政策レポート

2009年8月10日

問題の多い麻生総理の「経済成長戦略」

 1、自民党の政策こそ絵空事

 

最近、麻生総理大臣は、街頭演説などで、「民主党のマニフェストには、成長戦略がない」と批判し、自民党の政策がより優れていると訴えています。

では、麻生総理の言う経済成長戦略とは一体どれほどの実効性を持つというのでしょうか。自民党のマニフェストをみますと、具体的政策として、①今年度を含め、今後3年間は景気対策を継続し2010年度後半には年率2%の経済成長率を達成する、②「低炭素革命」「健康・長寿」「日本の魅力発揮」の3分野に集中投資して3年間で40~60兆円の需要を作り約200万人の雇用を創出する、③女性や高齢者を働きやすくする環境整備をして今後10年の間に家庭の手取りを100万円増やす――の3つを挙げています。

確かに、これらの政策が確実に実行されれば、ある程度は経済成長に寄与するかも知れません。しかし、昨年秋の世界経済危機以降、麻生総理大臣はこれまで3回にわたる補正予算を編成し、バラマキ的政策を実施してきました。しかし、その効果はあまり出ていません。現在、ようやく景気回復基調にあるのは、ほとんどが中国特需によるものです。さらに自・公連立政権は、これまでも「骨太方針」によって、規制緩和・構造改革による成長路線を打ち出していたのです。しかし、結果としては、今回麻生総理が言っているような2%成長(名目GDP)は一度も達成できていません。

つまり、自民党は、「私たちこそが経済の舵取りができる、景気を回復させることができる」と豪語しますが、結局は、威勢がいいだけの「張り子のトラ」なのです。その政策づくりも官僚頼みで、それだけに現状維持の延長線上のものでしかないのです。いわれなき民主党マニフェストの批判は、全く知性を欠いているとしか言いようがありません。

 

 2、内需抑制をもたらした自民党の罪

 

我が国経済が本格的な回復過程に入っていかないのは、依然として内需型経済になっていないという根本的問題があるからです。

昨年秋のアメリカの金融破綻によって引き起こされた世界的経済危機の影響がなぜ日本にこれほどまでの影響を与えたのでしょうか。日本だけが、OECDに加盟する先進工業国に比べ、なぜ最も大きなマイナス成長を経験したのでしょうか。それは、我が国が、平成不況を脱するために過度に外需に頼ったためです。本来なら、外需と内需のバランスをとりながら景気回復をはかるべきところを、自民・公明連立政権は、国内需要を逆に抑制するかのような政策を次々に打ち出していったからです。とくに、小泉政権下で実行された市場原理にもとづくさまざまな政策が打ち出されました。例えば、雇用・労働政策では、労働者派遣制度の改正など正社員を減らし非正規雇用の積極的活用に道を開く施策や、会社の分割・合併などを容易にする商法関係の改正などです。この結果、年収200万円以下のいわゆる「ワーキングプア」と言われる労働者層がじわじわと増え、いまやその総数は1000万を越えたと言われています。さらに、生活保護の給付についても様々な規制が加わり、医療における後期高齢者医療制度の創設、年金の記録漏れ問題による公的年金制度への不信なども消費(内需)を減らしていく直接的要因となったのです。

これら、内需を抑制し、国民に将来不安を与えるような政策を長年実施いておいて、いまさら小手先の「経済成長政略」を打ち出しても国民は信用しません。また、小泉改革の総括、すなわち、光と影の精査を怠って「責任力」といっても説得力がありません。いまこそ自民党は、自らの失政を反省し、その責任から政権の座を明け渡すべきです。

 

 3、民主党の政策こそが成長戦略である

 

この経済の成長戦略については言えば、民主党はまさに立派で正当な成長戦略を打ち出しています。

前述のように、日本の経済の問題は内需型経済に転換していないことにあります。内需型経済にするためには、まず農林漁業を含め国内での消費財を生産する産業を育成したり、サービス産業を振興させることが挙げられます。しかし、内需拡大のために最も大きな政策目標となるものは、国民の消費を直接増やしていく施策と国民の消費力を強めていく施策を展開していくことです。

現在、我が国の多くの国民は、個人収入や家計収入の減少という直接的理由と、将来に対する不安とその備えという間接的理由で消費を抑えて生活しています。前者は、経営不振による賃金・一時金の直接的引き下げのほか、失業や非正規雇用化、給与生活者から年金生活者になることによる収入減などが影響しています。また、後者については、子育てや教育の負担、病気・ケガへの対応、公的に年金制度の頼れない老後への不安など、現在の制度の不備・欠陥によってもたらされる問題が消費を抑制しているという実態があるということです。

そこで、民主党はマニフェストにおいて、これら内需を抑制している問題点を解決する政策を用意したのです。例えば、最低賃金を時給1000円に引き上げたり、職業訓練政策の充実策などによって家計収入を増やそうというものです。その他、年金記録問題では被害者を救済し、公的年金制度については最低保障年金制度をつくって老後への不安をなくすというような政策も国民に大きな安心を与えます。家計の教育費負担を軽減するための子ども手当の支給や公立高校授業料の無料化も、子どもを生み育てようとする若い世代には大きな励みとなります。とくかく、不安にもとづく備えとして貯蓄をしている現実を変え、積極的に消費に回していく状況を作り出していけば、確実に内需は拡大していきます。

麻生総理大臣が批判する民主党のマニフェストの政策は、「成長戦略」に乏しいのではありません。まさにそれらの政策の実行によって国民の消費を増やし、内需を拡大し、そして経済全般を内需型経済への転換をもたらす政策そのものなのです。

根拠のない民主党批判を繰り返す麻生自民党はこれ以上政権についていく資格はありません。そして、民主党が社会の公平性・公正性を実現するとともに、確実に経済を成長させる施策と戦略をもっていることを国民の皆さんに訴えたと思います。