研究会抄録

ウェブ座談会シリーズ2「世の中何が問題か-振りかえる兵庫知事選とSNS選挙の行方」

ウェブ座談会シリーズ2「世の中何が問題か-振りかえる兵庫知事選とSNS選挙の行方」

講師:座談会は五十音順に伊藤、江目、佐藤、中堤、渡邊の各氏、司会は加藤、事務局は藤田

場所:メロンディアあざみ野(横浜市青葉区)

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発言広場

【遅牛早牛】 時事寸評「2025年の振り返りと政治の新陳代謝-リベラルは遠くなりにけり-」

まえがき

【 本コラムは労働組合の活動家を対象に、政治と労働の接点すなわち距離のとり方について、経験を踏まえながらまた時事の政治事象を題材に「運動の伝承」に軸足をおき思考実験的に記述したものである。

 という趣旨ではあったが、「一の橋政策研究会」としての活動もすでに10年目に入り、蓄積していた材料もしだいに枯渇し、さらに鮮度を失いつつある。また、テーマが政治に傾きすぎなのは昨今の政治情勢があまりにもスリリングというか、歴史に残るほどの大変化に遭遇していることから、目が離せないすなわち面白すぎるのが原因であると勝手に解釈している。

 さて筆者は、1984年7月から全国民間労働組合協議会(全民労協)の事務局として労働戦線統一運動に加わった。そこでは政策・制度課題の実現が任務の中心であった。具体的には労働政策を担当し、主に労働省(現在の厚生労働省)の窓口業務を担った。国会、政党、省庁、経営者団体そして加盟産別に向きあうなかで、連合結成まで多忙な日々を過ごした激烈な5年間であったと思っている。とはいえ個人的には修練と蓄積の有意義な毎日でとても感謝している。

 また、連合では1996年7月までの7年間を法規、労働、組織とわたり歩いた。ほとんどの任務が発足間もない連合の体制整備であった。いってみれば特命係で新発のややこしい問題が競うように飛びこんできたが、前身組織からの経験を応用しながら多くの課題の整理にあたると同時に、各界とのネットワークづくりを内心では楽しんでいたように記憶している。

 1996年8月からは企業別組合の本部に帰還し、副委員長、委員長として2003年7月まで個別の労使交渉を主に担当し、その流れで産別運動にも参加した。この時代は景気変動が激しくその影響をうけ急速に不安定化した経営の立て直しという労使共通の目標の中で、雇用確保を念頭に経営基盤の強化策に取りくんだ。メンバーシップとはいえ周囲には多大な苦労をかけたと思っている。

 そうこうするうちに、2003年7月の電機連合大会で藁科満治参議院議員の後につづく組織内候補予定者の指名を受けたのを皮切りに、2004年7月から2016年7月までを参議院議員として2期12年にわたって民主党、民進党において国会対策をふくめ労働者の立場で国政に参画した。とくに国会対策分野での経験がわが国の政治の内実を理解するうえで大いに役立っていると思っている。

 職場委員を手はじめとする現場の労働運動の14年間をふくめて長期間(45年間)にわたって何らかの形で労働運動に参加してきたという、かなり珍しい経歴の中で、とくに政治と労働のあるべき関係については終生のテーマとして今もいろいろと考えあぐねている。そういう意味では今だに定見をもちえないのであるが、何か役に立てればと思いつつ、暇に任せて筆を運んでいる、とあらためて本コラムの趣旨を述べてみた。

 来年は、組合員の意識の変容、環境変化に即した労使関係、連合と産別、雇用の流動化などについて妄想的に述べてみたいと考えている。】

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