研究会抄録 記事一覧

ウェブ鼎談シリーズ第(14回)「戦後の労働運動に学ぶ」

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講師:仁田道夫氏、石原康則氏

場所:三菱電機労働組合応接室

 ウェブ鼎談シリーズ第12回「戦前の労働運動に学ぶ」(2020年2月4日掲載)に引き続き第14回「戦後の労働運動に学ぶ」はわが国の労働運動の沿革を振りかえり、変革期にある今日の労働運動を改めて見直す契機といえばすこし大げさですが参考の一つにしていただければとの思いで企画いたしました。前回と同じく鼎談形式としていますが、内容は前回もお世話になった仁田道夫東大名誉教授から一通りのお話を頂き、それに関連して石原康則さんからご質問をいただき活発な意見交換をしていただきました。 おおよそ1945年から1960年にいたる60年から75年前という大昔の話ではありますが、読んでいただければ時空を超えた迫真性が感じられると思います。それは労働運動の実践に当たっている方々が日頃突き当たる諸課題の源泉につながる「何かいろいろな事柄」がなるほどそういういきさつで決めれれたのかと画然と理解できる中身が詰まっているからであります。新旧労働組合法、企業別組合、産業別組合、ナショナルセンター、占領政策などちょっとした歴史物語を読んでいるようで大変興味深いといえます。とくに書き言葉ではなく語りものですから、仁田先生の活話から時代背景が浮かんできます。(今回は小見出しは省略いたしました)  さらにこの時期の労働運動への政党(日本共産党)の指導、介入を抜きに戦後労働運動を語ることはできませんが、そのことを改めて理解する上でも適切な解説になっていると思います。政党と労働組合の関係のあり方を考える上でも必須の内容ではないか、これからどの方向を目指すのかを模索する上での参考になれば幸いであります。(2021年2月18日午後収録)  なお、資料掲載(「日本における労働運動の形成2-戦後編-東京大学名誉教授仁田道夫」)にご理解いただきましたUAゼンセン松井健様に謝意を申し上げお礼といたします。   (資料もふくめ禁無断掲載、不許複製です)[文責研究会事務局]

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ウェブ鼎談シリーズ(第13回) 「労働者協同組合法について」

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講師:山本幸司氏、山根木晴久氏

場所:三菱電機労働組合応接室

 2020年秋の臨時国会で労働者協同組合法が成立いたしました。耳慣れない方も多いと思いますので、その背景や実態あるいは社会的役割などについて同法成立に尽力された山本幸司氏から成立過程をふくめお話をいただきました。  また、現在連合本部にて総合運動推進局長としてご活躍されている山根木晴久氏から労働者保護の立場からいくつかのご指摘やご質問をいただき、またよりよい地域社会を実現するために同法あるいは同組織に期待することなどについて山本氏と意見交換をしていただき有意義な鼎談になったと思います。  NPOでも企業でもない、労働者が自ら出資し、参画し、従事し地域での介護や福祉をはじめ必要とされているケアを支えながら自らもふくめ居場所と出番を創りだすグループのための組織法がようやく整備されました。法律が現実に追いついたわけですが、これからどのような発展が見込めるのか、もちろん多少の懸念もありますが期待も大きく、見守っていきたいと思います。  ややもすれば行政に丸投げする傾向がある中で本来の住民自治のあり方を考える上での方法論の一つとして受けとめるべきではないかと思います。地域のシニアにとって地域のケアは自分たちで自立的に背負っていく、もちろん限界はありますが、そういう時代が来たと思います。2021年1月29日午後収録。(文責事務局)

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ウェブ鼎談シリーズ(第12回)「戦前の労働運動に学ぶ」

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講師:仁田道夫氏、石原康則氏

場所:三菱電機労働組合応接室

「コロナは社会のレントゲン」といった哲学者がいるそうですが、MRIでもなくCTでもない、レントゲンと表現したところがセピア色のようでその穏やかな感じが気に入っています。話は変わりますが、昨今アフターコロナあるいはウィズコロナなど感染症を踏まえた近未来のあり方を模索する動きもありますが、逆に私たち人類が感染症をどのように克服してきたのか、という視線を過去に向ける流れもあり、つまりは温故知新といいますか目線はあくまで両方向がいいのではないかと思います。  ということで、いささか前口上が長くなりましたが、これからの労働運動のあり方がさまざまな場面で議論されると思われますので、ここはわが国の労働運動の始まりについて一度おさらいをするのも大切ではないかと「戦前の労働運動に学ぶ」と題し本講を起こしました。(2020年11月26日午後収録)  なお、UAゼンセン様のご厚意によりUAゼンセン季刊誌「コンパス2020冬」に収録された「日本における労働運動の形成1-戦前編-」(東京大学名誉教授仁田道夫著)を資料欄に掲載いたしましたので、本講の参考にしていただければと思います。なお、無断転載禁・不許複製です。

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ウェブ鼎談シリーズ(第11回) 「労働運動の昨日今日明日ー障害者雇用・就業支援の実践と課題について」

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講師:鈴木巌氏、石原康則氏 

場所:三菱電機労働組合応接室

ウェブ鼎談シリーズ「労働運動の昨日今日明日」もコロナ禍により永らく中断していましたが、この度再開の運びとなりました。シリーズとしては第11回となります。テーマは障害者雇用・就業支援の実践と課題についてであります。 -以下本文からの引用です-  障害者支援事業につきましては、すでに石原さんと津田さんとの鼎談を行い、本研究会のホームページに「ウェブ鼎談シリーズ(第7回)『労働運動の昨日今日明日-障害者雇用・就業支援について』2018年7月20日」として掲載しています。また、「政治と労働の接点Ⅱ」(83ページ)に収録しています。  その中で、法律の制定や経緯について解説をいただき、また多くの課題についても提起していただきました。  それから、2年近く経ちましたが、今回は障害者雇用を、企業活動の中でビジネスとして成立させている鈴木さんには経営者の立場から、また石原さんには、就労移行支援事業で、働く人達を送り出す立場から、また労働組合の社会貢献活動という視点もあわせ、実践的な活動を通して障害者雇用をどのように発展させていくかというテーマについてお話しいただきたいと思います。  労働組合の活動家を対象にしたウェブ講座ですから、いろいろな方が見られると思います。主には電機連合の役員の皆さん方が、そういう問題があるな、またこんな問題点もあるな、将来的にはそういう方向に向かっているのだから、自分たちも日常の活動でそういった発信をすればいいとか、そういう組合役員の基本的な知識として、役立つ話の展開になるのではないかと思っています。 -本文中の小見出し- ・特例子会社を経営した経験をお持ちの鈴木さんのご紹介から ・赤字を出さない、連結経営の一員としての厳しさの中で、両立をはかる ・特例子会社の社長としてのやりがい、その魅力は ・障害者雇用を進める企業の理念や役割について ・障害者雇用は労使の課題である ・障害者雇用の量的な拡大は広がっているが、質的にはどうなのか ・障害者雇用特例子会社の経営責任者としての方針について ・新卒採用の前に移行支援事業所を経由してからと言うのはどうか ・障害者の人生設計、ハッピーリタイアメントに向けての企業の考え方は ・ネットワークの情報をしっかりキャッチアップすることが重要、問題はマッチング ・人事総務部門の役割は ・雇用率を達成する手段として、仕事を福祉施設に出すという考えについて ・法定雇用率の課題と未来形は ・ジョブコーチ制度について ・特例子会社制度の今後について ・労働組合の役割は大きい、目の色を変えて取り組んでほしい ・有価証券報告書に雇用率など記載するようにできないか ◇研究会側出席者、加藤敏幸代表、中堤康方事務局長-2020年10月27日午後収録-

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バーチャルセミナー「あらためて労働組合と政治」

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講師:一の橋政策研究会 代表 加藤敏幸

場所:仮想空間

 本稿は、今年5月の講演資料をベースに、あらためて対談風に再編集したもので、趣旨は変わらないものの、追加、省略が多々あり、また時制を5月17日としていますが文意においてゆらぎがあることから、ベースとなった講演とは別のものとして掲載いたしました。文中において文脈上一部旧民主党と表記したのは、現在立憲民主党と国民民主党が民主党を略称登録していることから念のためということです。(新型コロナウイルスの影響でウェブ鼎談シリーズが計画通りに運びませんでした。いつまでも間を開けるわけにはいきませんので、急遽バーチャルインタビューとして、掲載いたしました。あくまで幕間の演目であります。)

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ウェブ鼎談シリーズ(第10回)「労働運動の昨日今日明日ー労働運動と生産性ー」

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講師:山﨑弦一氏、中堤康方氏

場所:電機連合会館4階

 日本における民間労組の多くは企業別に組織化され、企業内での活動特に福利厚生、能力開発、経営参加などに積極的に関与しています。国際的にもユニークな存在となっています。また改善活動など現場における効率化などに対し協力的で企業競争力を支えています。特に生産性向上運動は労使協同事業とも思える内容でありまた長い歴史を持っています。今回、この生産性に関し先駆的な取り組みを展開してきた松下電器産業(株)で社員としてまた組合役員として多方面における活動にかかわってこられた山﨑弦一氏を中心に「労働運動と生産性」について、研究会事務局長の中堤康方氏を交え鼎談を繰り広げました。学術博士をお持ちの、いわゆるコースドクターは労働界では珍しい存在ですので、労働運動へのかかわり方についてもご自身からお話しいただきました。最近、政治の世界においても生産性という言葉の使い方をめぐり議論がありましたが、本来の意味に立ち返り、経営との関連も含めオーソドックスな議論になったと思います。国際化が激しく進展する経営環境にあって労使ともに生産性について議論を膨らませるべき時期と思います。その一助となれば幸いです。(2018年10月11日午後収録)

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ウェブ鼎談シリーズ(第9回)「労働運動の昨日今日明日ー官公労働運動について②ー」

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講師:山本 幸司氏、吉澤 伸夫氏

場所:電機連合会館4階

ウェブ鼎談シリーズ第8回に引き続き、後半部分を第9回として掲載しました。

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ウェブ鼎談シリーズ(第8回)「労働運動の昨日今日明日ー官公労働運動について①ー」

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講師:吉澤 伸夫氏、山本 幸司氏

場所:電機連合会館4階

 国家公務員、地方公務員はじめ公務に従事する労働者には多くの制約が課せられています。特に労働組合の活動については、先進国とは思えない縛りがあり、憲法28条が保障している権利(団結、交渉、行動)が満たされているとはとても言い難い。  制約の多い環境の中ではありますが、労使交渉はその形式、実態に関わらず、公務の現場を円滑にまた国民から要請される水準を維持、向上させるためにも必要不可欠であり、現実的に存在し機能発揮に努めてきました。そして70年の年月を経て、今日ある意味日常性の中で均衡状態にあるといえますが、その実何も解決あるいは整理されておらず形而上時計の針が止まった状態にあります。具体的には次の三項目ではないかと思います。  その一は、協約締結権と争議権の付与であり、ここ20年余関係者間の討議や調整がなされたものの、着地に至っていません。  その二は、労働者性の確認であります。例えば高度プロフェッショナルな業務についている者に関し労基法上の視点からその労働者性を論じる場面と、公権力の行使などにかかわる公務員等の労働者性を論じる場面には大きな違いがあり、それは前者が内向性の、後者が外向性の方向分析が議論をわかり易くするもので、前者の場合働く個人の働き方や心的態度に議論が集中するのに対し、後者は個人の働きの向かう対象との権力関係に議論が集中するものです。ともに性格の違う議論であり、神学論的な罠に陥りそうな議論ではありますが、私立学校の教員に関しては、その手の議論に拘泥することなくすんなり三権を付与している現実をくみ取れば、論理構造から離れた判断の存在が推測されるもので、乾いた手が粘着物に触れたような気持ちの悪い感じがします。  その三は、財政からの圧迫であります。予算すなわち財源が枯渇すれば窓口閉鎖に陥ります。ここは企業倒産のおそれに見舞われる民間企業と相似であり、ある意味共通するものといえます。財政民主主義との葛藤は、今日のように眼をむくほどの財政赤字が常態化している状態においては厳しく張りつめているといえます。 といった問題意識を持ち、今回は公務公共サービス労働組合協議会(略称は公務労協)の二代の事務局長による問題提起であります。なお後半は次回としました。

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ウェブ鼎談シリーズ(第7回)「労働運動の昨日今日明日ー障害者雇用・就労支援について」

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講師:津田弥太郎氏、石原康則氏

場所:電機連合会館4階

 今回は障害者雇用・就労支援について、電機連合神奈川福祉センターの石原康則理事長また参議院厚生労働委員会で長年にわたって活躍されてきた津田弥太郎元参議院議員にお話をいただきました。  障害者雇用の促進は社会全体の共通課題であり、共生社会を語る上でも重要なテーマと言えます。また就労支援事業はそのための大切なピースといえます。電機連合神奈川福祉センターは産業別労働組合として、現場の組合員の声に応える形で実践展開されたまさに「生きた活動」の拠点として、労働運動の社会活動を支えているものです。  民主党政権ができ、遅れていた障害者福祉政策への期待がにわかに高まる中、現実政策として結実させることに、多くの苦労があったと思われます。  労働組合の社会的責任を、議論にとどまることなく、日々実践することの難しさと支えていくものの誇りがあふれる内容となりました。  若手活動家必見の鼎談であります。

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ウェブ鼎談シリーズ(第6回)「労働運動の昨日今日明日ー最低賃金についてー」

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講師:北浦 正行氏、加藤 昇氏

場所:「工房北浦」渋谷区渋谷

 前回の賃金に引き続き、最低賃金について話をすすめました。経済政策として政府主導の賃金引き上げがさまざまな影響を引き起こしていますが、地域別最賃も何とも言えない軋轢を引き起こしています。お隣の韓国ほどの事態には至っていませんが、地域地場産業への影響が気になるところです。  もちろん何事もやってみなければわからないということも真実ではありますが、知らな過ぎる政治家の蛮行の被害もありうるわけで、時には経験に学ぶことも必要ではないでしょうか。ということで、最賃と言えば必ずお名前が出てくる、北浦正行氏、加藤昇氏をお迎えし、最賃の歴史など豊富なお話から学ぶ中で、明日を展望したいと思います。(2018年4月26日午後) 以下本文中の中見出しです。 労働条件の開示は社会的責任の基本?、最低賃金とのかかわり、産業別最低賃金の見直し議論から(加藤昇)、「企業の枠を超えた社会的賃金決定システムとして重要だ」、組織率の壁をどうやって乗り越えるかー署名捺印方式、電機連合の産業別最低賃金の礎石は企業内最低賃金、賃金政策としての最低賃金とは、政治主導による最低賃金上昇の副作用は?労使の議論の形骸化、地域別最賃では地域差が是認されている、歴史を振り返りながら、今後のあり方を考える

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