国会質問

第168回臨時国会 総務委員会(2007年11月22日)

人事院勧告への対応を審議 <総務委員会>

 国家公務員給与の引き上げを求めた人事院勧告の実施に関する 「公務員給与法案」について質問に立ちました。
  人事院は9年ぶりに公務員給与を増額するよう勧告していますが、政府提出法案では国民の理解を得るのは難しいとして、指定職(各省庁の審議官・局長など幹部職員)のボーナスは引き上げないとしています。
  対象の幹部職員は僅かであるとは言え、人事院の勧告がその時々の情勢や政治的思惑・政治的判断によって左右されることは人事院勧告制度の存在意義の軽視ではないかという点をまず大臣に問いました。また、給与改定の見送りに関して、幹部職員の自覚と士気を高めるためにどういう理解をつくるか、幹部職員の責任者としての見解も聞きましたが、増田大臣の答弁は明解ではなかったと感じました。
  各論では市別(5万人以上)に設定されている地域手当の設定方法は、生活実態からみて納得性が低いのではないかと指摘しました。

【質問要旨】
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  1. 幹部職員給与のあり方について
  2. 地域手当の設定について

1.幹部職員の給与のあり方

○加藤敏幸 民主党・新緑風会・日本の加藤でございます。今日は公務員給与関連法案に関する質問を行いたいと思います。

 まず最初に、幹部職員の給与のあり方ということでございますけれども、増田大臣に二点。まず最初は、今回の給与法案の改正の内容は人事院勧告を100%ということではないということでございまして、一部、指定職職員の改定見送りという内容になっておるということでございます。なぜそのことを、ここだけやらないということの根拠なり理屈についてご説明をいただきたいという点と、二点目は、そのことは一体どういうことなんだと。いいのか悪いのか、いろいろな観点から、そのことの中身について。 余り私の方から申し上げる前に、この指定職職員の改定見送りということについて、率直に政府の方の考え方を述べていただきたいと思います。

○増田寛也・総務大臣 お答えを申し上げたいと思います。
  まず、今回の給与改定に関する考え方、そして政府の立場でございますけれども、まず、一つ申し上げておきたいのは、この人事院勧告制度というものでございますけれども、これは、いわゆる憲法上の労働基本権制約の代償措置の根幹を成している、こういう制度でございますので、常に、今回も、今先生の方からご指摘いただきましたような内容になってございますが、今回も政府として人事院勧告制度を尊重するという基本姿勢に立っているということをまず申し上げたいと思います。その上で、職員の士気の向上ということにできるだけ配慮すると、こういうことでございました。

 そういうことで、給与関係閣僚会議の中でもいろいろ議論がなされたわけですが、一方で、やはり今、国の財政事情が大変厳しいということ、それから現下の社会経済情勢、そしてさらには国民世論の動向というものもいろいろと見定めして、ぎりぎりの判断として、国の幹部職員の中核であります指定職の職員でありますが、この指定職職員の給与改定を見送ったというものでございます。

 結論に至るまで、やはり相当な中での議論がございました。例年に比べて、給与関係閣僚会議の回数も四回ということを数えましたので、なかなか結論を見いだすためにも難しい判断でございましたが、今私が申し上げましたようなことを背景として、ぎりぎりの判断として一部見送ったところはございますけれども、人事院勧告制度を尊重するという、そういう基本姿勢はいささかも揺るぎない立場で今回の結論を見いだしたということでございます。

○加藤敏幸 難しい判断だったというご説明ですけれども、大臣が今お話しされたことは余り回答にはなっていないんです。

 なぜなら、結局、政府の恣意的な勧告に対するつまみ食い的な適用だと、そういう批判に対して、難しい議論をしたから、四回もやったんだから、世論の動向、そういうことと指定職の、言わば偉い立場の人だから文句も言わないだろうと、見方を変えると見せしめ的にここの賃金を上げないと、こういうことで世論に対して対応を操作する、こういう姿勢。人勧制度というのは基本的労働権を与えないことの代償措置だということを50年間言い続けてきたわけでしょう。こういうふうに、そのときそのときの政府の恣意的な判断で変えていくという姿勢が正しいのですか? それが今言われたことのお答えにはつながっていないんじゃないでしょうかということなんです。

○増田寛也・総務大臣 お答え申し上げますが、私どもとしては、人事院勧告制度、これはやはり憲法上も、労働基本権が制約されている代償措置でございますので、常に、そしてまた今回も、この人事院勧告制度を尊重するという基本姿勢に立っているということでございます。

 そして、そのことと今回の内容とのことを関連付けてどのように説明するかということでございますが、やはりこの人事院勧告制度を尊重するというその立場はいささかも崩していないというふうに考えておりますが、やはりその中で、財政状況も毎年毎年、その都度都度変わってくるものでございますし、社会経済情勢というものもやはり国として総体的に、国というか政府として判断しなければいけない部分もあると思っておりますので、正にここは、先ほど私はぎりぎりの判断というふうに申し上げましたけれども、そういったぎりぎりの判断を今回させていただいたと。

 やはりこの人事院勧告制度というのは、結局は職員の士気の向上ですとか、そうしたことにいかにつながるかということに向けて、よくその与える効果も考えていかなければならないというふうに考えておりますので、そうしたことも含めて総合的に判断をしたものでございます。
  今、現下の厳しい状況もございますのですが、是非この点についてご理解を賜ればと、このように考えております。

○加藤敏幸 ぎりぎり、何がぎりぎりなんですか? これがまず一つお答えをいただいていないということと、士気に配慮する、指定職を改定見送りしたことが国家公務員の士気にプラスになるんですか、議論の中でそういう議論をされたんですか、士気に配慮するということは具体的にどういうことなんですか? 財政が厳しいというのだったら全面的に人事院勧告について政府は決然と改定しないと、そこまでの決意を固めるなことはできはしないから一部指定職の人だけ、そういう判断なのか。

 私は、まあ大したお金じゃないだとか、対象者は全部内閣の言ってみれば部下なんだからと、そういうことで済まされるということじゃないと思うんですよ。制度に対して政府は最も規範性をと、高いモラルでそれを適用していくというのが品格じゃないんでしょうかということを含めて、あえて更に質問をいたします。

○増田寛也・総務大臣 今、私の方でも職員の士気の問題を申し上げましたんですけれども、やはりこの職員を構成している中で、今回の勧告の内容が特に若い人たちに向けて給与を上げるといったような、本当に久しぶりの改定でございました。そうしたことをやはり十分、今回の勧告の内容の重みというものを考えなければいけないということであります。

 それから、一部指定職について見送りをしているわけでございますが、これはやはり指定職、いろいろと職務を遂行するに当たりまして重たい責務というものを持っている人間でございまして、そうした人間に対しては確かに見送りという形になっております。それも同じ職員でございますけれども、厳しい財政状況あるいは現下の社会経済情勢、それから国民の世論の動向というものについて、そうした人間はやはり重たい職務を遂行するに当たっていろいろな今後に向けての判断もしていただけるだろうということで、内容についていろいろ私どもも考えたものでございまして、こうしたことをいろいろ考えるに当たりまして、私どもも制度の、繰り返しになりますが、制度の根幹はきちんと人事院勧告制度ということの重みを意識した上で、今回こうした内容にさせていただいたものでございます。

○加藤敏幸 限られた時間の中で私どもも質問をするわけですし、給与法の改定のタイミングを考えると今日ぎりぎりの審議のタイミングだということもございますし、地方の皆さん方への影響もあって、この一点でもってすべてを反対するということにはなりませんけれども、大臣、これから少しまた申し上げますけれども、あなたは執行権者なんだから、プライドのある仕事をしてもらうためにも、やっぱり小さなことでも守るべきときは守ると、こういう姿勢が必要ではないかと思うわけであります。

 今、ここ数年、ある意味で公務員バッシングという言葉が飛び交っています。公務員制度改革のときの質問でも相当申し上げたんですけれども、もちろんバッシングされるような中身があることは事実ですよ。今だって、国会で議論しているその内容について、こんな恥ずかしいことはない。公務員の皆さんそう思っていますよ。ある省庁の仕事ぶりについてだって、国民の目線が厳しいということもそのとおりなんです。

 しかし、そういう公務員バッシングというある種の風が吹いている中にあっても、やっぱり公務サービスというものは政治のインフラなんですよ。国民生活を守る基本なんです。そういう視点で最も内閣がそのことを守る、そういう気概でなければ。国家公務員並びに地方公務員を含めて命懸けで仕事をしていく、世間の風は厳しいけれども、やっぱり住民との関係で誠意を尽くし頑張っていく、そのときのバックボーンは何なんだと。世間の風に吹かれて内閣が、いやあ、ちょっと評判が悪いから、この辺で頭をぽかんとたたいておけば皆さん納得してもらえるから取りあえずという、そういうふうなことでは士気は守れない、モラルとモラールは守れないと、こういうことを申し上げたい。民間でやってきた私どもは、この賃金の問題については極めて厳しい。簡単に賃金カットだとか会社役員の報酬カットだとか、我々組合は簡単にはイエスと言わなかったんです。安物の経営者は要らない、簡単に賃金を引き下げてこれで言い訳するような、そんな経営陣は要らないんだと。堂々と取ってください、その代わりいい仕事をしてくださいよと。

 今公務員バッシングの中にある本当の国民の声というのは、それは学歴だとか能力だとかいろんな銘柄に応じていろいろありますよ。だから、水準の問題よりもいい仕事をしてほしい、ここのところを増田総務大臣がやってくれなきゃだれがやるんだと、昨日もそういう、いろんな方のご意見を聞きました。どうですか。

○増田寛也・総務大臣 やはり、国民が求めているもの、それは公務員に、今先生からお話がございましたとおり、良い仕事をしてほしいと、いい仕事をしてほしいと、こういうのがやはり国民の率直な期待感であり、またいい仕事をした人にはきちんとその対価をお支払いすると、これが国民のやはり素直なお気持ちであろうと私も思うわけでございます。
  この人事院勧告制度でございますけれども、民間賃金との適正な均衡ということで、そうしたことも踏まえて勧告がなされているわけでございますが、やはり政府としてそういう勧告の重みというものも十分理解した上でこれの実施に当たっていくと、このことが必要であろう。先ほど、今回の勧告に当たっての政府の対応を申し上げたところでございますが、いずれにしても、今先生の方からご指摘いただきました世の中のいろんな風潮というのは確かにございますけれども、その中でいい仕事を公務員の皆さん方に、職員の皆さん方にしていただくためにも、やはり我々の方でこういう給与の問題というものをしっかりと考えるということが必要かと思っております。

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2.地域手当の設定について

○加藤敏幸 さて、次の質問は、いきなり各論に入るわけですけれども、今お手元に一枚の資料を配らせていただきました。これは人事院の参考資料あるいは物価統計調査から引っ張り出してきたんですけれども、地域手当という支給項目がございまして、地域手当制度は平成17年4月に従来の調整手当に代えて支給されることになったわけで、民間賃金の高い地域に勤務する職員の給与水準の調整を図ると言われながら多くの地域では実質的な給与水準の引下げとなり、公務労働者からもこれはいろんな声が出ていると、こういうことでございます。

 そこで、資料をずっと見ておったんですけれども、兵庫県、そこに市域、行政市市域が書いてますけれども、芦屋から川西、その他と。国の方は、芦屋が2級地であり姫路が6級地だと。したがって、支給割合ということでは、19年度が2級地、3級地が12%と、20年度が芦屋が13%、西宮、宝塚が12%、神戸、尼崎が10%と、こうなっておるわけであります。

 一つは、この地域手当の考え方でございますけれども、当該地域における民間の賃金水準を基礎とし、当該地域における物価等を考慮して人事院規則で定める地域に在勤する職員に支給すると、こういうことになっているんですけれども、物価等を考慮に入れてという部分がどの程度反映されているのかよく分からないということで、人事院にお伺いをしたいと思います。

○出合均・人事院事務総局給与局長 お答えいたします。

 地域手当は平成17年の勧告に基づきまして、平成18年度から実施している給与構造改革の柱の一つであります地域間給与配分の適正化の一環として導入したものでございます。その支給地域につきましては、当該地域における民間の賃金水準を基礎とし、当該地域における物価等を考慮して定めることとされておりますが、具体的には、厚生労働省の賃金構造基本統計調査による賃金指数の十か年平均が一定以上であるものを基本として定めております。

 ご指摘の物価につきましては、一般には賃金決定の際に考慮され、民間賃金水準に反映されていると考えておりますこと、それから近年の物流システムの発達であるとか生活の向上などにより物価又は生計費については平準化が進んできていること、こういうことから、地域手当における支給地域の決定に当たりましては、対象となる地域の物価水準を見つつ、原則として賃金指数に基づき民間賃金が高い地域に支給することとしております。

○加藤敏幸 簡単に言えば、「あまり物価の方は気にしていない」と、こういうことだし、それは元々データとしての賃構で言っている賃金そのものに物価というのは反映されているから、更に見ると二重に物価を配慮することになるというのは理屈だというふうに思うんですけれども。

 この表を眺めていますと、兵庫県に住んでいる方はすぐ分かるんですけれども、芦屋というのは駅でいうと一つか二つしかないですよね。隣に西宮、西に神戸、極めて狭い地域です。伊丹も同じように狭いところですけれども。阪神間という一つの経済圏、行政圏、行政としては広域行政しかございませんけれども、の視点から見ると、どうもこの支給割合がこういう市の区分で、つまり芦屋に勤務している人が13%、西宮が12%、西隣の東灘区、神戸が10%、こういうふうなもの、本当に合理的説得性はあるのかと、末松理事にもお伺いしたいぐらいですけれども。ちなみに兵庫県の支給割合、これ全部、三田までですよ、三田は国が4%だと、それで三田まで含めて10%と、このぐらいにくくっておるわけなんです。

 余りこの地域のことを詳しく言う気はございませんけれども、一体これが地域手当として、地域地域の賃金水準を10年平均賃構を、賃金構造調査から見てやるということが本当に、普通に考えてみて、特に同じ職域、公務員として働いている仲間の皆さん方の給与体系、賃金体系として、内部に持つ公平性、説得性、そういうふうなことにかなうのか。私は公務員の皆さんというのは随分おとなしいなと。私が公務員でこの表を見せられたら、ちょっとおかしいんでないかと、こういうことではないでしょうか。
  この点について、お考えをいただきたいんですが。

○谷公士・政府特別補佐人・人事院総裁 先生が実際にお住みになったご実感から申されておられますことにつきましては、私も何とも申し上げようがないのでございますが、ただ、この地域手当の導入に当たりまして、その支給地域の単位を定める必要があるわけでございまして、その際に、行政単位以外に客観的、合理的な基準というのは存在しないとやっぱり考えざるを得ないわけでございまして、その場合、市町村よりも広域であります都道府県を単位とすることといたしました場合には、都道府県内で賃金の高い地域と低い地域が同一の格付となると、そういうことも起きるわけでございます。そういたしますと、賃金水準が相当低い地域が支給地域に指定されるということが起こるわけでございまして、地域における賃金水準が適切に反映されないこととなると考えられましたので、この市町村を単位とするといたしました。

 これは、確かにご指摘のようなこともあろうかとは思うのでございますが、やっぱり全国的に一つの基準を設け、考え方を整理していくということになりますと、どこかでやはり割り切らざるを得ないということがあったと思うわけでございます。

 そういうことで、私どもといたしましては、このことによりまして、一応今回の改革で目的といたしました民間の賃金、地域における民間の賃金がより適切に反映される制度となったと考えておるところでございます。

○加藤敏幸 人事院的硬直性のあるお答えだと、それは国会の場で答弁することですから、まして総裁の答弁ですから、これはこれで後先考えてということだと思いますけれども。

 全国的にと言われても、全国的にも似たようなケースは起こっているんですよね、調べたら。これはもう基本自治体の問題と広域行政という形で長い間いろいろ議論されてきたし、職域、労働市場の問題、商域、商圏の問題、あるいは物流と言われますけれども、交通網の問題含めて、例えばこの地域は阪神間という形で、やはり文化も含めて一つの地域なんですね。同じように、京浜あるいは中京地区、北九州、こういうある種固まった地域、地域性、こういうくくり方もあるわけですよね。

 働いている人たちが、しようがないよな、こういう矛盾もあるよなということで飲み込むということなんですかと。これは働いている人たちの仲間間の公平性をどう担保するかというテーゼなんですよ、賃金の問題といえば。行政区でくくるしかないんだから、ほかに手がないからこれで我慢しろよという言い方だけでこの賃金の問題を私は解決するのにはややきめが粗過ぎる、もう少し賃金というのは、かゆいところに手が届くというぐらいの形でしてあげないと。働く人たちの気持ちというのは、結局は賃金というものは一番大きなインセンティブであり、本人の仕事を表現する価格なんです。ほかに方法論がないからしゃああるまいという理屈だけで私はやり過ごせない。

 だから、やっぱり、より合理性のある賃金体系なり、その理論、並びにその実践について、私は人事院の皆さん方の更なる努力、研究をお願いをするということでございますけれども、総裁の方でお答えありましたら。

○谷公士・政府特別補佐人・人事院総裁 従前、全国の平均に合わせるという考え方を取ってまいりまして、これは恐らく公務員全体、国家公務員全体としての一体性ということを考えての措置だと思います。しかし、やはり地域地域における民間の賃金を反映させるべきであるというお声が非常に強くなってまいりまして、今回このような措置をとりました。

 私どもといたしましては、いろいろ考えた上での結論でございまして、まずはこの方式でその状況を見てみたいと考えておりますが、ご指摘のように、制度は常に状況の変化に応じまして最適なものを志向していくというのは当然でございまして、それこそが私どもの存在理由でもあるわけでございますので、今後とも勉強を怠らずに検討を進めていきたいと考えております。

○加藤敏幸 総裁のお答えの中で、私なりに理解していただいたんだなと、こういう思いがありますので、今日はただいまの答弁をもって多として、質問を終わりたいと思います。

○加藤敏幸 質問を終わります。