国会質問

第166回通常国会 国土交通委員会(2007年3月22日)

「都市再生特別措置法改正案」に関する質問

事業の公共性の追求が必要だ! 住民・市民参加の都市再生を。


vol_171_photo01.jpg

 参議院・国土交通委員会において、「都市再生特別措置法改正案」に関する質問を行いました。

 現在の法律は、小泉内閣の目玉政策であった都市再生事業を、特に規制緩和策を行い、民間主導により推進しようとするものでした。六本木の防衛庁跡地再開発(東京ミッドタウン)などが代表的な例です。本年3月をもってこの法律の期限が終わるため、政策の継続を目指してあと5年継続しようとする改正案です。

 都市再生事業では、たとえば容積率の改善などの優遇策がとられます。なぜ特別な恩恵が付与されるのか、これはその事業が公共性をもっているから、という理由に他なりません。

「それぞれの事業が都市再生という公共の目的に沿ったものであるかどうか、その事を事業にかかわるものは真剣に考えなくてはならない」

 私はこのように主張し、公共性や長期的な展望を確保すための行政の役割、商業振興策としての集客性や収益性への注目だけではなく、住民や地権者の生活、街の文化やコミュニティーに着目した都市再開発のあり方が必要であることなどを問いました。

【質問要旨】
(クリックすると該当の箇所にジャンプします)
  1. 都市再生法の5年間の評価について
  2. 住み続けることができる都市再生
  3. 政策の継続・時限立法の延長のあり方
  4. 開発業者優先から住民優先へ
  5. 民間事業における公共性の確保
  6. 都市再生と産業再生の連動
  7. 六本木ヒルズから何を学ぶか(地権者との丁寧な対話)
  8. 都市再開発事業における新たな都市問題(影の部分)
  9. 都市再生における公共性の追求

1.都市再生法の5年間の評価について

○加藤敏幸 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。
  都市再生特別措置法等改正案についていろいろな視点からご質問を申し上げたいと思います。

 まず最初に、都市再生特別措置法が成立して、5年間の月日が経ったということでございます。この5年間の間、この法律がどうであったのか、国民にとって良かったのか悪かったのか、どういう反省点があるのか。こんなことも含めまして、いわゆる政策評価という観点からまず議論をしたいと思います。

 小泉前内閣による都市再生政策は、まさに政権の目玉政策として推進されてきました。振り返りますと、小泉内閣発足直前の平成13年4月6日に政府は緊急経済対策を決定し、ここで都市再生と土地の流動化を景気対策の主要施策の一つとして打ち出されました。小泉内閣が発足した直後、5月には内閣に都市再生本部が設置され、そして都市再生特別措置法が国会で審議、可決され、翌平成14年の6月に施行に移されました。そして、5年を経た今、制度の延長措置や規制緩和や税制、財政支援措置などを講じる法改正が行われようとしている、こういう経過でございます。

 この5年間の政策評価が問われるわけですけれど、その視点は、まず法律の目的に、第一条に記載されてありますように、「近年における急速な情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に我が国の都市が十分対応できたものとなっていないことにかんがみ、」と5年前です、「これらの情勢の変化に対応した都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上を図るため、」となっております。

 この法律が記載しております目的に照らして、5年間、法施行のプロセスと結果において目的を達成したのかどうか。また、メリット、デメリットはどういうものがあったのか、そういう総合的な政策評価をまず大臣にお伺いしたいと思います。

○ 冬柴鐵三・国土交通大臣
  都市再生は、都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上を図ることと、このように述べられておりますが、時代の変遷などにより損なわれました安全性あるいは快適性、美しさなど、都市が本来備えるべき機能を取り戻し、豊かで快適な、かつ経済活力に満ちあふれた都市を実現することを目的としております。

 このような目的の下、平成14年に制定された都市再生特別措置法に基づきまして、都市再生緊急整備地域が全国で65地域において指定されました。民間都市再生事業計画の認定が24件、そして都市再生特別地区の活用が23地区でなされました。

 これらのことは、支援措置としては、民間都市開発機構により出資等、あるいは税制特例、割増し償却ですね、5年間で5割増しと、あるいは固定資産税の特例、標準課税5年間二分の一等、それから都市再生地区における措置としましては、容積率等の割増し等が行われたわけでございます。これによりまして、民間の資金やノウハウを生かして都市再生の拠点となる施設の整備が推進されてまいりましたし、都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上が図られてきたところでございます。
  私の住んでおります尼崎もこの緊急整備地域の一つで、目に見えてこのようなものが実施に移されているということを実感している次第でございます。

ページの先頭へ

2.住み続けることができる都市再生

○加藤敏幸 私も、尼崎は縁のあるところでございまして、某ビール会社の跡地を今再開発されておりますけれども、あそこは新しい勤労者用の居住、いわゆるマンションも整備されて、大阪にも神戸にも近い、そういう意味では非常に魅力的なところであると思います。

 そこで、大臣が今お答えございました安全性、快適性、さらに美しさという、景観というやつですね。私は特にこの居住環境の向上という視点から、この法律、5年間どういう成果があったのかということについて議論してみたいということでございます。
  この法律のスキームや認定された24の事業計画を見ても、今の尼崎の事例は、私はこれからも非常に評価を見詰めていきたいと、場合によっては移りたいなと、そういう思いも含めてありますけれども。ただ、多くの事業計画なりに既に成果があるところは、私はやはりオフィスビルであり商業施設であって、いわゆる住宅政策あるいは居住政策といったものを実現していくということについては、なかなか私はまだまだ弱いという感じを受けています。

 「何で弱いんだ」と。私は、住まいですから住む人がいて初めて住まいなんですよね。もっと大事なことは、10年間だけここに暮らしますとかそういうことではなくて、子々孫々とまでは言いませんけれども、自分の生涯、家族、子供たち、地域、それから昔から小学校一緒だった同級生の彼、彼女、そういうある人間が生きていく上でのコミュニティー、社会共同体としての実体とその将来性、展望がなければ、居住環境ということにはなかなか言えないんではないか。

 そして、我が国の住宅政策がある種魅力に欠ける、そこのポイントは、今私が申し上げたような視点に幾らか欠けた、いや相当欠けた部分があったのではないかと私自身思っておるわけでございます。一度、国土交通大臣とは一体住まいとは何なんだと、そして我が国が住まいを目指すときに一体どういう物の考え方、大げさに言うと哲学、そういうこともやっぱり一通り議論をしておく必要があるんではないかと。ただ、本日のこの法律はそれだけに焦点を絞った法律ではございませんから、そこばっかりやるわけにはいきませんが、そういう視点で少し議論をしてみたいと思います。

 そこで、例えば東京の大規模再開発事業の先駆けとなりましたあの有名な「アークヒルズ」は、都市計画決定時の地権者で残っている人は大幅に減ったとされております。また、「六本木ヒルズ」は容積率が大幅に緩和されて、いろいろな権利を持った、小さな権利、大きな権利を持ったいろんな人々が保留床として手に入れるものは随分確保されてきたと、このように改善されてきたので比較的多くの住民が残っているとされていますけれども、例えば代表例としてアークヒルズ、六本木ヒルズの地権者の定着に関する推移、あるいは事業の前後の住民数の推移について把握されているデータがありましたらお示しいただきたいと思います。

○冬柴鐵三・国土交通大臣
  ちょっとその前に一言だけ。あと、その補足として。
  私、大都市の改革ばかり先ほど申し上げましたけれども、今委員がおっしゃいますように、快適で豊かな住生活あるいは都市の創生という意味で、まちづくり交付金をこの法律の中でちょっと遅れましたけれども交付して、公共公益施設の整備が全国の664市町村で1,102地区において実施され、市町村の創意工夫が生かされた都市の再生や地域の活性化が推進されました、実績としてですね。

 これらは、今言われるように、都市のオフィスビルというようなものではなしに、そこに住む人たちが快適に住めるということを目指しているものでございまして、例えば高齢化社会が進展いたしましたので、あるいは情報化、国際化の更なる進展を踏まえまして、高齢者を含めた多くの人々にとって安全で暮らしやすい都市をつくる。活力の源泉となる都市の魅力や形成力を高めるという地域の活性化を図ることが必要でありますので、この法律によって都市再生の一部として、そういう視点でも広く進められてきたということをちょっと付け加えて答弁をさせていただきたいと、補足させていただきたいと思います。

○榊正剛・国交省住宅局長 おおよそ市街地再開発事業ということでございますので、基本的に従前の土地利用状況なり地域の町づくり方針を踏まえた上で商業・業務・公共公益施設、それに加えて居住機能も含めた必要な都市機能を選択しながら張り付けてくる、こういうのが再開発事業でございます。

 ご指摘のアークヒルズと六本木ヒルズでございますけれども、簡単に申し上げますと、アークヒルズは従前220戸の住宅がございまして、481戸の住宅が整備をされております。そのうち76戸が権利者用の住宅という形で整備をされております。当時、地権者の方が96名ですが、うち45名の方が残留しているということですので、残留を希望された中で出ていっておられる方もおられるのかなという感じになっております。
  六本木ヒルズでございますが、従前564戸に対しまして、権利者用の住宅は595戸で、トータルでは793戸の住宅が整備されております。地権者の方が452名おられましたが、371名の方が残留されておるという形になっておるところでございます。

○加藤敏幸 大臣から、まちづくり交付金を含めた政策の成果に及ばれたと思うんですけれども、私は、アークヒルズとか六本木ヒルズとか、テレビに出たり、この法律を十分使った、ある種象徴的な成功というんでしょうか、うまくいった側面を持った開発について見ていくと、この法律は商業地開発の新しい手法なのか、こういう受け止め方だってできるわけであって、そうではなくて、住宅環境を質を上げることが目的だと。
  それから最も大切なことは、夜間住民がいないですね。昼間だけ人が一杯いるけれども夜中になると正にだれもいないという、そういう無人の町、ビル街をつくるということについてのマイナス面はここ十何年間議論し尽くされてきたわけですね。だから、夜間人口も含めてそこに愛着を持ち、住んでいくんだ、地域に思いを持った人たちの数をどれだけキープできるかということがこの手の、特に東京都に限って言えば、やっぱり巨大開発の一番大事な点だという視点から、そうことが一体どのぐらい考慮された開発になっているのか。

 やっぱり自分が生まれ育ったこの土地、六本木にこれからも住んでいきたい、あるいは「一の橋」地区の開発の問題が今ありますけれども、先祖代々ここで魚屋やっていたんだから、その場でまた商売替えてでも生きたい、自分の小学校はここだという、そういう事を一人ずつ失っていくわけですよね。それは、経済的な事情があって権利を手放していくという人もおられるかも分からないけれども、しかしもう一つは、やっぱり人が住むには十分でない。

 きれいで格好いいけれども、人が住むということ、居住環境としての内容をどのぐらい持っているのかという視点から、私たちは今考えていく必要があるのではないかということを申し上げたということでございます。政府も、私が今言ったことに全然反対だということではないとは思いますけれども、いま一つ、政府としてのご見解を出していただければと思います。

○冬柴鐵三・国土交通大臣 もう委員のおっしゃるとおりでございまして、やはり住居というのは人生の中で一番長い時間を過ごすところでありますし、妻や家族と子を産み育てそしてくつろぐ場でもあります。

 そういう意味で、そういうところが壊されるような改革であってはならないと思います。それが、近代的な大きなマンションとか建て替えられるにしても、やはりその思想、それはそういう空間であってほしいと思います。それは、すぐれて個人資産ではありますけれども、客観的には町を構成する社会資産でもあるという視点、これを失ってはいけないと思うわけであります。

 そういうことを総合しながらこの改革は進められていかなければ、いわゆる地方の活力を活性化するということは出てこないというふうに思います。

ページの先頭へ

3.政策の継続・時限立法の延長のあり方

○加藤敏幸
  正に、大臣の見識のある答弁を踏まえまして、さてそこで、この法律、施策を延長せよという要請を政府から受けておるわけですから、その意義について考えてみたいと思います。

 まず、これは特別措置法、すなわち時限立法でありますから、寿命のある法律であったと思うわけであります。また、この法律が立法されたときの状況というのは、最初に申し上げましたように、日本国じゅうの土地がもう動かなくなった、経済の血流が止まった、銀行の再建と、新宿には地上げの虫食いに遭ったような土地があちこちにあって、それも全然動かない、都市から人々は全部逃げていく、もう日本経済どうなるか、そういう環境の中での緊急措置の一つとして、私は視点としては当たっていたところもあると思うんですけれども、民間のお金とノウハウを使おうではないかと、それから民間がやりやすいように、今までいろいろ規制があって、どちらかというと規制があって開発があると、そういうことが日本の国際的な競争力を失わせておるんだと、そういう議論も受けて、そういう環境の中で立法措置をとられたと、こういうことだと思うんですよね。

 さて、そういう法律を更に延長せよということなので、では今も立法時と経済的な環境が同じなのかといったら、政府はそこは違うと言っておるんですよ。私どもは、経済はまだまだ様子が良くないよと言ってるのですけれど。つまり、経済状況が悪いという理屈は、少し払拭されてきた。

 では、なぜこの法律を延長されるんですかというと、一つは、この事業支援策が一定の成果を上げて、更にこれを推進しようという政策当局や民間事業者の意思が依然として強いということが考えられる。つまり、ある意味で政策評価が高く、更に政策を継続することが今後とも大きな公共的利益をもたらすであろうと、こういう判断がある。

 もう一つ考えられるのは、政策がある程度目的を達成したものの、やり残しの懸案が残っているような場合、つまり、この法律に関して言えば、様々な規制緩和や行政の支援措置によって都市再生事業の準備は進められているが、例えば地権者の合意形成に手間取ったり、周辺住民の反対運動が強かったり、様々な理由で手掛けた計画や事業準備にてこずっているところが結構あり、現時点で法律を失効させるわけにはいけないので、5年、もうちょっと延長してほしいという、言葉を換えれば後に引けない部分もあるので延長を要請すると、二通り考えるわけでありますし、またこの二つの要素が重なって両方の側面があるということだと思います。

 そこで、私がここでお聞きしたいのは、こういった大規模な都市再開発への支援措置の流れの中で、今後、自治体や事業者の要望にこたえ、国土交通省として対象を積極的に広げていかれるのかどうか方針を伺いたいと。

 現在、都市再生緊急整備地域は64地域、しかしこれは少し未着手のところも随分あるという話ですけれども、そのうち都市再生特別地区は23地域、認定民間都市再生事業計画は24か所となっており、既に完成したところもありますけれども、今後これを積極的に増やしていかれるのかどうか、ここのところをお伺いをしたいと思います。

○松葉佳文・内閣官房都市再生本部事務局次長
  内閣府・中心市街地活性化保部事務局次長 今お尋ねをいただきました、繰り返しになるかもしれませんが、都市再生緊急整備地域につきましては全国で65地域、約6600ヘクタールを指定しております。それから、特別地区につきましては23地区でございます。それから、民間都市再生事業計画につきましては24の大臣認定が行われているところでございます。

 これまで5年間でいろんなプロジェクトが具体化してきておりますけれども、権利調整が他方で難航するなど、様々な隘路から未着手になっているという事業もまだ数多くあるわけでございまして、これらにつきましては引き続き支援していく必要があると考えております。

 また、一方、プロジェクトの実施に伴いまして新たな人の流れなども出てまいりまして、これがまちづくりのエネルギーとなって地域の価値の向上につながるような取組、例えば防犯活動等によって安全、安心なまちづくりを進めるというような、そういう新たな取組に発展するといった先進的な事例も出てきております。

 今後、都市再生緊急整備地域の指定などに際しましては、例えばこうした動きなども応援するというようなことも含めて、引き続き進めていくことが大切なことではないかと思っております。

 また、中心市街地の活性化や密集市街地の再生などの課題につきましても十分配慮するとともに、先生ご指摘のように、広く地方自治体や民間事業者あるいは地元の方々の意見、要望、それから地域の状況なども十分把握に努めながら、ご指摘の点については取り組んでまいりたいと考えております。

○加藤敏幸
  私がこういう視点で質問申し上げたのは、我が国の法律というのは、時限立法、特別措置法でスタートして、何か永久法ではないのかという形で継続をされて、世につれ状況につれ少しずつ何か変わっているような変わっていないような、そういうふうな法律も多々多いわけですから、やはり立法時の法の目的なり目標に照らして、私はやはりけじめを付けていくという考え方も必要ではないかと思うわけであります。

 先ほどの局長のお話、説明の中で、新しく人の動きなんかも変化することによって安全、安心なまちづくりということを含めた新しいニーズも散見されてくるということについては理解できますけれども、私は、法律としてはやっぱりけじめを付けて、例えば次に5年間なら5年間で仕上げて、もしそういうことがあるんなら、私が言ったやっぱり居住環境の向上ということも含めて、日本の、大東京のやっぱり居住環境としての価値をどうするのかということをも視野に入れた、それこそ新しい立法というものを想定されて今言ったようなことを提起されていく方が、国会としてはそういうことを考えるべきではないかな、また行政にもそういうふうなお考えが必要ではないかなということを意見として申し上げたいということでございます。

ページの先頭へ

4.開発業者優先から住民優先へ
 住民参加、市民参加の都市再生

○加藤敏幸
  先ほど住民参加、担い手の育成というお話がありました。そこで、少し見方を変えて、大変、皆さん方には失礼なんですけれども、関連するジャーナリズム、あるいは評論、専門家の意見の中にもそういう見方をされる方がおられますので、少し意地悪な見方をしてみますと、この法律は、民間ディベロッパーがある地区について、自身の先行取得した土地を含め事業対象地区の3分の2の地権者の同意を取り付け、容積率の大幅な緩和などを含む再開発事業の案を提案すれば、例えば地域内の残りの3分の1の地権者が反対しようと、また周辺の住民が反対しようと、よほどの問題がない限り提案が認められ、強制収用も可能な事業施行者として民間ディベロッパーがその再開発事業を進めることができると、これもまた6か月以内にというふうに、なかなか強力な私は法律ではないか。また、その強力さゆえに、従来なら十何年掛かったものが結構早いテンポで開発が完了していくこともあるわけですけれども、私はこういう見方が一方ではされ得る、これもまた一つの事実だと思うんです。

 話がまとまった地区については、ディベロッパーの事業計画が推進されやすいよう、これまで動きが鈍かった役所を急がせ、また反対運動があればこれを封じて、民間主体で自由に再開発をさせてあげようというものだと、こういう意見もあります。
  しかし、私は、都市再生事業というのは、先ほど申し上げましたように、その町をどのような人間が住む空間にしていくのか、地域の歴史性や文化をいかに反映させて、個性的で魅力的なまちづくりをしていくのか。それは、外部からのデザイナーとかそういう特殊な人だけじゃなくて、実際に住んでいく人すべてがその議論に参画をしていかないと、結局は質ではなくて、量的な、フロアがたくさんできたとか、集客能力があるとか、そういうことだけが議論のポイントになってしまって、本来の町が変えられてしまうことになるのではないか。

 したがって、無機質ということとデザイン性というのはよく分かりませんけれども、まあ私の言葉で言えば、「冷たい空間」ができてしまうのではないかということであります。

「とにかく集客力のある商業施設が増えればいいんだ」ということだとすれば、私は、法律の目的は何なのか、何で国がここまで面倒を見なければならないのか、何のための都市再生なのか、こういうふうに言わざるを得ないということでございます。
  そこで、今回の法案では地域の担い手を生かした地域活性化対策として、市町村都市再生整備協議会の創設が提案されていると伺っております。これは主として地方都市での再生事業を想定されていると思いますけれども、この辺のところは行政がきめ細かいフォローをしないと、本来の意味での住民参加、市民参加の都市再生はできないのではないか。この地域の担い手のニーズを反映させる実効性ある施策について、具体的にどのように考えておられるのかお聞かせをいただきたい。

○中島正弘・国交省都市・地域整備局長
  今委員からお話ございましたように、今回の改正では市町村都市再生整備協議会という制度を創設することとしております。この協議会におきましては、まちづくりに密接な関係を持つ様々な主体が、都市再生整備計画及びその実施について活発な議論を行うということを期待いたしまして、市町村が都市再生整備計画の作成を行いますときにこの協議会の意見を聴かなければならないと、こういう規定を置いておりまして、そのほかにも、都市計画の要請を市町村が行うときに意見を聴きますとか、そういう一定の権能をこの協議会に持たせているところでございます。

 我々のねらいといたしましては、先ほど来、お話ございますように、まちづくりを進める上で従来公(おおやけ)が実施してきた事柄でございますけれども、これを公だけではなくて多様な主体に参画いただいて個性的な地域づくりにつなげようと、こういういわゆる担い手、いろんな地域で様々な取組をされる人々、団体、そういう方が地域の課題に取り組んで自律、協働してたくさんの仕事をしておられました。

 これも内閣の都市再生本部の決定、昨年の7月でございますが、都市再生の担い手についてという決定がございました。今言ったような状況を踏まえまして、今後、政府は、地域のまちづくりの活動の担い手として、今言いましたようなNPOなどの団体が十分に活動できるように、関係法令等において手続や管理運営への参画に係る位置付けを明確化等を検討する、こういうことを受けた措置でございます。

 何も協議会は、この法律に書いておりますまち交の計画を作るときだけ活躍されるということを決して、それだけを期待するわけでは決してございませんで、そういう公式のと言いますか、法律の位置付けを与えることによってその協議会がきちっとしたポジションへ、市町村はもとよりほかの方々からも認知され、活動のすそ野を広げて様々な取組に活動されるということを期待してこういう措置をとっているところでございます。

○加藤敏幸
  政策担当者としてはそういうふうなところを意図されていると。だけど、やっぱりそういうのは下手なんですよね、行政というのは。一番下手な人に一生懸命やらせているというところが、私の質問にお答えをいただいて言うのもつらいんですけれども、案外そういう本音のところの議論をしておかなければならないではないかということと、それから、やや蛇足ですけれども、ここで今意図されていることは、日本の2千有余年の歴史の中でも、私はこれ、民主政治の正に実践じゃないんですかと。住んでいる人たちが自分の住まいをどうするんだというところに主体性を持って考えていくことを、むしろ政府が、今まではどちらかというと、表面的には協議会をやっておいて、もうほとんどレジュメから全部準備をして、あとははい、はい言わせて一応オーケーですと、そういうふうなケースも多かったんですよね。

 ところが、今は、おれたち役所は下手なんだと、もうやっぱりみんな頼みますよと、いい案出してくださいよ、そのためにはNPO、いろんな組織も含めて能力を活用いたしますということに来た。これは、正に官が主体となった律令国家以来、大宝年間からずっと律令制で、ずっと太政官布告まで続いて、今も続いておる日本の歴史において、町こそは自分たちでつくろうという、、これはうまくやれば、正にある意味で、私たちが戦後ずっと目指してきた日本型民主政治の一つの結実はこういうところにしっかりとした成果ができ上がると、こういうことだと思います。

 茶々を入れる気はないんですけれども、真剣に、本当に、国土交通省といえば最も大きくて力があって、まあ権力機構とは言いませんけれども、そういうお役所の日々の行政の手法が、やっぱり、主体を入れ替えて、住む人が主体でやってくださいと。これはまちづくりも全部そうなっていかねばいかぬ、地域地域でと。私は、そういう意味で、新しい時代をこういうところからスタートいていただきたいし、冬柴大臣ができなきゃ私がやってもいいんですけれども、その辺のところ、よろしくお願いをしたいと思います。

ページの先頭へ

5.民間事業における公共性の確保

○加藤敏幸
  そこで、この法律の中で、私、先ほど随分ちょっと意地悪な言い方をした民間ディベロッパーの皆さん方への期待と、もう一つは規制ということからの議論をしてみたいと思います。

 認定事業者となるべき民間ディベロッパーの皆さん方の話ですけれども、この法律はあくまで民間を主体とする都市再生あるいは都市再開発を支援するというものでありますから、善悪、善し悪しは別にいたしまして、特に首都圏における大規模都市再生事業の推進母体である大手開発業者には、ある意味で期待を寄せざるを得ないと思います。

 例えば、現在24か所が認定されている都市再生事業計画についても、あえて固有名詞を出させていただければ、三井不動産、三菱地所、鹿島建設、東急不動産など大手ディベロッパーの名前が事業者名に、あるいは開発目的を設立された株式会社の株主として出てきております。

 やはり大規模再開発となりますと、また民間の活力、資金を活用するという意味から、資金力、あるいは資金を集める力、あるいは地権者間の調整力、あるいは設計力など様々な能力が必要となるので、大手ディベロッパーに頼らざるを得ない部分はあると、これは私もそう思います。自治体の皆さん方もやはり期待どおりの開発をしてもらいたいものだから、この法律にのっとりスタートしたからには、都市計画の審議会などでも結構スピードを上げて処理をしているというケースが多いと聞いております。

 しかし、一方で、都市計画においては、周辺地域を含めた大きなビジョンをつくり、将来像、単に事業者に任せるのではなく、広範な利害関係者の意見を反映させる仕組みをきちんとつくり、実践していかなければならないのではないでしょうか。

 実態として、民間の事業者は、どうしても自前の土地や一定な空き地があるとか地権者が少ないとか、とにかく再開発しやすいところから手を付けようといたしますし、これは民間会社であるからにはやっぱり利益性ということが追求されますから、けだし仕方のないところであり、ある意味で当然のことだと思います。しかし、これでは開発地域間では統一性のない、あるいは東京だとか大阪だとかあるいは高松だとか、そういう都市にとっても一貫性の欠ける再開発のモザイク、寄せ集めと、お好み焼きみたいなものになってしまうのではないかと、周辺に公共的なプラス作用をもたらさないことになる。

 まあお好み焼きがそうであるかと言ったら大阪で怒られますから撤回いたしますけれども、今後の認定において国土交通省は公共性などについて、よりチェックするとの方針であるようですけれども、この認定事業者たるディベロッパーの皆さん方、それから住まわれる方、地域の人含めて、この公共性の確保という点についてどういう考え方に立たれるのか、ご見解を伺いたいと思います。

○中島正弘・国交省都市・地域整備局長
  公共性をどう確保するかという問題であります。
  都市再生緊急整備地域におきまして、先ほど私64と言ったかもしれませんが、65の間違いで、現在65の緊急都市再整備地域、最近一個増えましたので65でございます、におきまして事業が行われたときに、この緊急整備地域は、それぞれ地域におけるまちづくりのビジョンとして、その地域の整備の目標とか、公共施設の整備に関する基本的な事項を定める地域整備方針というのを決めると。これは都市再生本部が閣議決定しました基本方針に即して決めるわけですけれども、決めるときは当然関係する地方公共団体の意見を聴いてそれを尊重するという規定ございますし、あるいはその関係地方公共団体が案の内容を申し出るという規定もございますので、関係公共団体と十分な意思の疎通をした上で政府が責任を持って決めているというものであります。

 それで、この地域整備方針に即してといいますか、この地域整備方針に沿ってそれぞれのプロジェクトは行われなければいけない、それ認定の要件になっておりまして、したがって、委員のご質問にお答えするとすれば、そのプロジェクトが公共性を持つかどうかということは、私どもが作った地域整備方針がいかに公共性の高いことをちゃんと書けているかということに尽きると思います。

 したがって、自らが作った方針が立派なものであれば相手の振る舞いも立派になるし、自らの作った方針がお粗末であれば相手の振る舞いもお粗末になると、こういう自覚を持って、やはりその緊急整備地域におきます各プロジェクトがそれなりの公共性の高いものになるためには、具体的なちゃんと議論をしてしっかりしたものを作っておかないといけないと、そういうことを考えております。

○加藤敏幸
  お役人として、今のご答弁は結構踏み込まれていると思うんですね、いい意味で。やはり事業者がどうのこうのじゃないと、自分たちはそこに公共性をきちっと確保した地域整備方針を確立することが命なんだと、あとはそれを実現させますよと、今、そう言われたと思いますし、そうあるべきだと思いますね。
5年前はやっぱり経済の面から厳しい状況があったんですよ。でも、今は環境が変わってきましたね、だから、この、今言われた公共性とは何なのと、そこに最初に申し上げました住居環境、居住環境の整備という大きな目的を5年前とは違った意味で、この公共性の、地域整備方針の中に従来と更に進んだ形で取り入れていく。そして、それを認定事業者にむしろこうやらなきゃいかぬのですよと、認定されないんですよという形でリーダーシップを発揮していく。そういう形にステージが変わってきたんではないんですかと私は思います。

 そのことを行政の立場で、 今自信を持って、言いなりじゃない、自分たちがどこまで書き込むかと、それの説得性、その地域整備方針の力強さが命なんだと言われたわけですから、国会としては、そう言われた以上は、それに沿って行われるものだと。やっぱりそれは六十余州、いろんなところでいろんな方がおられますから、今国民が行政やお役人に対して、何か社宅が高いとか、いいところにあり過ぎるとかいろいろ公務員たたきを発していますけれども、一面、こういうところで行政の役割が必要なんだと、民間事業者の予算は分かるけれども、やっぱり行政が非常に公平な、そして長期的な視点、あるいは大きな、正に歴史性だとかそういうことまでも俯瞰し得るだけの地域整備方針の骨格をつくり得るということを提起することが、私は正に行政が今復活する大きなポイントになるんではないかと。話が大げさになって大変申し訳ございませんので、そういうことを申し上げておきたいと思います。

ページの先頭へ

6.都市再生と産業再生の連動

○加藤敏幸
  それでは次に、都市再生の理念をどうお考えになるのか、ご質問をしたいというふうに思います。
  2004年の政府の通商白書では、ヨーロッパの都市再生の事例を紹介されています。例えば、スペインのバスク市では、重厚長大の製造業から転換し、生活の質の向上、文化に重点を置いた都市再生事業を目指しております。また、ドイツのフライブルクは、ソーラー発電など再生可能エネルギーの活用による環境への配慮という視点から都市の再生事業が行われました。やはり都市再生においては、どのような町をつくり、どのように変えていくのかという大きなテーマ、あるいは時代精神とは申しませんけれども、そういうものに基づくビジョン、将来像あるいは戦略がなければ成功しないということであると思います。

 欧米、特にヨーロッパは我が国とは歴史が違いますので、全く同じ議論はできないと思いますけれども、都市再生と産業再生をどうドッキングさせるのかという視点が私は近年強くなっていると思います。

 翻って、我が国の場合、この都市再生なり開発というのは、例えば駅前を再開発しようとか、ごちゃごちゃして汚いから商店街、住宅街を少しきれい、小ぎれいにしたい、だからビルを建てようかとか、とにかく人が集まる町づくり、あるいは商業、サービス産業の振興というところに重点が置かれてやってきたというふうに思います。

 しかし、地方都市の現実を見ますと、郊外の大型店がにぎわい、中心市街地が空洞化するという、私から見ると大変な事態になってきておる。市街化、活性化対策も単に人を集めればよいということだけではもう間に合わない。むしろ、人が集まるということは、何で集まるのかということの中に、先ほどヨーロッパの事例にもありますように、産業再生というものを私は組み合わせた都市の再生、地域都市の再生ということを考えるべき時期に来ているんではないでしょうかというのが主張点であります。

 そういう意味で、私は、産業政策、産業創出という視点からこの都市の再生ということを、これはいろんな方法があるというふうに思います。産業にもいろんな産業がございますから、単に工場を持ち込むとか、あるいはいろいろな研究所を持ち込むとか、そういうことだけではなくて、もう少し違った意味で産業との共存、共生、そういうことを図れる形での都市計画、都市再開発というふうなことが必要だと思います。
  この点についてご見解がございましたら、お伺いしたいと思います。

○中島正弘・国交省都市・地域整備局長
  今、都市の再生、特に地方の都市再生で最もニーズが高いといいますか、要請が強いのは、やっぱり活性化といいますか、雇用をどうつくるか、地域経済の活性化どう図るかということでございます。まちづくり交付金が随所で活用されていただきますが、その目標としても、観光客を増やしたいだとか、何とかその商品の販売額を増やしたいんだとか、自分たちで造った施設への来場者を、県外からの来場者を増やすんだとか、そういった目標を掲げて地域の産業の再生、振興を図るという課題を持った計画を作っておられるという市町村が多数ございます。

 また、まちづくり交付金で、平成19年度の予算案でございますけれども、新しく基幹事業というんですか、メニューの中に、町おこしセンターという名前を仮に付けたんでありますが、地場産業の開発、情報発信等の町おこしの中核となる施設、これは地域の要望も強かったものですから、基幹事業として追加するということもさせていただきました。これらも地域の生産活動の、活性化の支援につながればと思っております。

 いろんな方法ございますけれども、コアとなるといいますか、自生的な、地域のサービス業、商業というのはどうしても派生的なニーズでございますので、よほど集客力があればともかくとして、やはり一番核になる、物づくりみたいなのがあれば本当は一番いいんでございましょうけれども、そういったものを地域が持って、それを核に発展してくるというような絵がかければ、市町村長さんといろいろ話しますけれども、そういったことが町づくりの課題として、いろんなことを、景観も大事、歴史も大事、居住も大事と、いろんなことを言うんでありますが、その中心にやっぱり、町が食えるというとちょっと言葉が私も不適切かと思うんですけれども、生きていけるという基盤をしっかりつくるということが町づくりの基本かと思います。

 そういった意味で、微力ながらいろんな手を講じまして市町村の活動を支援していきたいと、このように思います。

○加藤敏幸
  やっぱり食えるということは大事なことだし、食えない町づくりでは、これももう何のことかということになっていくと思いますし、住んでいる人たちも、やっぱり生業であり、やっぱり家業であり、あるいは自分が就職している仕事との兼ね合いというのは物すごく大事なんですよね。

 だから、私は、箱物だとかもういろいろな技術的なことを考えますけれども、やっぱりポイントは今言った、産業政策というと話が大げさですけれども、生業、家業ですね、あるいは各種の地場産業だとか、そういうふうなことを視野に入れて、そのことを大切にするし、そういう町づくりが、例えば堺の包丁なんかも、私はすばらしい、自分で料理もやりますから、世界一の切れ味だと。その良さがやっぱり生き残っていくような堺。ところが、あそこはなかなか不便なところで、だからそこをどうしていくのかということを、住民との話合いというのはそういうことも含めて、大きなテーマ、小さなテーマ含めた私は議論も必要ではないのかということで、是非とも経済産業省とも、いろいろと境界線があるかも分かりませんけれども、連携をしてやる必要があるのではないかというふうに思います。

ページの先頭へ

7.六本木ヒルズから何を学ぶか(地権者との丁寧な対話)

○加藤敏幸
  さて、少し時間をいただきまして、事例検証的にお伺いをしておきたいんですけれども、一つは六本木ヒルズから何を学ぶかということです。かねがね私はこの六本木ヒルズというものに興味を持っておりました。テレビによく出てくる人が住んでいるとか、そういうことではなく、都市再生事業の中でも最大のものであり、また中身も将来を見通した質の高いものとなっているという評価もあると聞いております。

 この六本木ヒルズは平成15年に完成したわけで、本日審議しております都市再生特別措置法ではなく、都市計画法に基づく市街地再開発事業として、まあ名前を出してあれですけれども、森ビルが第一種市街地開発事業の施行者として開発したものでございます。第一種でありますから、権利変換方式で進められたと。

 そこで、なぜこのような住宅密集地で権利関係も複雑であったにもかかわらず成功したのか、この点をいえば、私はビジョンづくりと合意形成の努力があったからではないかと思っております。

 計画当初、これは昭和63年の街づくり懇談会の設立に始まり、森ビルやテレビ朝日などの努力によって地区内への説得活動が実を結び、それが街づくり協議会となり、そして平成2年に地権者の8割が同意して六本木六丁目地区再開発準備組合の結成となりました。その過程で、関係者がまちづくりの在り方を徹底的に議論し、合意形成のために多くの労力を費やしたということにあります。そこには緑豊かな文化都市をつくろうというビジョンが一貫をしておりました。1988年から2003年という15年以上もの長いスパンを掛けて完成したわけであります。やはりここの再開発においては、こういった住民の人たちが十分理解できるビジョンの提示と丹念な合意形成努力があったからではないかと、このように思います。

 何も宣伝しておるわけではございませんので、いい面を言えばこういう側面があったと。現在の法スキームでは、手続面、規制緩和面、さらに公的な支援において更に再開発を進めやすくなっていると思いますけれども、やはりこの六本木ヒルズの経験というものを私は参考にしなければならないと思います。

 そこで、最初の質問ともダブることになりますけれども、都市再生特別措置法の効果を検証する上で、この法律の適用を受けなかった、随分面倒くさいことをされたように見えるこの六本木ヒルズと、現在のお代官様に代わるぐらいの権力を持つと言われている、この法律に持つ24の事業計画と比較することは意義があると、このように考えております。

 例えば、六本木ヒルズの近くの防衛庁跡地の再開発事業である「東京ミッドタウン」などとの比較において、どのようなことが言えるのか、ご見解をお伺いしたいと思います。

○中島正弘・国交省都市・地域整備局長
  六本木ヒルズは今お話がございました第一種の市街地開発事業でありますし、東京ミッドタウンは大規模土地を取得してやったという、任意の事業という、事業手法としてはそういうことでございます。

 また、都市計画の特例はどちらも再開発地区計画という特例を使っておりまして、東京ミッドタウンの方は途中で法律の名前が変わりまして、再開発等促進区と変わったんです。元は同じ再開発地区計画でございます。で、容積の緩和を受けておりません。

 どこが違うか。一番違うのは地権者が六本木ヒルズでは400人を超えますし、東京ミッドタウンは今一人でございますので、その権利調整に随分時間が掛かりまして、六本木ヒルズは13年余掛かっていますし、東京ミッドタウンは約6年ぐらいで開業までいくと。

 それで、スピードアップの点を、何を学んだかというと、六本木ヒルズから学んだということで、今回の都市再生に反映しているであろうと。必ずしも当該プロジェクトの影響ということではございませんけれども、平成13年12月の都市再生のために緊急に取り組むべき制度改革の方向という都市再生本部の決定がございまして、法律できる前でございますが、その中に、民間事業者を使ってという、先ほどから何度もおっしゃっていますが、当時はこういう色彩が非常に強うございまして、民間事業者の力の発揮というのがあります。その中で、「手続きの並行処理などによるスピードアップ」というのがございまして、もう逐一読みませんけれども、例えば、臨港地区の解除、都市計画の手続の時間を短縮するとか、権利変換に伴うときの道路の廃止の手続をどうするとか、埋蔵文化財とかアセスの手続などを例示して、地権者との関係はこれはどうしようもないというか、そこは汗をかくしかないんでありますが、その後役所に入ってからの手続時間をなるべく短くするということを言われました。

 その点が一番違うところといいますか、時間、リスクを軽減するという意味では進んだところではないかと、こういうふうに思います。

○加藤敏幸 要約すれば、行政との関係において発生する時間資源については節約ができたと。しかし、普通の地権者との、お一人お一人との関係については余り節約ができたとは聞いていないということですよね。

 だから、私は、ミッドタウンの場合は防衛庁敷地という、極めて巨大な一地権者であったという意味でやりやすい面もあったと思いますけれども、申し上げたいのは、六本木ヒルズは大変だったんだけれども、それだけの根気強い決意それから努力をすることによって、その後も含めてそれなりの成果が出てきたということにおいて、新しい法律は私は非常に強力な法律だと思っているんですけれども、だからといって、認定事業者にとって時間とはコストですから、資金をどう回すかとか、もうご存じのとおりだと思うんですよ。

 便利だということではなくて、丁寧に地権者との対話をしていくことが本当の意味での、住宅環境を良くする、そしてその開発したものが長生きをするという、命を与えるのはやっぱり住んでいる人と掛けたコストというものに非常に大きな価値があるんだということを是非とも肝に銘じてほしい。六本木ヒルズがうまくいったのは、やはりまちづくりに対する、私は、性根の入った理想なり理念、それがやっぱりあったと思うんです、どうしてもやっていきたいという。その熱意、情熱をなくして、手続論的にうまくいくからということだけでは事業がうまくいきませんよということが一つの教えではないのかと。

ページの先頭へ

8.都市再開発事業における新たな都市問題(影の部分)

○加藤敏幸 もう一つは、今度は六本木ヒルズから何を学ぶのか、その二という形で、六本木ヒルズは言わば都市再生の典型的モデルとなっておりますけれども、実は光の部分だけではなく当然影の部分もあります。こういった巨大開発の下で様々な都市問題が発生していることを忘れてはなりません。

 まず第一は交通問題です。六本木周辺の交通渋滞、通行量の増大に伴う大気汚染、路上駐車とかいろいろな問題、そして当然安全面からも大きな課題が残っております。

 第二に、地域の高度利用によって、これは他の地域と同じでありますけれども、都市化の進展によるヒートアイランド現象、いわゆる環境との関係で問題を深刻化させております。ヒルズの場合、屋上緑化などいろいろ努力をされていて緑地面積は大幅に増えたと発表されておりますけれども、ただ、航空写真などでチェックをして有効性を調べてみますと、やはり緑地という視点から見ると、そう評価できるという内容は多くはないのではないかと思います。

 第三の問題は防犯の問題であります。六本木地区は世界の各種先端企業が集まるビジネス街として観光客や外国人が多く訪れる国内も含めて観光地になっております。いろいろな傷害事件等、また治安問題、いろいろな問題が発生をしております。また、事業者の理念に反し、依然として昼夜間の人口差が大きく、夜間人口の少なさと死角的空間が多いことから、住民にとっては不安の大きい地区となっていると。警察、住民によるパトロールが行われたり、駐車違反の厳しい取締り、防犯カメラの設置、国際交流事業の実施などで犯罪研修、いろいろ改善努力をしておるわけでありますけれども、急激な都市化は様々な問題を起こすことを忘れてはならないと。また、完成のときから、電波障害、風害、日影の問題ですね、新たな問題が生じたり、また、夜間の突貫工事の被害も相当あったというふうに聞いております。

 こういう問題があったわけでありますし、ヒルズにおいてもいろいろと計画どおりにはいかない面があった、予期できない面も起こるということがございますので、これらの開発段階、完成後に生じた様々な問題について国としても今後の再開発事業に生かしていくべきだと、このように考えますけれども、見解がありましたらお願いします。

○中島正弘・国交省都市・地域整備局長
  これももうご指摘のとおりだと思います。この5年間という短期間で、認定事業が24でございますけど、そのほかに都市開発の特例だけ受けたというプロジェクトもございますので43だと思いますけれども、43ぐらいのプロジェクトが立ち上がりました。逐次これが完成をしていき、もうできたものもございますし、ちょうど今この時期にというものもございますし、順次でき上がってきます。それぞれ事後的に評価があると思います、うまくいった、うまくいかなかったと。こういうデータを丹念に取って、これを次に生かすというのが私どもの役割、それをみんなで共有するというのが大事なことだと思います。

 個々のプロジェクトの評価はちょっと差し控えますけれども、例えば、汐留なんかも徐々に評価が固まる、景観上ちょっとどうかというご批判もあるようでございますでしょうし、例えば一例で申しますと、新宿ができましたときに、新宿も初めてのああいう大型ビルをたくさん並べた開発でたくさんの教訓を都市開発にもたらしたと思っておりますが、自動車交通という意味では東京は地下鉄が随分発達しているので意外にうまくいきまして、丸の内や六本木なんかも意外に車という、六本木はちょっと評価は違うかもしれませんが、インフラが弱いんで、丸の内や新宿ぐらいのあのインフラがあれば地下鉄が相当効くなという。

 その一方で、あの新宿のときの反省は、人があふれまして、人間の動線というのをもっとちゃんと考えないとうまくいかないなというふうなことがございまして、その後、いろんな開発ではビルと地下鉄の連結というのをもう当然のように、ラッチの位置まで議論してからやるというふうなことになってきたと思います。

 そういった意味で、いろんな都市開発の事例を踏まえてその後生かされてきておりますので、今回の都市再生の一つの成果としてこれらのプロジェクトが世に出たわけでありますから、それぞれの評価を踏まえて次に生かすということを国全体として官民挙げてやっていくということだと思います。

ページの先頭へ

9.都市再生における公共性の追求

○加藤敏幸
 最後になりますけれども、前にも申し上げましたけれども、私は阪神・淡路大震災で、自分の持っていたマンションが傾いて使えないということになり、再建ということを経験しました。私自身は関東におりましたが、残った住民が力を合わせて再建をされたということでございました。

 そのときに、これ、耐震偽装のときにも話があったというふうに思うんですけれども、容積率の改善、つまり容積率を増やしてもらえれば建て替えたときにいわゆる権利が増えますから、見掛け上一人一人のコストが下がるということで、再建策にとっては非常に魅力的なんです。しかし、いろんな形で行政からの支援策はあったし、それは大変役に立った、お世話になったと思っていますけれども、通常は容積率の改善はこれはあり得ないんですね。こういうふうな倒壊したものだとか、それから耐震偽装のときには。

 しかし、今ここでやっている都市再生の場合は、プレミアムというかな、やっぱりインセンティブとして容積率については誘導策として改善、増床されるということがあるわけでありまして、これは同じ国民としてそういうふうな恩恵を浴する、何でその恩恵を浴することができるんですかと。そこには公共性があるという理屈以外考えられないんですよね、説得性ということからいけば。だから、それは単にもうけたとか、今やれば得するぞと、そういうふうな動機だけではなくて、やはり都市再生という、理想とは言いませんけれども、その目的に沿った努力を、容積率をやっぱりプレミアムを付けられたという恩恵に浴する者は、真剣に考えるべきだということだと思うんです。

 そのことの評価は、10年、20年、30年たったときに私はやっぱり評価されるべきものではないかと。私はこの都市再生の事業に携わられる皆さん方には、是非ともやっぱり公共、公のために自分が受けた恩恵をやっぱり生かしていくという、そういう精神が必要ではないかなと思います。

 そういう議論も、私は立法者として、やはり利害の調整だけではなくて、やっぱり求めるべき理想についても国民に語り掛けていくという、そういう努力も必要ではないかなということを日々思っているわけでございまして、まだこの審議は続きますけれども、私の質問の最後に、全体を通じて大臣のご所見をいただきたいと思います。

○冬柴鐵三・国土交通大臣
  都市再生という問題についての深い、哲学的な面まで踏み込んだいろんな考えからのご質疑だと、重く受け止めなければならないと思います。
  なるほど、この都市再生緊急整備地域で整備された、驚くべき短期間にすばらしい都市景観を生み出した、そういうようなものが、今後も一部ではやっていかなければならない部分はたくさんあると思いますけれども、私は、全国の地方都市というか、都市と言ったら言葉が局限されますけれども、人がたむろするところ、そこが美しくて快適で豊かな住生活を送れる場所に、そしてまた特に少子高齢時代を迎えまして、高齢者の方は自動車を運転して遠くに出掛けるとかいうことができにくいわけでございますから、そういう人たちも自分の家の周囲で自分の足で歩いて暮らせるような、歩いて暮らせるまちづくり、そこにすべてのサービスというものが、アーバンライフというものが楽しめる環境をつくっていかなきゃならない。これはユニバーサル社会で、公共交通機関だけではなしに、公共の公園とか道路も、そういうような方々が自分の足で楽しめるような都市をつくっていかなきゃならぬ。私は、そういうものが時代の変遷とともに失われたとするならば、これで取り戻さなきゃいけない。

 そのためには、市町村単位で自ら、おっしゃったように、その土地の持つ歴史、伝統、文化、そして自然ですね、そしてまた、そこに長く息づくそういうものを生かした、その土地の人々の自主的、自律的な発想によって町をつくっていただくということが私は大事だし、それを支援するのが正にこのまちづくり交付金の制度であり、そして様々な、その中で資金が要るというものについては民都機構からの資金の援助とか出資とかそういうものでありますし、それから、そこに住む人々のコンセンサスというものが協議会とかそういうもの、それから都市再生整備推進法人というようなものも利用しながら、私は、それこそ稚内から石垣まで、日本の隅々までそういうものが発想され、我々がそれを支援することによって住みよい町ができてくるということが一番大事な視点だろうと思います。無機質なものじゃなしに、人間的な、温かみのある町というものが再生されるということが大事だと私は思います。

○加藤敏幸 ありがとうございました。終わります。