第169回通常国会 決算委員会(2008年5月16日)
金融庁の決算に対し質問 <決算委員会>
消費者金融のグレーゾン問題は、借り手と貸し手の民事上の問題で、介入はできないという渡辺大臣の答弁に対し、「金融庁の姿勢は、金融業者と消費者との力関係の差に着目し消費者の立場を支えるという、消費者保護の基本精神がない」と迫る。
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行政府が何にどうお金を使ったかを、常に厳しく国会がチェックしていく事が透明性の高い行政実現には必要です。決算審議は参議院の重要な役割です。
3月以降、各省庁別の決算審議を重ねていますが、本日は金融庁と日本政策投資銀行などに対する決算委員会が開催され、質問に立ちました。渡辺喜美金融担当大臣に対し、次のような課題 を取り上げました。
| 【質問項目】 |
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○加藤敏幸 民主党の加藤敏幸でございます。本日は、金融庁並びに日本政策投資銀行を中心にご質問をしたいと思います。
○加藤敏幸 まず、株のインサイダー取引規制についてご質問を申し上げます。
4月22日に、野村証券社員がインサイダー取引によって金融商品取引法違反容疑で逮捕されました。今年に入ってから、NHK記者によるインサイダー取引事件、そして新日本監査法人の公認会計士による同等の事件と、市場の担い手が自ら不正行為を働くという事件が立て続けに起こっております。我が国の金融市場の、国内はもちろん国際的な地位の向上、信頼性の確立にとってゆゆしき問題である、こういうことであります。
このインサイダー取引事件が発生するたびに、当該関係する企業はコンプライアンスの徹底とか社員教育の徹底とか、いろいろ確約しておられますけれど、事件はなかなか後を絶たない。こういう状況の中で、東京証券取引所や大阪証券取引所などでは不正行為を摘発する体制強化に取り組まれておられます。インサイダー取引は、明らかになれば、刑事罰も加えられるし課徴金制度もある、さらに大変不名誉な罪ということで、これは、分からないだろうという憶測の下に行なわれているということだと思います。取引はすべて電子データとして残るわけですから、ある意味で摘発システムというものが万全で、すべてはばれるということであれば犯罪は成立しない、こういうシステムをつくるべきではないかと思っています。
そこで、現在摘発の中核となっているオンライン摘発システムなどが真に機能しているのかどうか、改良の余地があるのかどうかということをお伺いしたいと思います。併せて、摘発の抜け道として指摘されています海外の口座を使った巧妙なインサイダー取引に対して、今後どのように国際的な協力体制等を築いていくのか、この辺の取組方針を伺いたいと思います。
金融庁の方にお願いします。
○渡辺喜美・金融担当大臣 マーケットでイカサマが行われているというイメージを国民が持ってしまうことは大変に困ることです。証券市場においては、投資家が安心して参加できるようインサイダー取引の防止や取引の公正性、透明性が確保されることが大事です。取引所においては、市場開設者として自主規制機能を発揮して売買審査を適切に行ってもらうことが求められています。
各証券取引所において、まず売買審査部門における増員、インサイダー取引の担当者の設置、体制の強化充実を図ってきております。また、株価や売買高の動向、それから売買手口に不自然な点があるかないかということを分析をし問題がある銘柄を抽出するシステムを拡充する、委員が先ほどおっしゃったバージョンアップを行うという、売買審査機能の強化に向けた取組を進めてきているところでございます。
東証の売買審査部の人数は現在55名、インサイダー取引に係る専担者は20名でございます。また、東証においては2001年7月から売買審査システムを導入をいたしました。2009年に機能を拡充した新システムを導入するとともに、証券会社規制当局と情報交換を直接行うコンプライアンスWANを稼働させる予定になっているところでございます。
○加藤敏幸 証券取引所の監視体制の強化は、日本において金融市場を育てていくために非常に大切なことであると思います。また、ここ数年来、時の総理大臣を含めて金融大臣も、国民の預貯金偏重型の金融資産の持ち方をもう少し株式の方に移していくことも必要だ終われ、この市場の健全性が強く求められた。罪を犯す者と取り締まる者との関係というのはイタチごっこですけれど、やっぱり強力な監視体制、つまらぬことでお金をもうけようとしても人生を失うことになつよと、そういうアラームを国全体に投げていただきたいと思います。それから、プロファイルという手法がありますけれども、こういう手口の研究とかそれから海外との関係も含めて更に強化をお願いしたいと。
今日はほかの案件が多いのでこの程度にとどめますけれども、是非、金融大臣を中心によろしくお願いをしたいと思います。
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○加藤敏幸 さて、少し時間を取ってご質問申し上げたいのは、新銀行東京の経営問題でございます。
これは3月28日、都議会が東京都から400億円の追加出資を決めた。その前、マスコミ等も含めましていろいろと議論があったわけですが、この新銀行東京の経営再建ということについては、大変残念なことに、いろんな専門家の意見を聴いても楽観視できない、これが一般的になっていると思います。
そしてまた、この新銀行東京の経営問題については設立時からいろいろと議論があったと言われておりますけれども、最初は設立目的を中小企業支援策と大変すばらしい思いではあったと思います。無担保無保証融資という融資モデルを前面に出して開業されたわけでありますけれども、しかし、このビジネスモデルは、ある意味で大変大きなリスクを伴うということは当初から言われたということでありました。まず設立認可の段階にやっぱり一つ大きな課題があったのではないかと。
このことに加えまして、金融庁としてこの3年間、一度も検査に入られなかったという事実経過があります。
大臣は3月14日の参議院予算委員会において、同僚議員である津田議員の質問に対し補強性の原則ということを持ち出されまして、「銀行はそれぞれ自己責任で金融機関の内部管理をやっていただきます。また、会計監査人による厳正な外部監査というものが行われております。昔は護送船団方式といいまして、はしの上げ下ろしまで金融当局がいろいろ統制をしてきた。しかし、今は事後チェック型のシステムでございます。まずは内部の自助努力をやっていただく、そしてそれを補強する、市場による規律を補強するという意味で金融検査が位置付けられているわけでございます。金融機関の自主的な内部管理体制の改善に向けた取組が行われているような場合には、まずはそれをやっていただくということでございます。」と答弁されておりますけれども、まさに内部管理体制がめちゃくちゃであったから今日の事態になったのではないかと私は思っております。
検査をされなかった理由を改めてご説明いただきたいと思います。
○渡辺喜美・金融担当大臣 新しく設立されました銀行に検査に入る平均的な年月というものを調べてみますと、大体、金融監督庁スタート以降の数字ですが、3年1か月でございます。ちなみに、民主党の財務金融部門会議に提出をいたしました金融庁の資料、これは90年代以降の新設銀行に係る初回検査までの期間でございますが、これは開業後4年9か月というのが平均値でございます。かつては現在ほどの人員もいなかったせいで、このような長い期間になっていたものと思われます。したがって、新銀行東京のみが、とりわけ長い間開業後検査を実施しなかったというわけでは全くございません。
新銀行東京につきましては、検査の告知をいたしまして本日より立入検査に入っております。ですから、大体平均というところで検査に入ったということでございます。
一般論として申し上げれば、金融検査の実施に当たっては、検査業務全体を効率的、効果的に行う観点から、各金融機関の経営状況や金融機関自身が自主的に取り組んでいる業務改善の実施状況などを総合的に勘案した上で、実効性の高い検査が適時に行われるよう検査の実施時期などを決定しているところでございます。
○加藤敏幸 意図的に検査をやらなかったわけではないんだと、平均的な年数からいって妥当なんだという答弁だと思いますけれども、今、大臣は新設銀行と、こういうお言葉を、一般的に新銀行東京だけのことを言っておられないお言葉遣いだったと思うんですけれども、設立時に検査やっていましたか、この銀行について。
○渡辺喜美・金融担当大臣 ご指摘のように、新銀行東京については、平成16年4月1日、東京都がBNPパリバ信託銀行を買収し、設立後1年間の準備期間を経て、平成17年4月1日に本格開業となったものでございます。この新銀行東京の前身のBNPパリバ信託銀行とは異なる業務を行うことになったわけでございます。このため、金融庁としても、開業までの準備期間の1年間、準備状況のヒアリングなどを行うという対応をしてきたところであります。
○加藤敏幸 ヒアリングの対応をし、設立のスタート時点において、金融庁として適切な銀行のスタートだと、そういう判断をされたということですね。
○渡辺喜美・金融担当大臣 検査の実施に当たっては、各金融機関の経営状況や外部監査結果を受けて取り組むわけでございます。実質的な業務の転換に伴う事実上の開業等の事情があれば、それも考慮の一要素として総合的に判断をしているところでございます。
新銀行東京については、平成16年4月1日買収、設立後1年間の準備期間を経て翌17年4月1日に本格開業ということでございまして、開業までのこの1年間の間に準備状況等のヒアリングを行っております。
○加藤敏幸 やり取りが完全にかみ合うということになるのかどうかというのは、参議院は決算委員会重視ということでやってきているんですけれども、新設時はこれはパリバを引き継いだんだと。3年間、いや、これは新設銀行だから少し時間があるんだと、こういうことで今取りあえず金融庁は答弁されておるわけですよ。
しかし、これから先、更に明らかになっていくということですから今日ですべて議論が終わるわけじゃないんですけれども、この新銀行東京にかかわる報道、これを見たときに、国民、有権者がどういう思いでこの報道を見るかということですよ。我が国の金融がまさに破綻をしようというときに、最終的には国民負担で金融システムを支えたわけでしょう。そのときに、金融監督行政というのはどうあるべきだ、こういう議論を相当やってきたわけです。
その中で、最終的にはひどいことになったら税金何兆円もの金をぶち込まなければいかない、そういう状況を避けるためにも、金融庁に国民は期待するところがあったわけですよ。しかし、なぜこの新銀行東京だけが、こういう生ぬるい措置、対応だったのかと。
金融庁の細かな手続き論を言っているわけじゃないんですよ。政治家渡辺大臣に、そういうことでよかったのですかと。
ここで謝れとか、そういうことではないんですよ。世界中に金融問題が起こっていますけれども、国民の信頼を受け止めて、我が国は貴重な経験の下でこれから先ちゃんとやっていくというときに、この新銀行東京の措置が我が国の金融行政にとって大変な傷にならないのかと、こういう心配事で言っておるわけですよ。行政の立場で言えないことは、国会の場で政治家の立場で言って政策方針を変えていくというのがこの国の仕組じゃないんですか。
大臣がディフェンスだけの答弁でやるなら、まあこれはこれでいいですよ。次にまた何回でもチャンスはある。
ところで、今お手元に資料がありますけれども、これは東京都のホームページ、広報東京都5月号ですね。「株式会社 新銀行東京への追加出資について」という、これは調査委員会から出されていますけれども、この欄を見てください。「旧経営陣の非常識な経営のかじ取りにより、多額の不良債権が発生し、経営が悪化しました」と。東京都がホームページに、旧経営陣が全部でたらめなことをやったんだ、東京都も被害者なんだと、こういってるんですよ。大臣、どういう今ご感想をお持ちか、是非お話をいただきたいと思います。
○渡辺喜美・金融担当大臣 東京都の広報において、今ご指摘のような中身の記載があることは私も存じております。
東京都の対応について金融当局としてのコメントは控えますが、一般的に、株主がガバナンスの観点から、すなわち経営管理を考えて適切な役割を果たしていくことは極めて重要なことでございます。
東京都においては、新銀行東京に関する監視並びに支援の強化を図っていこうということで、本年4月に都庁内に専門の部署を設置して担当幹部を置いたわけであります。これに関して石原都知事は、これまでの反省を生かし、監視組織を構築するなど万全を期して新銀行の再建に当たると表明をしたわけです。新銀行東京が更なる経営改善の努力を進めていくことが重要であります。
金融庁としても、従来からその経営改善の努力を促してきたところでありまして、今後の経営改善努力についても引き続きウオッチをしてまいりますし、また監督上、適切に対処してまいります。
○加藤敏幸 今日は大臣としてもなかなかお話しできない面もあると思います。今後、金融庁の厳格な検査をお願いしたいし、そういう決意もあるのだろうと思います。
ともあれ、単なる株主ということではなくて、都のいわゆる政策を前提として設立した、あるいは継承した銀行の運営について、もっともっと深甚なる関心を持って、その運営と結末、またそのことの責任を明らかにしていかないと、そう簡単にこの事態についての国民の理解は得られないと、今日は感想ということで申し述べたいと思います。
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○加藤敏幸 今日は、消費者金融の過払いの問題についても少し金融庁にお伺いをしたいと思います。
消費者金融業者が、利息制限法所定の金利に基づく計算では既に完済となっているにもかかわらず過払い状態になっている人々に対して、いまだに返済の請求を行い続け、返済金目的で金員を受領している実態があり、また関係する人々からそういう指摘を受けております。
貸金業法のみなし弁済規定の諸要件を満たしていれば法に違反するものではないが、実際に弁護士が委任を受け、消費者金融に委任通知を送り、取引履歴の開示を求め、開示された取引履歴を基に利息制限法所定の金利による再計算を行うと、ほとんどはみなし弁済規定の要件を備えておらず過払いになっているというケースが多く見られるということでございます。
一般的に、現行法令下では、利息制限法の最高限を超える利息、損害金を実際に支払った場合、超過部分は元本の支払に充当され、それによって計算上元本が完済となったときには、その後に支払った過払い金の返還を請求することができるようになっています。しかし、業者によっては、顧客がこのシステムを知らないこと、あるいはあえて申し出ないことをいいことにして、債権が既に消滅しているにもかかわらず、いまだに債務が残っているとして返済の請求を続けている者もいると、こういう実態があると。
監督機関としての金融庁は、消費者金融各社が過払いになっているのを知っていながら請求を続けているというこの実態をどのように把握されているのか、お答えを願いたいと思います。
○渡辺喜美・金融担当大臣 ご案内のとおり、昨年12月19日に施行された改正貸金業法では、貸付金利の上限が法律の完全施行時、つまり12月19日から2年半以内に利息制限法の上限金利20%以下に引き下げられる旨規定をいたしております。また、消費者金融大手各社では、改正貸金業法を先取りをする形で、新規の貸付金利を20%以下に引き下げる動きが足下では見られるわけでございます。したがって、委員がご指摘のような状況は次第に改善、解消に向かっていくのではないかということが考えられます。
いわゆるグレーゾーン金利の部分に相当する過払い金の支払が有効な弁済とみなされるかどうかは、これは言うまでもありませんけれども、借り手と貸し手の間の民事上の権利関係の問題でございます。最終的には司法判断によって確定をするものでございまして、この点において金融庁がちょっかいを出すというのは困難な部分があろうかと思います。
○加藤敏幸 では大臣、例えば消費者金融機関に対して、すべての顧客の取引について利息制限法所定の金利に基づく計算による管理を徹底させ、計算の結果を顧客に通知させると、こういう程度の指導はできないものか。この辺はどうですか。
○渡辺喜美・金融担当大臣 過払い金返還請求は、今申し上げましたように、借り手と貸し手の間の民事上の権利関係の問題であります。貸金業者に対して過払い額の通知を行わせて一律に返還せよということを求めるのは、法律に基づく当局の権限を超えております。これは困難であるということをご理解をいただきたいと思います。
一方、過払い金返還請求の前提となる取引履歴の取扱いについては、昨年12月19日に施行されました改正貸金業法において、取引履歴を記録した帳簿の保存義務がこれまでの3年から10年に延びる、債務者等から帳簿の閲覧又は謄写を求められた場合には貸金業者がこれに応じなければならない、そういう義務があるということが新たに規定されております。
当局といたしましては、貸金業者が債務者からの帳簿の閲覧、コピー請求を拒否した場合、あるいは虚偽の開示を行った場合など法令違反行為が認められた場合には、こうした法令の規定にのっとり、厳正かつ適切に対応してまいります。
○加藤敏幸 では大臣、平成18年12月12日に参議院財政金融委員会で附帯決議が行われておりますけれども、これは質問通告していないんですけれどもね、議論の上で起こってくることについての話ですから質問申し上げますけれども、その中に「利息制限法の上限金利を超える金利に関する過払い金の返還が多重債務問題の解決に果たす役割にかんがみ、過払い金の返還が適切に債務者に行われるようにし、また、過払い金の支払総額を適切に債務者に通知するなどして、債務者の生活再建に資するよう、取組を進めること。」と、これは参議院の当該委員会でやっているわけですけれども、このことについてはどう思われますか。
○渡辺喜美・金融担当大臣 もう既に、昨年12月19日に改正貸金業法の施行済みの部分がございます。そこにおいて、帳簿の保存義務を3年から10年に延ばしたわけであります。また、閲覧、コピーの要求に対して、業者はそれに応じなければいけないという義務も課したわけでございます。
したがって、こういった新たな規定に貸金業者が違反をした場合、拒否をした場合とか虚偽の開示を行った場合、これに対してはまさに法令違反行為として厳正に対応することになるわけでございます。
○加藤敏幸 議論は余りはかばかしくかみ合ってはいないんですけれど、一言申し上げますと、今日の新聞報道でも、福田総理は消費者庁をつくろうとおっしゃっている。これはなかなかいいことなんですよ。20数年前から政策推進労組会議の活動の中で、労働者には労働省があると、十全に機能しているかどうかの評価は別ですね、農林水産業者には農林水産省がある、業界にはそれぞれやっぱりあるわけですよ、消費者にはない。だから、消費者行政を一括する消費者庁というものは必要だというのは当時から議論があった。
しかし、消費者金融と言われている消費者金融に関する金融庁の、今の大臣の答弁に表れている態度は、まさに消費者保護という基本的な精神、取引において業者と消費者との力関係のこの差、そこに着目をして消費者という立場を支えようという、この精神についての思いがないじゃないですか。ないからどうとかこうとはもう言いませんけれどもね。
そういうことなら、まさに消費者庁というのをつくるべきであって、消費者金融に関するお仕事は金融庁に適切ではないのではないかという思いを持つわけなんですよ。
今日は大臣を応援するつもりで、前は、公務員制度のときなんかいい議論ができたじゃないですか、覚えていますか。そういう大臣なんだから、もう少し一歩、二歩、総理がやろうとしていることを支えるような方向でやってくださいよ、やれないんだったら私たちにやらせてくださいよと、こう言いたくなる、そういうことであります。
是非、そういうことも渡辺大臣には受け止めていただきたいということでとどめます。
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○加藤敏幸 さて最後に、日本政策投資銀行の民営化準備についてですけれども、昨年の民営化法案の審議において様々な課題が指摘されて、なかなかいい議論ができているんではないかと思います。ただ、その審議の中で、なぜ民営化なのか、民営化したときに本当のメリットって何なのというところはなかなか難しい問題があったと思うんです。答弁されているときの総裁もご苦労されておったと。
そこで、まず第一に、民営化のステップとして、国会で答弁された内容について順調に準備が進んでいるのかどうかについて、まずお伺いしたいと思います。
○室伏稔・日本政策投資銀行総裁 日本政策投資銀行総裁の室伏稔でございます。ただいまの加藤先生のご質問にお答え申し上げます。
私は昨年の10月に弊行の総裁に就任させていただきまして、約半年が経過いたしました。この間、1月には株式会社日本政策投資銀行ビジネスモデルのコンセプトを発表させていただきまして、弊行の業務の方向性をお示しさせていただきました。
現在、10月1日の民営化に向けまして具体的なビジネスプランを取りまとめているところでございますが、先生がただいまご指摘になりました点は、大変重要な課題として私どもは認識しております。
まず、資金調達コストにつきましては、調達の中心となる社債に加え、民間金融機関からの借入など、多様化を進めていくことによりまして低減化を図ってまいります。また、現在検討中のビジネスプランを着実に実践いたしまして、実績を重ねることによりまして皆様からの信頼を確立していくことが更なる資金調達の安定化に結び付くものと考えております。
民営化後、収益機会を的確に確保することは大変重要であり、私どもは他の金融機関にはない投融資一体型のビジネスを進めてまいります。その一方で、リスクを適切にコントロールするため、リスク管理体制の充実は言うまでもなく、さらには透明性のあるガバナンス体制の構築が必要と考えております。株式会社としての組織づくりに当たりまして、役職員に鋭意その点を検討させているところでございます。
今後は、ご指摘いただいた点に加えまして、皆様からのご意見、ご指導等をいただきながら更に検討作業を進め、適宜適切なタイミングをとらえて対外発表をさせていただきたいと考えております。
以上申し上げましたとおり、ビジネスモデルの構築、管理体制の見直しなど、民営化の準備が順調に進んでいることをご報告させていただきます。
○加藤敏幸 ありがとうございます。順調に準備が進んでいるということは、まさに慶賀に堪えません。
ただ、この問題というのは何でもかんでも民営化という流れの中で政策投資銀行という銀行が持っている特徴が本当に生かせるのか、なかなか難しい宿題を国会として押し付けたんではないかと、こういう感想を持っています。
例えば、原子力発電に対するファイナンスというのは10年、20年、30年、後始末を含めますと50年という長期にわたる事業なんです。今、日本にメガバンクがありますけれども、その10年、20年、30年、50年というレンジで仕事をやってきたメガバンクってないんですよ、と思いますね。
そういう意味で、国のインフラ、中長期という視点で大変ノウハウ、そういう人材を持ってきたこの銀行の持つリソーシーズというものを大切にしながら、しかし民営化という立場を与えていると。
そういうことで大変ご苦労もあろうかと思いますけれども、それを乗り越えて努力をされているということでありますので、10月1日以降民営化されますが、それに向けての事業計画的な思い、また人材活用、特徴を生かすと、そういう点で、お話を聞きたいと思います。
○室伏稔・日本政策投資銀行総裁 それについては、関係役員の多賀がお答え申し上げます。
○小川敏夫委員長 いいですか。
○加藤敏幸 はい。
○多賀啓二・日本政策投資銀行理事 お答えいたします。
先生ご指摘のとおり、私どもはずっと政策金融機関としてやってきた機関でございますので、これを今非常にオーバーバンク(銀行の数が多すぎる)と言われている世の中で民営化するというのは、そんなにたやすいことではないだろうというのは十分認識をしております。
今先生のおっしゃったご質問というのは、いわゆる公のマインドと実際の民間的なプロフィットマインド、これをどうやって両立するんだと、多分こういうご趣旨だと思いますので、それに沿ってお答えをいたしますと、私ども、そういうことで新たに新しい民間金融機関として世の中に出ていくためには、やはり今ある金融機関との差別化というのがポイントでございまして、このために、先ほど室伏が申しましたように、投融資一体というビジネスモデルを取っているわけでございますが、更に重要なのは、やはり世の中からのレピュテーション(信頼度・評判)といいますか、これが大事でございまして、これがまさに我々のビジネスのインフラになると思っております。
そういう観点でいえば、やはり政策金融機関として培ってきた公共的なマインドといいますか、これは忘れずに、ただ、当然民間金融機関でございますから利益も考えなきゃいけないんですけれども、その両立というのを、まあナローパス(狭き道)ではございますけれどもきちんと図っていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
それから、もう一つおっしゃいました人材の面でも、やはり我々の強みをどうやって生かしていくかということでいいますと、産業調査にかかわる調査機能でございますとか、あるいはマクロ経済の動向でございますとか市場動向とか、こういったいわゆる調査機能の根幹というのは、これから私どもが投融資一体のビジネスをやる上でこれはやはり不可欠でございますので、そういうことをやっていく上で必要な人材の供給というか対応というか、そういう点についてはきっちりやっていきたいと、こういうふうに思っているところでございます。
○加藤敏幸 大変なご苦労があると思いますけれども、これから精いっぱい頑張っていただき、また問題があれば率直に国会の方にも投げかけていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。


