会(2007年6月14日)

「公務員制度改革関連法案」への質問(内閣委員会)


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 終盤国会の焦点になっている「国家公務員法改正案」、たいへん大切なテーマですが、政府案には問題も多く、わが党も天下りを全面的に禁止する対案を準備し審議に臨んでいるところです。会期末を目前に、十分な審議時間の確保がむずかしい状況にあり、成立の可否が政局の重要なポイントになっています。

 答弁者は塩崎官房長官、渡辺行革担当大臣。社会の変化に即した公務員の働き方の改革、天下りの規制と、天下りの動機になっている早期退職勧奨の是正、これらをどう実現するのか。人事管理、業務構成のあり方、評価システムの考え方などについては民間企業での取り組みとの対比を示しながら、制度を変えるだけではだめで、組織の土壌、風土をいかに変えるか、意識改革をいかに図るかが重要であることなどを主張しました。

【質問要旨】
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  1. はじめに(行政改革の方向性と公務員制度改革の位置付け)
  2. 公務員に求められる資質、能力と評価制度
    2-1 従来の公務員制度の弊害は何か
    2-2 これまでの対応策との対比
    2-3 業務構成の明確化
    2-4 役所と民間での上司の役割の違い
    2-5 キャリア制度について
  3. 評価システムについて(能力・実績の定義)
  4. 人材育成と長期選抜方式(日本的昇進モデル)について
  5. 公務員制度改革における意識改革について

1、はじめに(行政改革の方向性と公務員制度改革の位置付け)

○加藤敏幸 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。木俣委員に引き続きまして、提案されています公務員制度等改革関連法案についての質問を続けたいと思います。
  木俣委員は経団連ご出身ということですけれども、私は連合出身ということでございまして、別に敵味方というわけじゃないんですけれども、労使がいろいろ真剣に議論をして、正にいい国をつくっていこう、いい制度をつくろう、いい企業をつくろうと、そういうことで戦後いろいろ実績のある努力をしてきた、そういうことも踏まえながら、私は質問の大きなテーマをつくっていきたいと思います。
  そこでまず、衆議院でもいろいろ議論がされてきましたけれども、相当論点は整理されてきたのではないかと、このようにも感じておりますし、私なりに考えてみますと、一つは、現在の公務員制度を時代に即した、いわゆる21世紀型という言葉を使われていますけれども、リニューアルをしていこうということから、特に能力主義、実績主義を本格的に導入していって、公務員、公務に携わる皆さん方の働くすべてのステージでそれなりに意義のある制度をつくっていこういう議論が一つ。
  二つ目は、これは随分議論されましたけれども、天下りというこの問題についてどう対応していくのかと。官民人材交流センターとかいろいろなアイデアが出ていますけれども、それが本当に今国民がやめてほしいと期待していることに的確にこたえられるのかどうかという課題。
  三つ目は、そういう天下り人事が発生する大きな要因となってる人事管理上の一つ、これは渡辺大臣も、別に法律に書いてあるわけじゃないんだけれど、と言われる早期退職勧奨、いわゆる「肩たたき」ということが、一番大事な組織運営のように行われてきたという、ここをどうするんだと。
  それから四点目は、そういう改革をしていくことの中で、公務員の皆さん方の雇用の問題、労働条件の問題、働く職場、やりがいの問題ということを含めて、若い皆さん方にも、手を挙げてやってみたいと、こういう意欲のわく制度というものを本当につくっていくのか。おおよそ四つのポイントがある、このように考えます。
  全部やってもしようがないので、特にその中で、人事管理制度なり、能力主義だとか、あるいは魅力のある公務の在り方とか、こういうところに集中して今日はご質問をしたい、つまり公務員制度における能力主義、実績主義の導入、これについて私なりの体験を交えながらご質問をさせていただきたいと思います。

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2.公務員に求められる資質、能力と評価制度

2-1 従来の公務員制度の弊害は何か

○加藤敏幸 そこで第一に、公務員に求められる資質、能力と評価制度ということのテーマで、端的にお伺いをしたいんですけれども、現行、60年間やってきたこの制度、公務員制度、これに弊害があると、問題があると、だから変えようということですよね。何が問題なんですか。現実にどんな弊害が出ているんですか。例えば、コスト主義がないとか、縦割り行政じゃないかとか、そういうふうにいろいろあって、省あって国なし、局あって省なしと、いろんな形で言われてきたことを含めて、まず率直に渡辺大臣として弊害は何なんだと、ここを具体的に整理してお話をいただきたい。

○渡辺喜美・行政規制改革担当大臣 まず、国家公務員になる人というのは成績優秀な人が結構多いと思うんですね。試験も、難しい試験をくぐり抜けて合格するわけでございます。
  いみじくも委員がご指摘のように、法律には書いていないやり方で人事慣行が行われております。試験区分Ⅰ種、Ⅱ種に応じて、Ⅰ種の方はやたら昇進のスピードが速いとか、あるいは入省年次に従って人事が行われている、いわゆる年功序列人事ですね。結局、こういうものが何を生み出しているかというと、同期横並びのスーパー護送船団方式になっているわけであります。その中で肩たたき慣行が起こるわけでございます。課長ぐらいまでは全員キャリア組は横並びで昇進できますが、指定職になるとポストが足りなくなるということで、受皿を探して人事の一環として天下ると。そうすると、天下った先というのは、スーパー護送船団方式でありますから、なれ合いなんですね、談合体質。先輩が肩身の狭い思いをしないようにというんで、税金を使って天下りOBの面倒を見るというとんでもない弊害が生じてしまっているのではないでしょうか。
  そこで、我々はもうこうした慣行を排除をする。一つは、能力・実績主義を導入すれば年功序列というのはなくなりますよね、肩たたき慣行というのは専門スタッフ職の導入と相まって自然消滅するではないですかということを提案をしているわけでございます。
  それだけではございません。今の天下りというのが人事の一環としてスーパー護送船団方式で行われているわけでございますから、まさしくこのところを全面禁止をしてしまう、一回目のあっせんも二回目のあっせんも三回目も全部これは禁止であるというすごい規制を導入をしようとしているわけでございます。そういたしますと、この再就職支援の機能というのは各省から内閣に一元化されるわけでありますから、各省縄張り主義の弊害もここで取り除かれていくではないかということであります。
  現役の時代も能力・実績主義、再就職するときも能力・実績主義という形で一貫して行われていくようになりますし、正に今の弊害、すなわちなれ合い、談合体質が排除をされて、ガバナンスの利いた、緊張感にあふれる官と民との関係、公務員の世界が生まれてくるものと考えます。

○加藤敏幸 大臣、今大臣がとうとうとお話しになったことは、本会議場で趣旨説明においてお話しされることについてはそういう説明は受入れいたしますけれども、やはり委員会のこの議論に入ってきて、質問する方もやっぱりいろいろときめの細かい、言ってみたら非常に詳細な点も含めて質問を作っていきたいと。今申されましたこの60年間、日本国の公務員の皆さん方が仕事をされてきたこの歴史的経緯、そういうことを踏まえたときに、今総括された言葉だけでは、ちょっとこれはバランスを欠く部分もあるんじゃないかと。ややきめが粗い。やっぱり、そこのところは、今いろいろ言われた、例えば談合体質、なれ合いになって、談合を引き起こしている、それが天下りという問題があることは分かりますよ。だけど、今省庁でお仕事されていて、法律を作って省庁間協議をかけて真剣にやっている、そういう皆さん方がなれ合い、談合体質ということではないと思うんですよ。この点、どうですか。

○渡辺喜美・行政規制改革担当大臣 正に、公務に携わる人たちが高い志と気概を持って、また情熱を持って仕事をしていくことが必要であり、実際そういう人が圧倒的に多いんだと思います。先ほど委員のご質問の中に、弊害は何かというご質問でございましたので、私はあえて弊害の部分を取り出してお答えをしたわけでございます。
  大多数の国家公務員は志も高い、やる気もある、情熱もある。ただ、そういったやる気と情熱と気概が本当に生かされているだろうか、100%完全燃焼できているだろうかという思いをいたすときに、やはり弊害の部分に目をつぶるわけにはいかないということで申し上げた次第でございます。

○加藤敏幸 では、整理をいたしますと、大部分の公務に携わる皆さん方は汗水流して、大臣の目から見ても満足のいく仕事ぶりだと、大部分は。問題は、やっぱりそうでない。そこで、例外的か少数か分かりませんけれども、問題の部分があるから対応せねばいかぬという理屈なのか。それとも、後段言われた、本当にもっともっといい仕事ができるために、エンカレッジ、激励をし、勇気を付けていくという、そういうシステムを前に向かってどんどんどんどん回していくということをねらいとしてこの制度をつくっていかれるということなのか。それは、見方によって随分方法論は違ってくるということを申し上げたいために今お聞きしたんです。
  報道を通じて、ここ数年間、不用意な公務員バッシングということが必要以上に、この国の公務に携わる人たちのプライドと自信、やる気、そういうようなものを傷付けているのではないか、そこのことについてやっぱり懸念を持つわけなんです。
  やはりそのことを含めて、大臣がガバナビリティー、統治者としての統治を言われるならば、一つはやっぱり、しっかりと今の制度を支えて、残業代も出ないのに夜遅くまで仕事をして、正に志を持ってやっている人たちに対するまず正しい認識と理解、そのことから私は制度をこれ出発させないと、一生懸命やってくれている皆さん方は、これ、成功例でしょう、我が日本の官僚組織運営の中において。だから、そこのところを、是非とも、あなたのその力強い、説得力のある、場合によっては壇上から転げ落ちんばかりのその表現力をもって、私はもう一歩そこはしっかり受け止めてもらうということが、まずこの改革に当たってのスタートラインだと、このように思うわけであります。

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2-2 これまでの対応策との対比

○加藤敏幸 さて次ですが、じゃ、今まで弊害だったという年次、年功序列、横並び、キャリア、ノンキャリア制度の問題点と今言われました。そのことについて、この60年間、我が国のこの歴代のお役人の総元締である総理大臣以下内閣、それは何もしなかったんでしょうか。今までいろいろな措置をされてきて、対応策を打ってきたというようなことについて少しお話しいただきたいです。

○渡辺喜美・行政規制改革担当大臣 現行制度でも人事権の最高責任者は大臣であります。では、大臣が人事権をきちんと行使しているかというと、人事権を行使する以前に自分が人事権を行使されて首になってしまうという時代が長く続いていたと思います。
  小泉内閣においては一内閣一閣僚という大方針を打ち立て、100%このとおりにいかなかったわけでありますが、相当今までのやり方とは違ってきたのも事実だと思います。その小泉内閣において公務員制度改革の試みが二回ほどあったのはご案内のとおりであります。残念ながら、この二回とも成案を得るに至らなかったわけでございまして、我々は、その小泉内閣の公務員制度改革を引き継いで安倍内閣においてこれを実現をすべく、今、今国会に法案を提出をさせていただいているところでございます。
  問題の一つに、試験区分によって厳然として今人事の区別があるわけでありますが、こういうことはもうなくしましょうということを法案の中にはっきりと書いてあるわけでございます。こういうこともかつて是正が試みられたことがないわけではないと思います。例えば、1980年代前半だったでしょうか、お札の改刷を大蔵省がしたことがございました。旧札と新札を両方印刷をする印刷局においては大変な労働過重になる。時の大蔵大臣が本省の印刷局長はノンキャリがいいではないかと考えて、当時の東北財務局長にあったノンキャリの方を大抜てきをしたわけであります。このときは大変な摩擦を生みました。しかし、この人事が行われて1年後には、その印刷局長、石井直さんという方でございますが、組合も含めて留任運動が起きたということがございました。
  したがって、現行制度でもきちんとその大臣の情熱と突破力をもってすればできないことではなかったのかもしれませんけれども、やはり岩盤の方が非常に強かった、法律に書いていない本音のルールというものがいかに強硬で打ち破り難いものであったかということではないでしょうか。
  したがって、我々は今回の法案の中で、法律に書いていない実態的なルールの中で弊害を生み出している問題、先ほど申し上げました年功序列主義とか各省割拠主義、こういったことについてははっきりと打破をしていこうという方向性を持って今回の法案を提出をさせていただいたところであります。

○加藤敏幸 今大臣のご説明の、お話の中で引用されました印刷局の人事の話、うまくいったわけでしょう。できないことじゃなかった、やればできるかも分からないと。それから、先ほど同僚議員の質問の中にもありましたけれども、やっぱり10万、20万給料を上げることもできないわけじゃないんでしょう、
  問題は、そういうことが果たして法律事項の変更によってのみなし得るのか、逆に言えば、それをやったら必ずできるのか。ここが実は組織運営で一番難しいことなんです。
  これは、民間企業の中にあって30何年、私もやってきたんですよ。あるところは民間企業もお役所も変わらないんです。制度がどうだこうだと、幾らいじくり回しても、なかなかあなたが言っている岩盤というのは、バァーンとはね返してくるということはそのとおりなんです。
  そのときに、どういう問題の提起、立て方と、アプローチの仕方をつくっていくかというところにこの手の仕事をするときの職人の腕の見せ所があるわけですから。だから、やっぱりポイントは土壌なんですよ。法律制度に由来しない、しかし土壌と言われる、組織風土と言われる、この訳の分からない妖怪のような怪物のようなこのものをどうやって変えていくのかというのが正にポイントでしょう。それこそあなたが言っている岩盤なんですよ。
  この法律を参議院で重要法案にもかかわらずつい最近送ってきて我々迷惑しておるんだけれども、今あなたは、岩盤を、よく考えてくださいよ、この法律だけでぴしっといくということじゃなくて、あなたの説明を聞くほど、岩盤を何とかするにはこの方法論はやっぱりいろいろ必要ですねと。
  だから、後で我が郷土のヒーローである塩崎長官にもこの意識改革ということでお尋ねをしたいということですから、別にけちを付けるとかではなくて、本当にこのことを議論するならば、問題の大きさとともに、その方法論をやっぱり相当巧妙に丁寧にしっかりやっていかなきゃいけないんですよと。まあ多分同感されると思いますけれども、ということでお伺いをしたわけです。

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2-3 業務構成の明確化

○加藤敏幸  さて、三つ目に。官民交流のお話も出ました。官民交流も、役所の体質を変える、風穴を空けたいということで始めたことなんですからね、あれは。じゃ、お役所の仕事というのは、業務構成あるいは職務構成、ジョブストラクチャーは一体どうなっているんですか。
  日本とアメリカの企業で一番違うのは、職務についての記述書が日本の場合はほとんどないんです。会社の規則は、「総務課長は総務についてその他全般を扱う」「会計は経理と原価計算と何とかをやる」という、職制表によって記述されている説明書きのようなものなんです。その次のレベルで職務権限とその職務の範囲、やるべきこと、やってはいけないこと、気を付けにゃいかぬこと、そのことについて、やっぱり職務記述ということをこれは相当きめ細かく分析をして記述していく、その上で人事交流はやっぱり可能なんですよ。
  私は電機産業の会社におりましたから、会社たくさんありますけれども、経理の仕事は専門、専門職だから、A社、B社、C社、どこに行っても仕事が通用するかというと、する場合もありますけれども、しない場合も多いんです。なぜかというと、経理の仕事の中でも、原価計算とかいろいろありますけれども、半分以上は結局工場の配置だとか人的な環境がどうなっているとか、そういうきめ細かな事情に由来する知識でもって初めて経理の職務能力が遂行できる、そういう構造になっている場合もあるんです。
  したがって、林副大臣にお尋ねしたいのは、能力主義、実績主義、この後この定義についてもお伺いしますけれども、仮にそういうものを導入したり、官民交流を促進したり、いきなりの抜てきをやって組織の活性化を図るとかそういうことをするときに、やっぱり大事なことは業務構成を明確にして、責任と権限、そのことをはっきりさせるということが基礎作業として必要ではないんでしょうか。ということで、お考えをお伺いしたいと思います。

○林芳正・内閣副大臣 大変大事なご指摘をいただいたと思っております。
  今先生のお言葉を聞いておりまして、私の限られた経験でございますが、商社へ勤めておりましたときに、我々は最初から営業部門に行きましたけれども、営業経理という部門がございまして、そこは営業の者と一体となって、その営業をよく熟知した上で、その商いと言っておりましたが、その商売についての経理をすると。しかし、もう一つ本部経理というのがありまして、こちらは会社全体としての損益計算書ですとかバランスシートをきちっと最終的に作っていく。この営業と営業経理の間でもかなり緊張を含んだやり取りがございましたし、営業経理は、いったん納得してくれますと我々の顧問弁護士のように本部経理と掛け合っていただくと、こういうような緊張関係の中でやっておったわけで、今の先生のお話からいきますと、外で経理マンとして汎用性があるのは多分本部経理の方だろうなと思って聞かしていただいていたわけでございます。
  そのときもいろいろ中でも議論をした記憶がございますけど、正に業務規定書といいますか、ジョブディスクリプションというのを日本の企業というのはなかなか事細かにしないで、大部屋主義でみんなでチームワークでやっていくと。このことは80年代には一次脚光を浴びまして、アメリカの企業の方が、そういう方がうまくいくんだということで、社長と工場の人が同じところで昼飯食うだけをまねしてうまくいかなかった例もございましたけれども、どちらがいいかというのはその世界でもなかなか定まらないところだろうと思っておりますが。
  一方、公務の世界、行政組織の中では、いわゆる価値判断のない言葉としての官僚主義というのがございまして、内閣の統括の下に任務、それからこれを達成するために必要となる範囲の所掌事務を有するそれぞれの行政機関というのがあって、これを系統的にピラミッド型に構成していく、こういうふうに形づくられているわけでございまして、一番上にあるのが国家行政組織法、そしてその下に各府省の設置法、その下に組織令、組織規則、訓令というふうにだんだんだんだん下りていって、事細かに所掌事務や職務が明確に規定をされているというところでございまして、これはある意味では我々が経験したときの民間企業とは少し違った世界であろうと、こういうふうに思います。
  一方で、先ほど木俣先生とのご議論の中でもあったように、現行法は職階制というので、横の並びと縦の並び全部マトリックスで、それぞれ一つずつジョブディスクリプションを作っていこうという壮大なことをやって、法律自体もできるところからやっていいですよというようなことになっているというぐらい難しいことをやろうとしていたわけで、実際はそれが余りワークをしていなかったということですので、今回は正にこの職制上の段階という横のところに注目をいたしまして、政令ということになりますけれども、例えば課長補佐とか課長という、いわゆる職制上の段階というものがどういう、まずこれを標準的な官職ということで確認的に定めまして、こういうところにあるためには一体どういうことが要求をされるという職種、仕事になるのかと、こういうことを標準職務遂行能力として定めていこうと、こういうふうにしたわけでございます。
  今後は、職員の昇任等の際には、この任命権者は任命しようとする官職に必要な標準職務遂行能力と適性といったものがあるかどうかというのを判断していくということがこの新しい仕組みの中で変わってくるわけでございまして、今までは職階制をやるということになっておりましたが、ない中で、先ほど大臣がお話のありました石井直さんみたいな方を非常に大きな決断でもって例外的にやらなければならなかった。もう少し客観的な基準でもってこういうことが、本当の標準職務遂行能力やそれに基づく評価に基づいてきちっともう少し日常的にできるようにしていこうというのが今回の法案の中身であろうと了解しております。

○加藤敏幸 今お話を聞いて非常に強く思うことは、電機産業のパソコンと自動車産業の自動車を比べたとき、自動車は日本のメーカーの製品が随分売れて競争力がある、パソコンは今ほとんど海外のメーカーが主力になっている。それはどこが違うんだと。パソコンというのはユニット、モジュールですね。全部モジュールに入る信号と出ていく信号との全部これは規定がされていると、こういうことですから、これはどこのモジュールを使っても、どこのメーカーを使ってどこの国を使っても、全部それは使えると。相性が悪いとか悪くないという話はあったとしても、基本的には使える、だからもう組合せ物づくりなんです。
  今大臣もさすがすり合わせという言葉を使われた、自動車はすり合わせだと。ドアとシートをぱっと持ってきて合わせてかぽっという、これは駄目なんだと。やっぱりセルシオはセルシオの風格を出すために、きちっとやっぱりそういうすり合わせをしていくと。これ、ジョブストラクチャーも、実は今言ったユニット的に、モジュール的にきちっと記述定義してやっていけるケースと、すり合わせ的にせざるを得ないという職務ということがやっぱり現実にあり得るんですよね。
  今言われましたように、課長補佐だとか課長級、私は、課長級になると、ちょっとその職務というのは相当応用範囲が広いんで、なかなか難しくなってくると思うし、そういうところまで無理に職務記述書を作る必要もないし、そういう迷宮に迷い込んでも無駄ですから。だから、そういう部分についてすり合わせ的な要素もやっぱり残したような運用というようなことも必要になってきますねと、こういうところを少しお話し申し上げて次の質問に入りたいと思います。

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2-4 役所と民間での上司の役割の違い

○加藤敏幸 そこで、仕事ということがある程度明確になったし、一方、その仕事に合わせて職階表という支払うべき給料に関係するような仕組みもできてきたと。そうなったときに一つ疑問があるのは、「お役所で言う上司というのは何なんですかと」。何なんですかって言っても、批判しているんじゃなくて。民間で上司というのは業務命令を出す人間なんです。そして、そのことによって発生したことについて責任を負う人なんです。だから、課長、部長、もうオールマイティーとは言いませんけれども、相当大きな権限を持っているんですよ。何か製品でリコールが起こったから後始末に300人要る、うちも忙しいけど二人出すと、それは部長命令、課長命令で出すことはできる。そういう臨機応変に人をいろんな形で使っていく業務命令、指示を、臨機応変にやっていけるという体制が、これは民間企業の上司たる者は持っている。場合によると、査定権も持っている、人事考課権持っている、人の異動についても進言することができる、そういうふうに、上司は非常に大きな力を持をもっている。
  では、公務における上司と言われている皆さん方の業務命令権というのは、一体どういうふうに裏打ちされてどういう中身を持っているのかについてちょっとお伺いしたいなということで。これは総務省人事・恩給局長さんのご担当だということでございますから。

○戸谷好秀・総務省人事恩給部長 大変、具体に即してということになりますとなかなか答弁うまくできるかどうか、国家公務員法上の規定ということで少し私としてご報告したいと思います。
  職員の方には、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならないと、こういう義務がございます。この義務がございますが、一方、96条、国家公務員法の96条でございますが、これにより、職員は国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務する義務を負う、また、同法の98条によりまして、職務の遂行に当たり法令に従う義務を負うということでございますので、上司の職務上の命令もこれらの趣旨に沿ったものであることが当然求められると考えております。
  それから、公務は能率的な運営がなされなければならないということから、上司には職員に最大の能率を発揮して職務に取り組ませるということも法律上求められているというふうに考えております。

○加藤敏幸 今、法律に基づいてご答弁をしていただきました。
  だから、お役所、公務部門における上司というのは、民間で言う上司とは少し性格が違うし、仕事をする側からいくと上司が二人おるんです。生きた人間の上司と、もう一つは法律、規則という上司があって、一人一人の人はそれにやっぱり相当強い、やっぱり牽制されているというんですか、束縛されて仕事をしているということがありますねと。ここは私少し押さえておかないと、やっぱり実力主義だ、能率だ、そして業績だという議論がこれいたずらに走り出しますと、今持っている、今言われた上司たる者が、何なんだと、こう言ったときに、法律という、国会が定めたこの規則に従うという性格が、やっぱり働く人たち、公務に働く人たちには全部網の目のように覆いかぶさっている。それを背負ってやっているということの中でこの人事処遇制度なり公務員制度ということはとらえていかないと、通常、世の中で言っているような実力主義、実績主義という議論だけでは収まらない。だから身分保障の問題も当然出てくるだろうし、私はそういうことを少し頭のどこかに置いていただきたい。

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2-5.キャリア制度について

○加藤敏幸 それから次に、身分制度と私は呼んでいるんですけれども、キャリア、ノンキャリアですよ。22年前に私は全民労協の事務局に兵庫県からやってきて、その日から霞が関の皆さん方とのお付き合いが始まったんです。知らなかったですよ、キャリアというのはなんなのか。職務経歴がキャリアだ、と言ったらそうじゃなくて言わば身分の違いを表す言葉がキャリアだったと。ああ、霞が関にはキャリアという人種がいるらしい。で、ノンキャリアという多くの方がおられる。
  私は、最初、何て世界だと。身分制度の近代化というのは、戦前の職員、工員、これは、身分制度を各企業持っておったんです。工員は日給制、職員は月給制。戦前からそうだったんです。財閥系の企業は全部そうだったんです。そういうことの中で、工場における身分制度、近代化というのは、工員、職員の身分差別撤退ということをずっと我々はやってきて、その中で試験制度、資格制度、処遇制度というふうなことの近代化をやってきた。しかし、やっぱり大卒で入った人は優秀な成績を収める確率高いですよ、相関性は。これ、学歴が相関性ないんだったら、学歴って何だと、大学行ったの損したと、やっぱり教育の効果性問われるわけですから。
  そういう要素はあるけれども、しかし、当然、高卒であっても、技能工として入って、中卒の人が入ってきても、やっぱりできる人はできるし、その人たちの研さん、努力にやっぱりインセンティブを与えるという意味での社内におけるいろんな議論を、工夫の中からやっぱり登用制度というふうなことをつくっていくわけですよね。養成工という技能工からでも所長になることはできるんだと。そういうことを含めて社内の中の活性化を図ってきたという歴史的な経過があるわけです。
  さて、このキャリア制度ということを、私は、そういう意味で非常に否定的に見ておった時代もあったし、しかしキャリア制度が支えてきた日本の政策立案、これだってやっぱりあり得るわけですよね。だから、ここは一回率直に、このキャリア、ノンキャリアの制度についてどう考えるんですかと。実はこれ、1年前、前の通常国会のときの、行革国会ですか、私、質問をさしていただいた。
  まあそれはともかく、本日時点において、渡辺担当大臣にお伺いしたいんですけれども、率直に言って、このキャリア、ノンキャリア、朝のテレビのワイドショーでも話題になったり、誤解のあるところもあればいろいろなこと言われていますけれども、少し総括をしてご見解をいただきたいと思いますけれども。

○渡辺喜美・行政規制改革担当大臣 先ほど来申し上げておりますように、こういった試験区分に基づく人事慣行というのが法律には書いていないわけでございます。一方において、いわゆるノンキャリであっても大変優秀な人がいるんだと思います。したがって、ノンキャリで企画立案能力があるという人を生かさない手はないと思うんです。今回の法案では、はっきりと書いておりますのが、採用試験の種類や年次にとらわれてはいけないということであります。正に能力と実績に基づいた人事を行うということにしているわけでありますから、Ⅰ種採用だから人事評価が良くなくても昇進するんだと、これはもはやあり得ないということになるわけでございます。
  いずれにしても、この委員のおっしゃる身分制度というものは、法の規範には書いてないことでございますから、我々はきちんと規範においてこうした岩盤を突破しようということを考えているわけでございます。

○加藤敏幸 今のご答弁はそのまま、身分制度という岩盤を突破すると、それはそれで私は是としたいと思います。
  更に議論をしたいと思いますが、今、実力があれば、実績があればと言われましたけれども、民間企業もお役所も仕事というのは一人でやっておるわけじゃないんだし、いい情報を与えたりもらったり、ギブ・アンド・テイクでやっぱり人間関係を構築していく中で、強い集団、グループを作り、いろいろな工夫をしていくわけでしょう。
  そういう生きた仕事が現実やられているという仕組みの中で、端的に、キャリア制度が悪いからそれを壊せばいいということ、大臣が先ほどお答えしたのは、一つの対応策として、試験区分とは関係なく優秀な人はたまには抜てきしたらどうだと、このことはそのとおりなんです。だけども、やっぱり今は、この霞が関の中で圧倒的なパワー、力をつくり、ネットワークをつくって、場合によったら塩崎官房長官にまで談判に行くような、そういうグループがキャリアじゃないですか。これは現実なんですよ。この現実のキャリア制度なんかあしたにでもなくなるような、そういう議論ではこれは解決策にならないと私は思うんですよ、現実主義者の立場で言えば。
  やっぱりそういうふうな、ある種、まあ命懸けとは言いませんけれども、この国の公務、政治、政策のために徹夜なんか何日でもやるぞと。それは、それだけの自分は選ばれた人間だし、実力があるという自信なり、またそれを裏付ける力と、そしてネットワークだとか、そういう仕組みというものについて、私は、これ単純に、それは必要悪だからない方がいいということだけでは、統治者として、一番大事な公務に携わる、政策立案に携わるブレーンたる、そういう皆さん方を従えていくという日本国の政治をつくり上げることにはちょっとならぬのではないか。こういうことを含めて、私は単純にキャリア制度のことを、私が最初に言った身分制度という視点だけで処理することではちょっと物足りぬと思います。
  私はやっぱり今日つくり上げた、ある種生き残っている現実というのはそれなりの根拠がある、適合性を持って、淘汰される中で生き残っている仕組みなんだと。それには有用性もやっぱりある種あり得ると。だから、それを全部そっくり変えていくということになれば、今失われていくそういうものを代替する機能をこの霞が関につくり出していくということをしなければ、いたずらにドリルで穴開けていいということにはならない、そこは是非ご理解をしていただきたいと思います。

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3.評価システムについて(能力・実績の定義)

○加藤敏幸 時間の制限もありますので、次に。
 さて、やっぱり実力主義だ、実績だ。何が実力なんだ、何をもって能力なんだ。これ、基本的に差を付けるということなんです。差を付けるということは、評価システムが非常に問われる。だから、ここで、評価システムについてお伺いをしたい。
  まず、小学生、中学生が言うような質問で申し訳ないんですけれども、皆さん方、ここで言う能力とは何でしょうか。その定義を明らかにしていただきたい。また、能力の測定方法をどのように考えておられるのか。実績主義における実績とは何でしょうか。職種、職場によって動きが違う個人に帰属する業務、グループでの作業に帰属する業務、いろいろ違いのある中で、置かれている立場がいろいろ変わる中での実績、その測定の仕方って何でしょうか、ちょっと質問が荒っぽいですが、お答えをいただきたい。

○株丹達也・行革推進本部事務局次長 今、能力あるいは実績の定義、あるいは測定方法を中心にご指摘をちょうだいをいたしました。
  既にここで議論されておりますように、今回の法案の中で、新たに人事評価制度、任用等の人事管理の基礎として活用されるツールとなるものを構築をするということとさせていただいております。能力あるいは実績のそのものの定義ではないんですけれども、人事評価について法律に定めをさせていただいておりまして、それでいきますと、能力につきましては、「職員が職務を遂行するに当たり発揮した」という、かんむりといいましょうか、修飾を付けて能力というものを出させていただいております。つまり、人事評価につきまして、職員の職務について評価をするものでございますので、職員の潜在的な能力を把握をするというものではない。これは仮に測ろうといたしましても、恐らくは客観性を著しく欠くということになるとも思っております。測ろうとする能力は、あくまでも「職務上の行動等を通じまして顕在化をした、明らかになった能力」というものを考えてございます。
  それから、実績、法律上の言葉では業績でございますけれども、これにつきましては、「職員がその職務を遂行するに当たり挙げた業績」というふうにさせていただいております。つまり、職員が所属をいたします組織におきまして担当する業務の実施結果を意味すると考えてございます。これをどう測定するかが非常に重要なわけでございます。
  今現在の法律の中では、勤務成績の評定というものがございます。この現行の法律の範囲の中でございますけれども、既にこれまでにこの評価について今の法案と同様の方向性でもって試行させていただいております。その試行の中で、今の能力、実績にちょうど対応するものとして、能力の方については職務行動評価部分という言い方、それから実績の方につきましては役割達成度評価部分と、こういう言い方で人事評価についてトライアルをさせていただいているということでございます。言わばその中で、どうやって測定をしているかということを関係者が協議をしながら実際に検討しているという状況でございます。
  じゃ、具体的にということになりますと、職務行動評価の部分、能力の方でいきますと、例えば本省の課長級であれば、事柄の優先順位とか、あるいは全体に与える影響を考慮して適切なタイミングで判断を行えるかどうかというのが一つのポイント。じゃ、明確な根拠を持ったタイミングの良い判断を下すということで、この人は実際どうしたんだろうかというようなことを評価する。
  それから、実績の方について申し上げれば、役割達成度評価の部分ということですけれども、対象となる者が担当しております業務内容ごとに、それに即して課題なり目標なりを明確にして、期首の段階でどういうところまで行くのかを言わば決めて、その達成状況をその後に評価をするというようなことを試行ではやらせていただいた。
  この後、更に対象を拡大して試行していく、もちろん法案が成立をしてということでございますけれども、そういうものをやりまして、実証的な知見を得て、それを踏まえて実効性のある人事評価制度を構築をする、それを基にして能力、実績というのをきちんと把握をすると、こういう考え方でございます。

○加藤敏幸 非常に真摯に取り組まれていると、こういう印象を持つものであります。
  ここだけに議論を集中してもちょっと時間配分の問題がありますので、早々に切り上げたいという気持ちがあるんですけれども、「まじめにやり過ぎて本末転倒な結果を得る」というのがこの評価なんです。これ皮肉でも何でもなくて言うんですけど。
私は労組の委員長として会社と評価制度についてはずいぶん話をしました。こんなもの労使合作ですからね、労働組合がやらなきゃ適用のしようがないんですよ。会社が勝手にコンサルタントを雇って、すごい、世界一すばらしい仕組みを持ってこられたって、これは労使の納得ずくでやらなきゃ通用しない。そのときに責任者の立場として言ったのは、評価だけで課長の仕事が全部終わるようじゃ駄目だよと、ほかに仕事が一杯あるんだから。これ、評価をやると、まずコミュニケーションということが出てきますよ。公平性についてどうだ、苦情処理がどうだ。評価を始めると評価のための仕事が山のようにずっと数珠つなぎで出てくる。気が付くと、課長がもう一番やりたくないのは評価の仕事ですと、こういうことになってしまっては、評価システム、評価システムのために会社が倒産するかも分からないという、そうなっていくわけでしょう。
  コスト意識が問われているお役所でこんなことばっかりやっていたら、何これ、これでアウトプットが増えるんですかと。内部の評価システムが完璧にできたから、公務としてのアウトプットが評価されるんですかというと、これはまた違うわけですから。そういう意味で、しなければならない事はたくさんあるけれども、ここのところがしゃくし定規に、特に恐らくお役所の土壌ということを洞察すれば、評価のための評価で、私はまた別の意味で、正当性を声高に言いながらコストを浪費していくという、そういう問題点がある。どうですか、副大臣、よろしくお願いします。

○林芳正・内閣副大臣 誠にもって質問に聞きほれると言うとちょっと言葉があれかもしれませんが、大変ご貴重な体験に基づくお話を今していただきまして、そのとおりだと私も聞かせていただきました。
  やはり、私も民間におりましたので、どうも公務の世界は物事を詰め過ぎるといいますか、最終的に利益という最終的な基準がないものですから、例えば先ほどの私のいた会社の例でいきますと、余り完璧にやり過ぎてそれだけ残業代が掛かったら、そんなことはやらない方がいいんだと、こういう判断でどこかで止まるわけでございますけれども、なかなか公務の世界はそういうところがないので、いつまでたっても詰めてということが往々にしてよく言われるところでございますので、そういうことをどうやってやるのかというのは、正におっしゃられたように、評価をする人とされる人の間にいいコミュニケーション、フィードバックがあって、そして全体としてそのグループがやっぱり生産性が向上していくということがなければ、何をやってもなかなかうまくいかないのかなと、こういうふうに聞かさせていただきました。
  この間、どなたかのご議論のときに、今の営業成績とか売上げとかいうのが数字がありますがと、こういうお話をしましたら、亀井先生だったかもしれませんが、民間企業でも、例えば経理の部門とか総務の部門というのはそういう数字が出ないところもあるんだと、そういう正に当然のご指摘もいただいたわけでございまして、そういうところを少しうまく組合せをしながら、他方で今行政評価というのも大分何年かやってきておりまして、一部そういう評価を数字で表わすと。
  ただ、これは各部門の相互間の比較というのはなかなか難しいようでございますけれども、こういったアウトプット、アウトカムの評価も取り入れながら、今、株丹次長からお話がありましたように、被評価者と評価者の間で一体どういうことを評価をするのかということをあらかじめ了解をしておくと。そして、1年たったときに、じゃその1年前に最初に立てた目標のどのぐらい実際にできたのかと、そしてできたのならそれはどういうことでできたのか、特にできなかった場合はどういう理由だったのかということをきちっとやっていって、その次の年につながって好循環になっていくと、こういう考え方でやはり物事を設計していくことが必要だと、こういうふうに思っておりまして、二次評価、一次評価やっておりますが、第一回目の試行のときも、終わった後アンケートを取りますと、やはりその間のコミュニケーションがきちっと取れているところほどこの評価の試行についての受け止めが良かったということは出ておりますので、正に委員ご指摘のところを拳々服膺して実際の設計をしてまいらなければならないと思っておるところでございます。

○加藤敏幸 では、今まで1時間近く議論をさせていただきまして、おおむね今言われたような形で民間と公務との違いとか、いろいろ浮き彫りになったと思います。
  そこで大臣に、今までの議論を踏まえていただいて、この民間の物差しを公務部門に適用することの是非を含めて、ざっくり言って、私はいろいろ議論が出てくると思うんですけれども、単純比較してみても仕方のない、本質的に公務とそれから民間の職務とにも差があると、こういうようなことがございますので、その辺のところを少し中間まとめ的に何か所感、所見がありましたらお願いします。

○渡辺喜美・行政規制改革担当大臣 今、林副大臣が申し上げましたように、民間でしたら営利という一つの明快なメルクマールがあるわけでございます。そういうことを目的としない公務の世界においては、では職員の能力と実績を評価できないかというと、そうではないんだろうと思います。公務の世界においても、その実態に根差した能力・実績主義は導入し得るものと我々は考えております。
  公務員が、公のためあるいは国益のためという使命感、誇りを持って仕事に邁進していく過程でその能力を高め、その能力を多様に生かせる仕組みをつくっていくことが必要でございます。まさしく、今の世界にふさわしい行政モデル、行政システムをつくることが同時に新しい公務員像をつくっていくことになるんだろうと思っております。
  能力・実績主義の人事管理の基礎となる人事評価につきましては、先ほど来ご議論がありますように、評価項目、評価基準、評価にかかわる検討課題を実証的に確認するためのトライアルを今やっているところでございまして、このトライアルを踏まえて実態に根差した人事管理のシステムをつくっていくことが大事かと思います。

○加藤敏幸 今トライアルをされていると、こう言われましたし、秋元委員の質問の中でも、たしか少しご報告を受けて、窓口での評価は社会保険庁でどうだったんだとかいう、こういうやり取りもございましたけれども、無から有をつくるというのはなかなか難しいと思うんですよね。だから、この手の話というのはやっぱりモデルを使ってやっていく。そして、モデルともう一つは仮説を、組織内にある仮説を幾つか記述をして、それを前提としていろいろやっていくという手法になっていくわけでありますけれども、今言われた、今トライアルをやっているという報告を、現場主義だとか即したということでとらえるということでは少し私は物足りないと思っています。
  あのトライアルは、お話を聞いた限りにおいて、私の経験でいくと、まあ言わば、いわゆる一般的な窓口業務だとかルーチンワークをされている場合の一つのテストとして、私はまあそれなりにいいんですけれども、今議論されているレベルは、更に上の課長クラスだとかもう一つ上のレベルを含めた私は評価だとかいうことになってくると、ちょっと違った私はアプローチが必要になってくるので、そこは今日はもう時間がございませんので置いておきますし、この点について能力主義、実績主義の導入について、民間モデルの適用について質問を考えておったんですけれども、もうこれは今一連の話の中で、今日のレベルではこれ以上やってみても生産的な議論になりにくいので、これは割愛をさせていただきたいということで。

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4.人材育成と長期選抜方式(日本的昇進モデル)について

○加藤敏幸 そろそろ残り時間が近づいてきました。少なくなりましたので、塩崎官房長官にいよいよお聞きをしたい。それは、人材育成と日本でいう長期選抜方式、これ日本型昇進モデルとこう言われていますよね。欧米なんかは、もう最初からMBA持っていたらバイス・プレジデントだということで副社長というか、ぱあっと抜てきをして、30歳代で一杯そういう人たちがいるけれども、日本の企業は、入ったときからある程度同期横並び的な要素を少しずつ減じながら、10年、20年、比較的長い期間を掛けて本人の資質だとかいろんなところをテストして、最後に社長になる人間、役員になる人間という、そういうふうな人材の育成の仕組みをつくっていると。
  また、人材育成で大事なのは、私はやっぱり先輩の背中を見てみんな伸びていくんです。あの先輩、ああいうときにああいう仕事ができる、あの先輩を取りあえず自分の目標にしようと。まず、そういう生きた実在の人物がまた自分のモデル、目標として、自分の研さん、自己育成に力が、まあそれに注いでいくというそういう仕組みを、私は日本の今までの人材育成の中にあったと思うし、お役所もそれに非常に近い人材育成のプロセスだったと思うんです。
だから、これはまあ本当に横並びだとか、要らない海外出向だとか言われているローテーションと。ローテーションも考えようによってはやや無駄なところがあるんですよね。だけど、民間の企業はお金がなくてできない。しかし、ある程度海外勤務も含めてそのコストも国が背負って、ローテーションという中で人を長期的に育てていくということから、やっぱり国家の要請にこたえられる公務員をつくり上げてきたというのがこの日本近代化の中の一つの人材育成のノウハウであったと思います。
  今回、30歳で局長、40歳でどうと、いろんなことが、言葉が飛び交っておりますけれども、こういうふうな人材育成、本当に骨太の、外交も含め国内も含め、そういう公務員、力になる公務員を育てていくという視点から、是非、内閣の番頭、束ね役である、またこれから先もいろいろご活躍されるだろうと、その官房長官に是非ともこの公務員制度の中における人材育成、このことについてご見解をいただきたいと思います。

○塩崎恭久・官房長官 我が愛媛県新居浜のご出身の先輩議員である加藤先生に胸をかりて今日は質疑ができることは、大変光栄に存ずるところでございます。
  今人材育成の話をちょうだいいたしましたが、いろいろ世の中単純化をして語られることが多いと思うんですね。アメリカというのは、何だか知らないけどみんな短期で物事を考えて、ころころころころ変わるというふうに思われていますけれども、意外にそうでもないところもあって、例えば今財務長官をやっているポールソンというのはゴールドマン・サックスに入って多分30年ぐらいずっとやっていた。それから、割合大きな会社でも、結構生え抜きでずっとトップまで行くという人がいるんですね。何かいつもこのキャリアパスをどんどん変えながら行くというふうに思われがちでありますが、必ずしもそうでもない。
  さっきイギリスやオーストラリアの例、公務員の例を出しましたが、実はこの2、30年の間にどの国も、公務員制度、あるいは公務員とそれから大臣との関係、あるいは大臣のサポーティングスタッフの在り方とか、みんな試行錯誤でどんどんどんどん変えてきているんですね。日本だけがほとんど、まあ副大臣、政務官というのを設けたとかそういうことは若干ありましたけれども、本質的にもっと変えなきゃいけないと。特に、今回はこの戦後レジームの象徴でもある公務員を変えようということで、公務員制度を変えようということでございますけれども、恐らくこれから総理の下に有識者会議を設けて、採用から退職までの公務員の制度の全体像をもう一回議論し直そうと。今回、先行的に二つの柱をご審議をお願いしていますけれども、ここはもう待ったなしで、今までも積み上げてきた議論があったからこそ先に本質的な部分でご審議いただこうということになっています。
  恐らく、公務員ということで全部をまた語ることは、そう単純化してもいけないんじゃないかと思います。ほかの国の例もいろいろ参考にして我々は考えて、今回、公務員制度改革の法律を作りましたけれども、やはり、例えば、私の父は実は大蔵省出身です。多分、主税局以外にいたのは、主計局にちょっと、主計官を一回ぐらいと国際金融局に一回ぐらい、まあその程度であって、あとずっと主税局で来た。そういう育て方というのがあって、その代わり、それなりのやっぱり知見を持った人間が育っていくということになりましたが、今そんなふうにやっている、育て方をしているところは多分ないと思います。かなり長い間一つの局にいるということはあったとしても、昔ほどじゃないと。
  それはやっぱり、それぞれの時代のニーズに合ったもの、ニーズに合った人材を育てようということであって、例えば今いろいろ考えているのは、一括採用すべきかどうか。それから、例えばカナダのように局長以上ぐらいを一括任用していくかどうかというようなことも議論になっていますが、それは恐らく一つの役所のことを知っている人間が上の方に来てもなかなかマネジメントができませんよねと。多分そんなことが増えてきているんだろうと思うんで、その育て方について、育成についてどういうふうにしたらいいのかというのは、本当はこれから緻密に、いろんな固まりがあって、技術系の方もおられるし、あるいは仕事によっては非常に科学知見を持っていなければ駄目だとかいろんなことがあると思うんで、場合によっては、もう即戦力で民間から来た方がいいというところもあると思うんです。
  ですから、結論として申し上げれば、長期選抜方式というやり方も一つのやり方としてこれからもあるかも分からない。しかし、それだけでももちろん駄目だし、いろんなやり方を、どういう公務員像を描きながらこれから人材育成の方法を考えていくのかということを総理の下での有識者会議で大いに詰めていこうじゃないかというふうに私どもとしては考えているところでございます。

○加藤敏幸 今官房長官のお話にあった、総理の下での有識者会議、そこで議論される中身は非常に大切なことでしょう。そうですよね。私も大切なことだと思うんです。
  じゃそれを、それが上がるまでこの法律待てよ、とは言いませんけれども。今私たちが遭遇している問題は、本当にこの国家の危難の状況の中で、優秀なだけでもまだ足らない、やっぱり国難に遭遇したときに頼りになる公務員、お役人、昔で言う官僚の、そういう人材をしっかり得たい、またそれを得ることが国民に対する一番の私たちの責務ではないかと、政治のやっぱりポイントだということにおいて、私は是非とも今言われた議論をやっていただきたいし、それを私たちは待ちたいと思います。政治が議論すると、何となくいいところが消えていってぐちゃぐちゃになっていくということは我々も心しますけれども、内閣においても私はやっぱりそこは大きく心を開いて、今も開いていらっしゃるけれども、是非とも対応していただきたいということを注文申し上げまして、最後に一つ。

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5.公務員制度改革における意識改革について

○加藤敏幸 先ほど、土壌、組織風土、土壌に大きな問題があるんですよと申し上げました。それを改革する、意識改革ということをどうやるか、これは大変なんです。万年赤字会社をこれ万年黒字会社に変換するときに、一体どういう作戦、戦略を持ってやっていったか。結局、この組織風土というものは、マネジメントにおける風土、現場における風土、ボードの意思決定のこのパターンにも、やっぱり風土があるんです。

 そういういろんなことをしたときに、一つの事例として、今お手元に最後に余分な紙を一枚お配りをさせていただきましたけれども、これが、厚生労働省、雇用状況実態調査。ちょっと古くて平成13年のしかなかったんですけれども、年下の上司が年上の部下を使う状況に関する調査。これは民間企業も20年前から随分遭遇したんですよ。やっぱり、いい大学出ても、結局最後、係長か主任ぐらいで終わる人だってこれは当たり前におるわけですよ。これは人の世はというのはなかなか難しい。そういうことの中で、この年下の上司が年上の部下を使い切っていく。ここには、もう感情、いろんなものが出てくるものをどう克服をして職場の生産性を高めていくかと、こういうふうなこと、大きな課題にいろいろ直面したと。

 そういうようなところで、ここにありますように、こういう状況は、8割の職場ではやっぱり逆転現象がもう起こっていますと。それから、何でそういうふうな年下の上司、これは同じ学歴・資格ということでとらえていますけれども、状況になったときのメリットはといったら、活力が生まれると。まあそれは緊張感出ますよね、「このやろう!」という気になりますから。優れた若者を、もう上司がいなくなるまではあれは課長にできないというのではなくて、抜てきして生き生きとした若い人を課長にできるというメリットがある。裏を見ていただきますと、じゃその反面、年上の部下のモチベーションが低下する、これは当たり前ですよね。それから、上司が指示・命令を出しにくい。やっぱり遠慮してしまうと。

 こういうようなところで、じゃこの問題を解決するために、年長者のモチベーションを維持するために何が効果的だったですかというと、やっぱりその人たちは専門的な仕事に配置する。先ほどスタッフ制という議論をされていましたけど、やっぱりそういうふうにきちっと限定をした使い方をする方がいいんじゃないか。あるいは、目標管理制度の中にやっぱり気持ちを昇華してもらうと。それから、職位にこだわらず仕事に打ち込める職場風土を醸成する。そうだよなと、やっぱり若い者が順番にリーダーやればいいんだと、おれたち経験があって知識がある者が若いあいつを支えてやろうじゃないか、今の内閣もそういう雰囲気だと思いますが。

 こういうことがあるということで、最後に、公務員制度改革における意識改革について、塩崎長官の考え方なり所信をお伺いをして、私の質問をそろそろ終わりにしたいと思います。

○塩崎恭久・官房長官 大変深みのあるご質問、ご意見をちょうだいいたしまして感銘をいたしたところでございます。
  これを見て分かるように、今また加藤先生がおっしゃったように、もう民間では20年も前からこういうことが起きてきて、いろんな悩みを経ながら今を迎えているということでございます。正に、公務員の世界でも同じようなことをこれからやっていこう。つまり、当たり前に世の中で行われていることを官の世界でも当たり前に行っていこうと。
  こういうことで、特に、どういう制度に、例えば採用のやり方にしても育成のやり方にしても、評価は恐らく今私たちが提案しているものになるだろうし、再就職の在り方も、やはり能力・実績主義でいくということでいくということも変わりないだろうということで先行的に提案をしているわけでありますが、この意識改革、恐らく民間でも、いろんなトラブルもあってご苦労されるマネジメントに当たっていらっしゃる方もおられたと思うんです。
  これを、同じことを多分公務員でもやると思いますが、先ほど申し上げましたように、いろんな公務員を私たちは必要としていると思います。そういう中で、多分、恐らく横ぐしで必ず必要であろう意識改革は、やっぱり能力をきちっと評価をする、客観的に評価をする、できる限り客観的に。もちろん、人間ですから感情的なことだって、先ほどのこのやろうというのは、話がありましたが、そういうことは若干あるにしても、やっぱり今まで何でこういう人に仕えなきゃいけないのかというのは、まあ日銀でも若干ありましたが、それはやっぱり能力が納得できないというときに一つやっぱりうまくいかない。もう一つは、これもどこでも同じでしょうが、人間として信頼できるかどうかというのは、時としてやっぱり年齢は関係ないと思うわけであります。
  そういうことで、能力を正しく評価をして、それは別に人間の評価の問題、人間としての評価の問題ではなくて、職、仕事としての能力の問題を冷静にやはり認め合うということと、あとはやっぱり人間関係がうまくいくような、そういう環境をつくりながら、これからの公務員の皆さんがやる気を持ってやれるような公務員制度をつくって、先ほどの専門性を大事にするとかいろんな工夫をしながら、やっぱりみんながいつもやる気満々で頑張ってくれるような公務員の世界をつくっていくことが、実は官だけではなくてこれは民に一番大事なことで、国民が一番それでメリットを享受するんではないかと、こんなふうに思っております。

○加藤敏幸 終わります。