研究会抄録

ウェブ鼎談シリーズ第(14回)「戦後の労働運動に学ぶ」

ウェブ鼎談シリーズ第(14回)「戦後の労働運動に学ぶ」

講師:仁田道夫氏、石原康則氏

場所:三菱電機労働組合応接室

研究会抄録 記事一覧へ

発言広場

【遅牛早牛】 時事雑考「2023年の展望-賃金交渉のゆくえと岸田政権の評価-」

(思いのほか手間どったうえに、ながくなりすぎたので後半は付録とした。例によってひらがなをふやしているが、付録は変換ソフトのままである。こんかいは施政方針演説をいじってみた。遅れたのですこし鮮度がおちているが、抜歯、検診のせいにしている。文中の「キシダ政権」とあるのは批判の対象にしているときの表記である。また、「思う」は「(他の人はどうであれ)自分はそう思っている」、「思われる」は、「そう思っている人がけっこういるから」といったニュアンスであろうか。「いえる」は「反論はすくないだろ」また「考える」は「理屈があるよ」という感じである。

 また、2002年に経団連と日経連が統合して現在の経団連となったが、経済同友会、日本商工会議所などもあり、文意において労働問題を中心にしているときは、経営団体あるいは経営者団体とするのが滑らかである。ということで「経営団体」にまとめた。頭のなかは旧日経連のイメージのままである。

 付録はおもに賃上げが中心になっている。いつかストライキについて提起したいのであるが、過去のはなしがなぜか未来で待ちかまえている。それにしても物価高騰がひどい。そこで、心配はんぶん期待はんぶんの隠居が「もっと怒らなあかん」とこころのなかでさけんでいる、今日この頃である。文中敬称略あり。)

施政方針演説をすこしいじってみた

 23日の岸田首相の施政方針演説(全文)に目をとおした。ひさしぶりのことである。

演説は12項目で構成されている。その「1はじめに」には、「 政治とは、慎重な議論と検討を積み重ね、その上に決断し、その決断について、国会の場に集まった国民の代表が議論をし、最終的に実行に移す、そうした営みです。 私は、多くの皆様のご協力の下、様々な議論を通じて、慎重の上にも慎重を期して検討し、それに基づいて決断した政府の方針や、決断を形にした予算案・法律案について、この国会の場において、国民の前で正々堂々議論をし、実行に移してまいります。「検討」も「決断」も、そして「議論」も、すべて重要であり必要です。それらに等しく全力で取り組むことで、信頼と共感の政治を本年も進めてまいります。」とあった。しごくもっともなことである。あたりまえのことをあらためて述べているのは、先だってのG7歴訪(独を除く)での各首脳との会談、とりわけバイデン大統領とのやりとりが、国内での議論をすっとばしているのではないかとの批判に「あとづけ」でこたえたものであろう。

 「国会で正々堂々と議論すればいいのだ」ということではあるが、正々堂々というのは、質問には誠実にこたえてはじめて成立するのであるから、答弁次第ということになる。

 昨年の答弁では、「検討する」を頻発させ、泉代表(立憲民主党)から、まるで「けんとうし」と揶揄(やゆ)されたことが頭にのこっているのか、「検討」も「決断」も「議論」もおなじていどに重要だとまきかえしている。それはまちがいないが、問題は、検討、決断、議論の過程(プロセス)が重要なのであって、さらにそれらのプロセスがどの程度そとにひらかれているのか、であろう。過日、弊欄で岸田総理はエリート主義者ではないかとのべたが、プロセス軽視の傾向からそうのべたのである。課題志向と成果主義がつよいところをみると、あんがいあたっていると、内心ほくそえんでいる。べつに悪口でいっているのではない。総理がエリート主義の場合、よく気のつく脇役いわゆる黒子がプロセスを管理しなければ、総理が裸の王様になりやすいかな、というだけのことである。 

 日銀総裁でいえば、市場との対話である。対話などいらないといえばいらないが、なにごとにおいても醗酵を早めたり遅らせたりとプロセス(醸造過程)に介入しないといい酒はできないのとおなじことで、政治においてもそういった対話がひつようであろう。

 「12おわりに」でのべている「多くの皆さんと直接話をしてきました。」ということも大事であるが、総理に求められている対話とは個別になされるものではなく、集団の意思形成の中核をになう重要パートである。「検討」とも「決断」とも「議論」ともちがう場面での、幻術や詐術ではない合意形成のことで、アートにちかいともいえる。今までに、対立構造をつかった人、過醗酵でドロドロにした人、麹をいれわすれた人などそれぞれの個性もあってさまざまであった。

 岸田総理の場合は、とくに大衆との意思疎通にたらざるところがあると感じている。

遅牛早牛 記事一覧へ